今話題の「皮脂フィラメント」とは?毛穴詰まりとの違いと治療方法について。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

鼻やあごの毛穴に見える白いポツポツ。毛穴の詰まりだと思い、洗顔や毛穴ケアを念入りにしている人も多いのではないでしょうか。
実はこうした毛穴のポツポツは、すべてが毛穴詰まりや角栓とは限らず、「皮脂フィラメント」の可能性もあります。この記事では、皮脂フィラメントとは何か、また毛穴詰まりとの違いや正しい対処法について解説します。

皮脂フィラメントとは?

皮脂フィラメントとは、毛穴(毛包)の中に自然に存在する皮脂と角質が混ざり合ったものです。皮脂腺から分泌された皮脂が毛穴を通って表面に出ていく過程でできるもので、誰にでもみられる正常な状態です。
鼻やあごなど皮脂分泌が多い部位では、毛穴の中身が透けて見えることで、白っぽい点や細い糸状のものが目立つことがあります。毛穴詰まりや角栓と間違われることが多いのですが、これは皮脂フィラメントです。
皮脂フィラメントは病的なものではないため、基本的には治療したり除去したりする必要はありません。毛穴がポツポツと目立つからといって無理に押し出したり、強いケアを繰り返したりすると、かえって毛穴トラブルや炎症を招くことがあるため注意が必要です。
「毛穴に見えている白いもの=毛穴詰まり」と決めつけず、皮脂フィラメントという状態があることを理解することが、適切な毛穴ケアの第一歩になります。

皮脂フィラメントと毛穴詰まり・角栓の違い

毛穴に見える白いポツポツが皮脂フィラメントなのか、それとも毛穴詰まりや角栓なのかによって、対処法は変わってきます。まずは、それぞれの特徴を知っておきましょう。

○皮脂フィラメントの特徴

ポツポツとした点状や細い糸状のようなもので、鼻やあごなど皮脂の多い部位で目立つことがあります。色は白〜薄黄色ですが、毛穴の出口付近の皮脂フィラメントが酸化すると、茶色っぽく見えることがあります。
また、皮脂フィラメントは同じような大きさの毛穴に白っぽいポツポツが、均一に並んで見えることが多いのが特徴です。肌の表面を触ってみると比較的滑らかで、毛穴詰まりのようにザラザラしたり、でこぼこした感触はあまりありません。

○毛穴詰まり・角栓の特徴

毛穴詰まりや角栓は、皮脂や古い角質が固まって溜まった状態です。汚れが詰まっている毛穴とそうでない毛穴が混在するため、ポツポツの大きさや目立ち方にばらつきが出やすいのが特徴です。また、触るとザラつきやでこぼこした感じがあります。
毛穴詰まりや角栓は、本来排出されるべきものが毛穴に溜まり、出口を塞いでいる状態です。放っておくと酸化して黒ずんだり、アクネ菌が増殖してニキビの原因となるため、適切なケアが必要です。

このように皮脂フィラメントと毛穴詰まりは異なるものですが、見分けるのが難しいことがあります。特に黒ずんでいる毛穴は汚れが詰まっていると思われがちですが、皮脂フィラメントの場合でも毛穴の表面に出ている部分が酸化して茶色っぽくなることがあり、色だけで判別できません。
毛穴の状態に迷う場合や、黒ずみが気になっている場合は、自己流のケアを続ける前に皮膚科で肌の状態を確認してもらうことが大切です。

皮脂フィラメントが気になった時のセルフケア法

皮脂フィラメントは毛穴の構造上、誰にでも存在するもので、完全になくさなければいけないものではありません。ただし、毛穴詰まりが混在しているケースもあるため、毛穴のポツポツが気になった時には、以下の点に気をつけながら毎日のケアを見直してみましょう。

○洗顔は落とし過ぎに注意

強く擦ったり、洗浄力の強すぎる洗顔料を使ったりすると、必要な皮脂まで奪ってしまいます。しっかり泡立て、やさしくなでるように洗いましょう。

○保湿ケアでバリア機能を整える

洗顔後は保湿を十分に行い、肌のバリア機能を整えることが重要です。皮膚のバリア機能が低下すると乾燥しやすくなり、水分不足を補うために皮脂が余計に分泌されます。その結果、皮脂フィラメントがより目立つことがあるため、保湿ケアをしっかり行うことが重要です。肌が潤っていると、ターンオーバーが乱れにくくなり、皮脂や角質が毛穴に溜まりにくくなります。

