洗顔を見直してみませんか?皮膚科が紹介する正しい洗顔法

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

皆さんは、毎日の洗顔で気をつけているポイントはありますか?日常的なことですから、何気なくすませている人が多いかもしれません。とは言え、洗顔もスキンケアの一つ。丁寧な洗顔を心がけることにより、肌トラブルを減らせる可能性もあります。そこで今回は、皮膚科が推奨する正しい洗顔方法をご紹介します。

洗顔の目的

毎日の生活の中で、顔には、皮脂や汗、ホコリ、花粉といった汚れがついています。こうした汚れや古くなった角質などを落とすことが、洗顔の目的です。しかし、だからといって、強い力でゴシゴシと洗ったり、時間をかけて洗いすぎたりすると、必要な皮脂まで奪ってしまい、かえって皮膚の乾燥やニキビなどの肌トラブルを助長することになり兼ねません。ですから、洗顔の際には、必要な皮脂や水分は守りつつ、不要な汚れなどを落とす、という意識が大切です。次項より、正しい洗顔の手順と各工程のポイントをご説明します。

正しい洗顔(1)ぬるま湯で顔を洗う

まずは、ぬるま湯で顔を洗います。ここでのポイントは、お湯の温度設定です。お湯が熱すぎると、皮脂を過剰に除去してしまいますし、反対に冷たすぎると、急激に肌が冷やされ、顔が赤っぽくなることもあります。洗顔時は、32~35度のぬるめのお湯を使うようにしましょう。とくに、入浴時に顔を洗う場合は、お風呂の温度設定と同じ40度前後のお湯で洗う人も多いのではないでしょうか。しかし、皮脂への影響を考えると、洗顔のときだけはぬるめに設定するか、水を加えるなどして、調整することをおすすめします。

正しい洗顔(2)洗顔料で洗う

次に、洗顔料を使って顔を洗います。このときに気をつけたいポイントは、泡立てネットなどを使って、洗顔料をしっかり泡立てることです。泡ができたら、顔を包むように優しく洗います。この泡洗顔は、テレビコマーシャルや雑誌などでも広く紹介されていますので、実践している人も多いでしょう。しかし、いくら泡洗顔であっても、時間のかけすぎはご法度です。必要な皮脂が奪われる一因になります。泡で優しく洗うことを心がけつつ手早く行い、時間は1分程度を目安にしましょう。

正しい洗顔(3)洗い流す

最後に、洗顔料や汚れをぬるま湯でしっかりと洗い流します。このとき、洗い残しがあると、ニキビなどの原因になります。フェイスラインや髪の生え際まで、丁寧に洗い流すようにして、終わったら鏡などでよく確認しましょう。洗顔後は、清潔なタオルで水分を優しくふき取ります。決してゴシゴシ拭かないようにすることもポイントです。

正しい洗顔をできている人は意外に少ない!?

さて、正しい洗顔の手順をご説明してきましたが、皆さんは各ポイントを押さえて実践できているでしょうか?とあるアンケート調査(※)によると、ぬるま湯を使う、しっかりと泡立てる、優しく手早く洗う、洗い残しに気をつける、という点をすべてクリアして洗えている人は全体のわずか5%、という結果が示されています。各工程のポイントに注意しながら正しい洗顔を行うことは、意外に難しいのかもしれません。とはいえ、洗顔は毎日行うスキンケアの一つです。洗顔の目的を理解し、正しい方法を覚えて日々継続していけば、やがて習慣化されていきます。ぜひ正しい洗顔法を実践してみてください。

※『ノブ"洗顔"実態に関する調査レポート2013年春』
http://www.tokiwayakuhin.co.jp/news/2013/03/post20130315-1.htm

正しい洗顔:そのほかに気をつけたいこと

洗顔方法以外にも気をつけたいポイントがあります。

〇洗顔の回数

いくら正しい方法で洗顔をしても、1日に何度も洗うと、必要な皮脂が奪われ、乾燥などの原因になります。洗顔は1日2回までとしましょう。

〇洗顔料の選び方

さまざまなタイプの洗顔料が販売されていますので、どれを買うべきか悩む人も多いのではないでしょうか。具体的には、固形石鹸を泡立てて使うタイプや、クリームやリキッド状の洗顔料を泡立てて使うフォームタイプは、以前からよく売られていました。これに加えて最近では、ジェルタイプや泡タイプ(泡のまま出てくる)、パウダータイプやミルクタイプといった製品も登場しています。製品によって洗浄力が異なり、一般的に肌にやさしいジェルタイプやミルクタイプは、洗浄力が弱い傾向にあります。自分の肌の状態やライフスタイル、使いやすさに応じて選ぶとよいでしょう。また、季節の変化などに合わせて、洗顔料を変えるのも一つの方法です。湿度が下がる秋や冬は皮膚も乾燥しやすくなります。このような季節は、毎回洗顔料を使用しなくても問題ありません。たとえば、朝はぬるま湯で洗い、夜は洗顔料を使う、という方法でもよいでしょう。肌の状態をみながら、自分にあった洗顔法を見つけてください。

〇洗顔後のスキンケア

洗顔後の肌は、水分が奪われやすい状態になっています。化粧水、乳液、クリームなどを使用して、保湿ケアを怠らないようにしましょう

正しい洗顔法に困ったら専門家に相談を

このように、正しい洗顔のプロセスにはいくつかのポイントがあります。これらの基本を守ることはもちろん重要ですが、その上で、自分の体調や肌の状態、季節などを見極め、洗顔方法や洗顔料の種類、洗顔の回数などを調整すると、自分にとってよりよい洗顔方法を見つけられます。ただし、自分なりに洗顔方法やスキンケアを見直しているのに、肌の調子が改善しない、肌トラブルが続く、といった場合は他の原因も考えられます。そのようなときは、専門家である皮膚科医に相談してみましょう。皮膚科を受診した際は、今の肌に合った正しい洗顔法もぜひ聞いてみてください。

まとめ

  • 洗顔は汚れや古い角質を落とすことが目的なので、必要な皮脂を守りつつ洗うことがポイントになる
  • 洗顔時のお湯の温度は、皮脂の取りすぎを防ぐため、32~35度にするとよい
  • 洗顔料はしっかり泡立てて、優しく洗う
  • 泡洗顔であっても、時間のかけ過ぎはよくないので、手早く1分程度で洗う
  • 洗顔後は、ぬるま湯でしっかりと汚れや洗顔料を洗い流す
  • フェイスラインや髪の生え際などに洗い残しがないように、しっかり確認する
  • 顔を拭く際は、清潔なタオルで優しく水分をふき取る
  • 洗顔の回数は、1日2回までを目安とする
  • 洗顔料にはいろいろな種類があるが、製品によって洗浄力や肌への負担が異なる
  • 自分に合った洗顔料を見つけるとともに、季節などに合わせて洗顔料を変えることも一つの方法である
  • 洗顔後の保湿ケアも怠らないようにする
  • 基本のポイントを押さえつつ、自分の肌の状態や季節にあわせて洗顔方法を調節するとよい
  • 自分なりに洗顔方法を見直しても肌の調子が悪い、肌トラブルが続くような場合は、皮膚科に相談するとよい