冬こそ始めるしわ対策 乾燥を防いで正しいスキンケアを

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

多くの女性がお肌の悩みとして挙げる「しわ」。加齢に伴う変化ですから仕方がないとはわかっていても、実際に「しわ」を見つけると気分は憂鬱になります。とくに季節の変わり目は、お肌の不調や変化を感じる人も多いようです。これからの時季に備えて改めて知っておきたい、しわ対策やスキンケアについてご説明します。

若くても心配!?女性に多いしわのお悩み

年齢を重ねるにつれて増える「しわ」。中年以降の女性特有の悩みかと思いきや、実は若い女性のなかにも将来のしわを不安に感じる人は多いようです。ポーラ文化研究所が25~34歳と50代の女性を対象に実施した「エイジングに関する意識調査」によると、「実感している老化現象」でもっとも多かった答えは、どちらの年代も「シミ」でした。これに対して「しわ」は、25~34歳では第4位(37.3%)、50代では第3位(62.4%)という結果でした。いずれも上位ではありますが、若い世代で現在「しわ」に悩まされている人が特別多いとはいえません。ところが、「将来不安に思う老化現象」を尋ねたところ、25~34歳では69.8%と第1位、50代では72.8%で第3位という結果になりました。若い世代でも、将来の「しわ」を不安視している人はかなり多いことがわかります。

※参考:ポーラ文化研究所「エイジングに関する意識調査」
https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/report/pdf/20180319aging2017.pdf

このように、年代を問わず多くの女性を悩ませている「しわ」。次項からはしわの種類や、しわ予防の対策などをご説明します。

しわの種類

しわ対策を正しく実践するためには、まずはその原因を知ることが大切です。なぜなら、ひと口にしわといっても実は種類があり、原因も異なるからです。しわの種類別に特徴や原因をみていきましょう。

(1)小じわ

「ちりめんじわ」、あるいは「乾燥じわ」とも呼ばれる小さなしわのことです。私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という構造をしています。表皮の一番外側の角層には、皮膚のバリア機能が備わっていて、水分の過剰な蒸発を防いでいます。ところが、何らかの要因でバリア機能が低下して肌が乾燥しやすくなると、皮膚表面が硬くガサガサした状態になり、小じわができることがあります。

(2)表情じわ

皮膚の下には筋肉(表情筋)があり、表情筋の動きに合わせて皮膚も動きます。たとえば、笑ったときにできるほうれい線や眉間を寄せたときにできるおでこのしわは、表情筋の動きによるものです。このようなしわを「表情じわ」といいます。表情に合わせてできるしわですから、決して悪いことではありません。ただし、人には表情の癖がありますので、同じ表情を繰りかえしているうちに表情じわも深くなっていきます。

(3)大じわ

長期間にわたって紫外線を浴び続けていると、肌の弾力を維持する上で欠かせない真皮のコラーゲンやエラスチンなどの線維が変形したり減少したりします。そうすると、お肌のハリや弾力が失われ、深いしわになります。これは「大じわ」と呼ばれます。また、コラーゲンやエラスチンなどは、加齢によっても減少しますから、大じわは「老化がもたらすしわ」ともいえます。

冬にこそ始めたいしわ対策

これまでお伝えしたとおり、しわには3つの種類がありますが、なかでも比較的ケアしやすいのは乾燥が原因の「小じわ」です。日々のスキンケアで保湿を心がけ、肌の新陳代謝であるターンオーバーのサイクルを整えることで、改善が期待できます。反対に、小じわができても放っておいたり誤ったケアを続けたりしていると、将来的に深いしわにつながる恐れがあります。ですから、本格的に空気が乾燥する冬にこそ、スキンケアを見直して、乾燥対策を始めることをおすすめします。日ごろのスキンケアの見直しは、小じわだけではなく、他のしわの予防にもつながります。

スキンケアを見直してしわを予防しよう

しわは決して悪いものではありません。年齢に応じたしわは、人を魅力的に見せる効力さえ持っています。とはいえ、誤ったスキンケアを続けていると、しわが増えてしまい、実際の年齢以上に老けて見える可能性もあります。そこで、しわ予防にも効果的な正しいスキンケアをご紹介します。

