医療コラム
目尻・眉間・おでこの「表情じわ」はどう治す?原因と効果的な治療を専門家が解説。
目尻や眉間、おでこにできる「表情じわ」が気になっていませんか。表情を作った時にできるだけならそれほど気にならないかもしれませんが、無表情の時にもしわが残るようになると、悩みの種になってしまうことがあります。
では、表情じわは治すことができるのでしょうか。この記事では、表情じわの特徴や原因を整理しながら、改善法や治療法について解説します。
表情じわとは? 部位別の特徴
表情じわとは、笑う、しかめる、眉を上げるといった表情の動きによってできるしわのことを指します。表情を作った時に現れ、時間が経つと元に戻るのが特徴です。しかし、同じ動きを繰り返すことで皮膚に折れ目のような癖がつき、次第に無表情の時でもしわが残るようになることがあります。
表情じわができやすい部位はいくつかあり、特に表情筋に伴って動きやすい目尻や眉間、おでこなどはしわのできやすい場所と言えます。それぞれ次のような特徴があります。
○目尻のしわ
目尻にできるしわは、笑った時に現れることから「笑いじわ」とも呼ばれます。主に、目の周りを取り囲む眼輪筋(がんりんきん)の動きによって生じます。
この部位は皮膚が薄く乾燥しやすいため、細かいしわが重なりやすいのが特徴です。自然な表情として受け入れられることが多い一方で、加齢とともにしわが深くなると、疲れた印象を与え、実年齢よりも老けて見える原因になることがあります。
○眉間のしわ
眉間にできる縦じわは、眉をひそめる動きによって生じます。主に皺眉筋(しゅうびきん)と呼ばれる筋肉が関係しています。
無意識に眉を寄せる癖がある方や、パソコンやスマートフォンを見る時間が長い方に見られやすいのが特徴です。眉間のしわは、怒っていたり不機嫌な印象を与えやすく、気にしている方も少なくありません。
○おでこのしわ
おでこにできる横じわは、眉を上げる動きによって生じます。前頭筋(ぜんとうきん)が繰り返し使われることで、皮膚に折れ目がつくように横じわが形成されます。特に無意識に眉を上げる癖があると、おでこのしわができやすくなります。
比較的広い範囲に現れるため、しわが深くなると目立ちやすく、顔全体の印象を大きく左右します。
表情じわができる原因
表情じわはいくつかの要因が重なって作られます。ここでは、代表的な要因をご紹介します。
○表情の癖
表情じわは、表情筋が同じ動きを繰り返すことで作られます。たとえば、普段から眉をひそめる癖があると眉間に縦じわができやすくなったり、目を見開くことが多いとおでこにしわができやすくなったりします。無意識にしてしまう表情のため、自分では癖を直しにくく、気づいた時にはしわが定着していることがあります。
○加齢による肌のハリ・弾力の低下
表情じわは表情筋の癖が主な原因ですが、加齢による肌の変化はしわを深く定着させる大きな要因と言えます。特に関係しているのが、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンの変化です。これらの組織は年齢を重ねると減少するため、ハリや弾力が失われ、表情じわができた時に皮膚が元の状態に戻りにくくなります。すると、しわがそのまま残りやすくなり、定着することがあります。
○紫外線や乾燥による影響
直接的な原因ではありませんが、紫外線や乾燥も肌の弾力を低下させ、しわの定着を助長します。
紫外線は、肌のハリを支えるコラーゲンにダメージを与える要因の一つです。また、乾燥によって角質層の水分が不足すると、しわが目立ちやすくなります。こうした影響が重なることで、表情の癖によって生じたしわが定着してしまうことがあります。
表情じわはセルフケアで改善できる?
