初めての「肌管理」完全ガイド|専門家が教えるクリニックでのメニュー。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

美容皮膚科における「肌管理」とは、医師が肌状態を評価した上で、セルフケアと美容医療を組み合わせながら肌のコンディションを整え、トラブルが起こりにくい状態を目指していく継続的なケアの考え方です。美容大国の韓国では、芸能人だけでなく、一般の人でも美容医療を取り入れながら肌管理をしていることがよく知られています。
この記事では、肌管理に興味をお持ちの方に向けて、基本的な考え方や、初心者でも取り入れやすい施術、通院頻度や費用の目安についてわかりやすく解説します。「何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

「肌管理」とは?美容皮膚科における意味と目的

「肌管理」とは、セルフケアやクリニックの施術などを組み合わせて肌のコンディションを整え、トラブルが起こりにくい状態に整えていく継続的なケアのことを指します。
美容医療というと、「シミを取る」「しわを改善する」「たるみを引き上げる」といった、すでに現れている悩みに対する治療をイメージする方も多いかもしれません。一方、肌管理では、こうした症状が目立つ前に肌の土台を整え、現在の悩みを改善するだけでなく、将来的な肌トラブルを予防していくことを目的としています。肌全体のコンディションを底上げすることで、結果として毛穴トラブルやニキビ、小じわ、シミやくすみ、ハリの低下などが起こりにくくなることが期待できます。

クリニックで肌管理を受けるメリット

肌管理の方法は様々あり、クリニック以外にエステサロンなどに通う人もいます。自分に合った方法で行うことが一番ですが、クリニックで行う肌管理には次のようなメリットがあります。

  • 医師が診察を行い、疾患の有無も含めて肌状態を評価したうえで施術を選択できる
  • 炎症や副反応が起きた場合も、医学的判断に基づいた対応ができる
  • 医療機関でのみ使用できる機器・薬剤を用いた治療が可能
  • 将来的なシミ治療・たるみ治療も見据えた長期的なプランを立てやすい

肌管理は、単に肌をキレイに見せるためだけでなく、今の肌の状態を正しく評価し、今後の肌作りにつなげていくことも大きな目的のひとつです。医師の診察をもとに方針を立てられることは、長期的に肌と向き合う上での大きなメリットといえるでしょう。

クリニックでの肌管理で初めての人が受けやすい施術の種類

美容医療と聞くと、「痛みが強そう」「ダウンタイムが長いのでは?」と思う方も多いでしょう。美容皮膚科には様々な施術があり、痛みの程度やダウンタイムの長さも異なります。ここでは、初めて肌管理を行う方に向けて、痛みやダウンタイムの少ない施術を紹介します。

○ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール)

肌の表面に古い角質が過剰に溜まると、毛穴が詰まってニキビの原因になったり、ごわつきや乾燥、くすみなどを引き起こしたりします。ケミカルピーリングは薬剤を塗布し不要な角質を除去する施術で、ターンオーバーが整いやすくなり、トラブルの起きにくい肌を目指すことができます。
ケミカルピーリングに用いられる薬剤はいくつかありますが、その中でも「サリチル酸マクロゴール」は、血液中への吸収がほとんどなく角質を剥離することができます。赤みや皮むけが起こりにくい特徴があり、敏感肌の方や初めての方でも受けやすい施術です。

向いている方

  • 肌のごわつきやくすみが気になる方
  • 毛穴の詰まり、ざらつきを感じる方
  • ニキビができやすい方

痛みやダウンタイムの目安

施術中や薬剤を拭き取る際に軽いピリピリ感を伴うことがあります。ダウンタイムは数時間~数日程度です。多くの場合、施術後の赤みは軽度で、日常生活への影響はほとんどありません。

○コラーゲンピール(マッサージピール)

コラーゲンピールは、肌表面の角質を剥がすことを目的とする従来のピーリングとは異なり、真皮に働きかけ、ハリやツヤ感の向上を目指す治療です。TCA(トリクロロ酢酸)、低濃度過酸化水素、コウジ酸を配合した薬剤(PRX-T33)を、マッサージしながら浸透させることから、「マッサージピール」とも呼ばれています。
コラーゲン生成を促す作用が期待され、施術後に「肌にツヤが出た」「触り心地が滑らかになった」と感じる方も少なくありません。比較的ダウンタイムが少なく、エイジングケアを意識し始めた方の肌管理として選ばれることが多い施術です。

向いている方

  • 肌のハリやツヤがなくなってきたと感じている方
  • 小じわや軽いたるみが気になる方
  • 肌質を改善したい方

痛みやダウンタイムの目安

人によっては施術直後に赤みやほてりが出ることがありますが、数時間で落ち着くことがほとんどです。施術後はターンオーバーが促されるため、皮むけが起こることがありますが、数日~10日程度で落ち着きます。

○イオン導入

イオン導入は、微弱な電流を流して美容成分を肌に浸透しやすくする施術です。ビタミンC誘導体やトラネキサム酸、プラセンタ、グリシルグリシンなど、肌の悩みに合わせた成分を選択できるのが特徴です。
ピーリングやレーザーの後に組み合わせることで、肌を鎮静させながら美容成分を補給する目的で用いられることも多く、肌管理の基本的なケアのひとつといえます。

