肌トラブルの救世主!レーザーフェイシャルとは?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

加齢とともに気になり始める肌のくすみやシミ、毛穴。日常的なスキンケアではなかなか対処できないこのようなお悩みも、改善することが期待できます。さまざまな肌トラブルに対応するレーザーフェイシャル。名前は耳にしたことがあるかもしれませんが、実際のところ、どのような施術なのでしょうか。

レーザーフェイシャルとは?

レーザーフェイシャルは、くすみやしわ、毛穴など、肌の気になる部分にレーザー美容医療器を用いて、症状を目立たなくする治療法です。
「ロングパルスアレキサンドライトレーザー」という医療器を使います。医療用脱毛機であるこの医療器は、レーザーの出力が高く、広い範囲に照射できることが特徴です。日本人の肌に向いているとされ、ムラにならず、顔全体の美肌効果が期待できます。また、お肌の気になる部分にレーザーを照射すると同時に冷却ガスも出されるため、肌へのダメージを最小限に抑えられます。肌のくすみが心配、シミやしわが目立つ、そばかすをどうにかしたい、毛穴やうぶ毛が気になる、といった悩みに、幅広く対応できる治療法として注目されています。
ただし、シミ・くすみ・そばかすを重点的に治療したい方には、IPL光治療がおすすめとなります。

レーザーフェイシャルの効果

ロングパルスアレキサンドライトレーザーは、毛根の色素に反応して熱エネルギーとなり、その熱が毛包全体に伝導して毛根と毛母細胞を焼灼破壊します。そのため、脱毛効果が得られ、産毛のないツルッとした肌になります。化粧ノリがよくなるといった変化も見られるでしょう。
また、肌のメラニン色素の吸収が非常に高いため、シミやそばかす・くすみに適しており、美肌効果や透明感アップが期待できます。
さらに、レーザーは肌のハリ感アップや、キメを整える効果も期待できます。レーザーが肌の細胞を刺激すると、真皮にあるコラーゲンの生成が促進されて、肌全体にハリ感がでてきます。そのことによって、毛穴が目立ちにくくなる、という二次的な効果も見込めます。
このほか、ニキビ治療にも用いられます。多くの場合、ニキビは皮脂の過剰分泌が原因となりますが、レーザーにより皮脂腺が刺激されて縮小すると、皮脂分泌をコントロールしやすくなります。また、ニキビの原因となるアクネ菌を熱によって殺菌する効果も期待でき、さまざまな美肌効果を合わせて、肌全体をトータルで整えることができます。ただし、炎症がかなり強いニキビは照射しないことがあります。

レーザーフェイシャル:施術の流れ

それでは、実際の施術の流れについて見ていきましょう。

〇問診

担当スタッフのカウンセリングや医師の診察で、肌の悩みを伝え、現在の肌の状態を正確にチェックしてもらいます。多様な治療法の中から、悩みを解決するベストな方法を探っていきますので、不安な点などはなんでも相談しましょう。

〇施術前の準備

ロングパスルアレキサンドライトレーザーによる治療を受ける場合、あらかじめ洗顔をした上で、必要に応じて顔の産毛を剃毛します。目はゴーグルで保護し、レーザーの照射が行われます。

〇施術

施術中は、輪ゴムではじかれるような痛みを感じることがありますが、ほとんどの場合、我慢できる程度の痛みです。施術後に赤みやヒリヒリ感が生じた際は、クーリングを行い、炎症を抑える軟膏が使われることもあります。赤みは2~3日程度で消失します。

〇施術後

化粧水や乳液で肌を整え、希望する場合は、日焼け止めを使ったり、化粧をしたりしてから帰宅することも可能です。

所要時間は、顔全体で30分程度です。約1ヶ月に1回の治療間隔で、5回程度を1クールとしておすすめしています。

レーザーフェイシャルのポイントと注意点

レーザーフェイシャルは、高い美肌効果を望める、肌への負担が比較的低い治療です。ただし、次のような注意点もあります。

〇施術後の症状

施術後数日は、レーザーで分解されたメラニンが肌表面に浮きあがるため、シミが一時的に濃くなったように見えたり、薄いカサブタができることがあります。これは、7~10日かけてターンオーバーによって自然に排出され、徐々に薄くなっていきますので、慌てずに様子をみましょう。また、個人差はありますが、赤みやヒリヒリ感が続く可能性も考えられます。あるいは、毛穴の部分にニキビのような小さなポツポツができて、かゆみを伴うケースも見受けられます。これらの症状は、ほとんどの場合時間の経過とともに落ち着きますが、副作用が全くない、とは言い切れません。事前の説明をよく聞いて、わからないことがあれば確認しましょう。

〇施術後のケア

施術直後の肌は敏感な状態になっていますので、強くこするといった刺激を与えないよう注意して、丁寧にスキンケアを行いましょう。また、日焼けに気をつけて、適切に紫外線ケアを行うことも重要です。

〇施術を受けられない人

皮膚に炎症を起こしている人、日焼けをしている人、妊娠中の人などは、施術を行うことができません。また、肝斑を悪化させるリスクが高く、まれに隠れ肝斑の方は照射後に肝斑が浮き出てくることがあります。

このような注意点を守って継続すれば、レーザーフェイシャルはさまざまな肌の悩みを改善する、画期的な治療法といえます。より高い効果を望む場合は、LEDヒーライトを使った施術やイオン導入やケアシス、美白注射などとの併用もおすすめです。
新しい治療法が次々と登場していますから、正しい知識を持って、自分に合った施術を見つけましょう。

まとめ

  • レーザーフェイシャルとは、レーザー美容医療器を用いる治療法である
  • 肌のくすみやシミ、しわなどを改善し、トータルの美肌効果が期待できる
  • レーザー照射と同時に冷却ガスも出されるため、肌のダメージを最小限に抑えられる
  • レーザーは肌のメラニンや毛根の色素に反応するため、美白や脱毛の効果を得られる
  • 肌のハリ感アップやキメ、毛穴の改善のほか、ニキビ治療にも有効である
  • 施術は30分程度で、多少の痛みが伴うこともある
  • 施術後は肌に刺激を与えないよう注意して、十分な紫外線対策を行う
  • 安全性は高いが、副作用のリスクもゼロではないため、注意事項をしっかりと確認する
  • 肌の悩みに合った効果的な治療法を見つけることが重要である