○肌の状態を見ながら目的に合った美容成分を取り入れる

毛穴のポツポツが皮脂フィラメントではなく、詰まりや角栓の可能性もあります。その場合は、角質ケアのできる成分が入った洗顔料や化粧水、美容液などでやさしくケアをしましょう。たとえば、「AHA(フルーツ酸)」や「BHA(サリチル酸)」、「PHA(ポリヒドロキシ酸)」などは角質ケアに用いられることが多い成分です。また、「ビタミンC誘導体」や「アゼライン酸誘導体」は皮脂や肌荒れが気になる際のケアとして取り入れられることがあり、「レチノール」もターンオーバーを促す作用があります。これらは刺激が強く出ることがあるため、肌の状態を見ながら合うものを取り入れてみましょう。 なお、毛穴が目立つからと、頻繁に毛穴パックやスクラブ入り洗顔料を使ったりしていると、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。方法や頻度を見直しましょう。

皮脂フィラメントではなく毛穴詰まりなら美容皮膚科で治療を

皮脂フィラメントは病的なものではないため、基本的に治療は必要ありませんが、毛穴のポツポツが詰まりによって生じている場合には、美容皮膚科の施術で改善することがあります。ここでは、毛穴詰まりが気になる場合に行われている施術を紹介します。

○ケミカルピーリング

サリチル酸などの薬剤を用いて、古い角質をやさしく除去しターンオーバーを整える治療です。毛穴に詰まった皮脂や角質を取り除きやすくすることで、毛穴の詰まりや黒ずみの改善が期待できます。

○ハイドラブースター

ハイドラブースターは、水流の力と特殊なヘッドを使って、毛穴内部の皮脂や古い角質を洗浄・吸引する治療です。洗浄と同時に美容成分を浸透させることで、肌の油分や水分のバランスを整えながら、毛穴の詰まりや黒ずみ、ザラつきの改善を目指すことができます。

○ディープエレクトロクレンジング・スキンスクライバー

ディープエレクトロクレンジングは、微弱な電流を使って毛穴の奥に詰まった汚れや皮脂を浮き上がらせ、洗浄を助ける施術です。また、スキンスクライバーは、超音波を利用し肌の洗浄を行います。どちらの施術も、日常の洗顔では落としにくい毛穴内部の汚れや皮脂に対してアプローチする目的で行われます。

○イオン導入・ケアシス

イオン導入やケアシスは、微弱な電流を流して美容成分を肌へ効率的に届ける施術です。毛穴の汚れを直接取り除くわけではありませんが、保湿成分や皮脂バランスを整える成分などを補給することで、皮脂コントロールの面から毛穴ケアをサポートします。

その他にも毛穴ケアができる治療法は複数あります。どの治療が適しているかは、毛穴の状態や肌質によって異なるため、医師の診察を受けた上で検討しましょう。
「皮脂フィラメントか毛穴詰まりかわからない」「市販のケアでは改善しない」「毛穴トラブルを繰り返している」と感じる場合は、一度皮膚科で相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 皮脂フィラメントは毛穴の中に本来存在する皮脂と角質からなる構造で、汚れや異物ではなく、誰にでもみられるものである
  • 皮脂フィラメントは同じような大きさの毛穴が均一的に並ぶのに対し、毛穴詰まりの場合は不均一で、触れるとざらつきやでこぼこした感じがある
  • 皮脂が毛穴にとどまり、酸化や角質の蓄積が進むことで、毛穴詰まりや黒ずみ、ニキビにつながることがある
  • 毛穴のポツポツが気になる場合は、肌にやさしい洗顔と十分な保湿を基本とし、肌の状態に合ったケアを心がけることが大切
  • 皮脂フィラメントは治療の必要はないが、毛穴詰まりや黒ずみが気になる場合は皮膚科を受診し、必要に応じた治療を受けると改善することがある