向いている方

  • 乾燥しやすい方
  • くすみや肌荒れが気になる方
  • 施術後のケアも重視したい方

痛みやダウンタイムの目安

人によっては電流を流す際に目がチカチカしたり、ピリピリ感を感じたりすることがあります。施術後に赤みが出ることが少なく、すぐにメイクをすることも可能です。

○ケアシス(エレクトロポレーション)

エレクトロポレーションとは、電気の力を利用して一時的に皮膚の細胞膜に穴を開けることで、美容成分を肌の内部まで届けやすくする施術です。イオン導入よりも浸透力が高いこと、また、分子量の大きな成分でも浸透させられる点が大きな特徴です。
ケアシスは、このエレクトロポレーション技術に加えて、温度調節をしながら薬剤を導入する技術が備わった美容医療機器です。温めながら導入することで美容成分がより浸透しやすくなり、その後に冷却しながら導入することで美容成分が長時間肌にとどまりやすくなります。また、冷却機能は、他の施術による赤みやほてりを落ち着かせたり、日焼け後の炎症を鎮静させたりすることができる点も特徴です。乾燥、赤み、ハリ不足など、複数の悩みを抱える方の肌管理に取り入れられることが多い治療です。

向いている方

  • 乾燥や小じわが気になる方
  • 赤みが出やすい方
  • レーザーやピーリング後の肌ケアを重視したい方

痛みやダウンタイムの目安

部位によって骨に響くような感覚が伴うことがありますが、施術中の刺激は軽度です。施術後の赤みは出にくく、日常生活への支障はほとんどありません。

○ジェネシス/フェイスリフトレーザー

「ジェネシス(キュテラ社)」や「フェイスリフトレーザー(キャンデラ社)」は、どちらも波長1064ナノメートルのロングパルスYAGレーザーを中空照射(皮膚から少し離して照射)する施術です。コラーゲンの生成が促されるため、ハリや弾力のアップ、内側からの引き締め、毛穴の開きの改善など、様々な変化が期待できます。また、レーザーがヘモグロビンに働きかけるため、赤ら顔やニキビ痕の赤みが気になる人にもおすすめです。

向いている方

  • 頬の毛穴の開きが気になる方
  • ハリやツヤのある肌を目指したい方
  • レーザー治療が初めての方

痛みやダウンタイムの目安

「痛みがほとんどなく、じんわり温かい程度」と表現されることが多く、美容医療が初めての方でも取り入れやすいレーザー治療です。施術後に軽い赤みやほてりが出ることがありますが、多くは当日中〜翌日には落ち着きます。

なお、妊娠中の方や、強い炎症・皮膚疾患がある場合などは、施術内容に制限がかかることもあります。肌管理を始める際は、必ず医師の診察を受けた上で判断してもらいましょう。

肌管理をする際の通院頻度と効果が実感できるまでの目安

肌管理は、1回の施術で終わるものではなく、一定のペースで継続的に行うことが一般的です。施術の種類によって異なりますが、一般的には2~4週間に1回程度のペースで行われることが多いため、「月1回前後」をひとつの目安として考えるとよいでしょう。
ただし、実際の頻度は肌質や年齢、生活習慣、悩みの内容によって異なります。肌荒れやニキビが多い時期は間隔を詰めて行い、状態が安定してきたら間隔をあけてメンテナンス目的で続けるケースもあります。通院頻度は、診察の上で肌状態を確認しながら調整していくもの、と思っておくと良いでしょう。
また、効果の感じ方にも個人差があります。初回から「なんとなく調子がいい」と感じる方もいますが、複数回、施術を継続した後に変化を実感できるようになることが一般的です。一定期間続けて肌の変化を観察することが、肌管理においては重要です。

肌管理の費用相場

肌管理の施術費は保険が適用されず、クリニックによって料金が異なります。目安として、今回ご紹介したような施術は、1回あたり5,000円前後から数万円程度の範囲で設定されていることが一般的です。
お伝えしたように、肌の状態によって通院のペースや費用の総額は変わってきます。カウンセリング時に施術内容だけでなく、通院ペースや予算感についてもよく相談しておくと、無理なく肌管理を続けることができるでしょう。

肌管理は継続が基本 納得のいくクリニック選びを

肌管理は、肌の状態を見極めながら継続的にケアを続けていくことが重要です。安心して通院するためにも、料金だけに気をとられることなく、診察やカウンセリングの内容、肌トラブル時の対応なども踏まえて、信頼できるクリニックを選びましょう。

まとめ

  • 肌管理とは、肌の土台を整え、健やかな状態を維持していくための継続的なケアである
  • サリチル酸マクロゴールピーリング、コラーゲンピール、イオン導入、ケアシス、ジェネシス/フェイスリフトレーザーなどは痛みやダウンタイムが少なく、初めてでも比較的挑戦しやすい
  • 肌管理は1回で完結するものではないため、継続的な通院が必要
  • 費用は施術内容によって幅があり、1回あたり5,000円前後から数万円程度が目安となるが、回数や通院ペースも含めて考えることが大切
  • 肌状態に合わせて施術内容や頻度を調整していくためにも、医師の診察を受けながら、無理のない形で肌管理を続けることが重要である