表情じわが気になり始めた時、まずはスキンケアで改善できないかと考える方も多いでしょう。
結論から言うと、表情じわの主な原因は、表情筋の繰り返しの動きと加齢による肌質の変化のため、スキンケアだけで根本的に改善することは難しいでしょう。特に無表情の時でもしわが残るようになっている状態では、スキンケアだけでは思ったような変化は実感できないかもしれません。
また、しわ対策として、マッサージや表情筋トレーニング(いわゆる顔トレ)などを取り入れている方もいますが、過度に刺激を与えることでかえってしわが強調される可能性があります。特に同じ動きを繰り返すようなトレーニングを自己流で行うと、別の場所のしわを深めてしまうこともあるため、要注意です。
もちろん、こうしたセルフケアに全く意味がないわけではありません。特に保湿ケアや紫外線対策は、肌の乾燥を防ぎ、しわを今以上に目立ちにくくするためには必要なケアと言えます。ただし、すでに表情じわが定着している場合はセルフケアのみでの改善は難しいため、美容医療など他の選択肢も検討する方が良いでしょう。
表情じわの改善に有効な治療法
美容医療においては、表情じわは完全に消すというよりも目立ちにくくすることが現実的なアプローチです。具体的には次の2つが代表的な治療法です。
○ボツリヌス注射
表情じわの治療として広く行われているのが、「ボツリヌストキシン」という製剤を用いた注入治療です。一般的には「ボトックス注射」として知られている治療法で、筋肉の過剰な動きを一時的に抑えることで、しわが寄りにくい状態を作ることができます。
特に目尻・眉間・おでこといった表情じわに対して用いられることが多く、今あるしわを目立ちにくくするだけでなく、予防する効果も期待できます。
効果の感じ方には個人差はありますが、一般的にはボツリヌス注射の後、2~3日程度で効果が表れ始め、1週間程度経つと変化を実感することができるようになります。その後、3~6ヶ月程度持続した後、徐々に効果が薄れていき、元の状態に戻っていきます。しわの目立たない状態をキープするためには継続的な施術が必要になりますが、ダウンタイムはあまりなく、美容医療が初めての方でも比較的受けやすい治療法です。
ボツリヌス注射の注意点として、表情が不自然になる、左右差が生じる、まぶたが重く感じるなどの違和感が出ることがあります。注入量や注射を打つ部位を調節することで、こうした症状が出るリスクは最小限に抑えられるため、実績豊富なクリニックを選ぶことがとても重要です。
その他、おでこに注射を打った場合、稀ではありますが、施術後に頭痛が生じることがあります。通常は1~2日で治まりますが、長引く場合は主治医に相談しましょう。
○ヒアルロン酸の注入
すでにしわが深く刻まれている場合や無表情の時に目立つしわには、ヒアルロン酸の注入も検討されることがあります。皮膚の内側にヒアルロン酸を注入することで、しわの溝を内側から持ち上げ、目立ちにくくする治療法です。表情じわの状態によっては、ボツリヌス注入と組み合わせて行われることもあります。
ヒアルロン酸注入は、体内に徐々に吸収されていくため、時間の経過とともに効果は薄れていきます。注入部位や量などによっても異なりますが、効果の持続期間は半年~1年ほどです。理想の状態を維持するためには、ボツリヌス注入と同様、定期的な治療が必要になります。
なお、稀ではありますが、ヒアルロン酸には血流障害のリスクが伴います。ヒアルロン酸が誤って血管に入ることで起こるもので、皮膚の壊死や失明の可能性もあります。高確率で起こるものではありませんが、おでこや眉間などは血流障害が起こり得る部位のため、施術後に強い痛みや冷感、皮膚の変色などの症状がみられる場合はできるだけ早く主治医に相談しましょう。
いずれも表情じわの治療法として広く行われているものですが、医療である以上、一定のリスクは伴います。気になる点があれば診察時に確認し、納得した上で治療を受けましょう。
まとめ
- 表情じわは、表情筋の動きによって生じるしわで、目尻・眉間・おでこはできやすい部位
- 表情の癖や加齢、紫外線や乾燥などの要因が重なることにより、無表情の時でもしわが残るようになることがある
- 保湿や紫外線対策は重要だが、セルフケアだけでは根本的な改善が難しい場合も多い
- 美容医療では、表情じわ対策として、ボツリヌス注射やヒアルロン酸注入などが広く行われている治療法である
- ボツリヌス注入もヒアルロン酸注入もダウンタイムは少ないが、リスクも踏まえて治療を検討すると良い