〇乾燥対策

しわを予防する上で欠かせない要素は「保湿」です。とくにお肌の水分を保持する過程で重要な役割を果たす、皮膚のバリア機能を高めることが大切です。日々のお手入れは、次のような点に注意して行いましょう。

  • クレンジングは、優しくマッサージをするように行う
  • 洗顔料はしっかり泡立てて、優しく洗う
  • 洗顔の際に熱いお湯を使わない
  • 洗顔後や入浴後は、すぐに保湿をする
  • スキンケア用品や化粧品は肌に合ったものを使う
  • 化粧水はセラミド配合など保湿力の高いものを使う
  • 水分の蒸発を防ぐためにも、スキンケアの最後には乳液やクリームなどを取り入れる

このほか、乾燥が気になる季節は、加湿器を使って室内の湿度にも気を配りましょう。食事や睡眠に留意して、ストレス発散にも努めてください。基本的な生活習慣を整え、健康的な生活を送ることは、身体にとっても肌にとっても大切です。

〇紫外線対策

紫外線を浴び続けると、肌のハリやうるおいを維持する上で重要な真皮の線維が変形して、しわの原因になるとお伝えしました。ですから、しわ予防には万全な紫外線対策も欠かせません。多くの方がご存知のことと思いますが、紫外線対策はシミ予防にも有効です。現在のお肌はもちろん、未来のお肌のためにも、ぜひ丁寧なケアを心がけてください。なかには、夏は日焼け止めを塗るけれど秋以降になるとやめてしまう、という人もいるようです。しかしながら、紫外線は1年中降り注いでいますし、室内に届くこともありますので、夏以外も引き続き日焼け止めを使用するようにしましょう。

病院でできるしわ対策

ここまでは、日々のお手入れで行えるしわ対策についてお伝えしてきました。こうしたケアは、乾燥が原因の小じわや、将来のしわ予防という観点からは効果が期待できます。しかし、既にできてしまった深いしわを消すことはできません。しわ自体は有害ではないものの、たとえば顔の深いしわが原因で深刻に悩んでいるようなケースでは、美容皮膚科などに相談するのも一つの方法です。医療機関では、しわの種類に合った治療法を提案してくれますし、何より専門家である医師に相談できる点は大きなメリットです。なお、実際に施術を受ける場合は、事前に方法や費用などをしっかり確認し、不安な点を解消して臨みましょう。

空気が乾燥しやすくなるこれからの季節。日々の生活習慣やスキンケアを見直して、健やかな肌を目指しましょう。

まとめ

  • しわは年配女性だけの悩みではなく、若い女性でも将来のしわを不安に思っている人が多い
  • しわには種類があって、原因も異なる
  • 皮膚のバリア機能が低下して乾燥すると、皮膚の表面がガサガサして小じわができる
  • 表情じわは、表情をつくるときに形成される
  • 人には表情に癖があるので、同じ表情を繰りかえしていると表情じわも深くなる
  • 紫外線を受けると、肌の弾力を維持する上で欠かせないコラーゲンやエラスチンなどが変形、減少し、「大じわ」という深いしわにつながる
  • 大じわは、加齢によるコラーゲンやエラスチンの減少も一因となる
  • 乾燥が原因の小じわは、日々のスキンケアなどの見直しで改善を図りやすい
  • しわ予防には、本格的に空気が乾燥する冬口から、乾燥対策やスキンケアの見直しをすることが重要である
  • しわ予防には、洗顔やクレンジングを優しく行う、洗顔後や入浴後にはすぐに保湿をする、保湿力の高い化粧水を使用するなどの対策を行い、皮膚のバリア機能を高めて肌の乾燥を防ぐことが重要である
  • 加湿器を使用する、生活習慣を整えるなど、スキンケア以外の対策も行うとよい
  • 紫外線対策はしわだけではなく、シミの対策としても有効である
  • 紫外線は一年中降り注いでいるので、日焼け止めを使うなどの紫外線対策は一年中行った方がよい
  • すでにできてしまった深いしわやしわ予防は、美容皮膚科など医療機関で相談する選択肢もある