LED美容は効果ある?家庭用美顔器と皮膚科治療の違いも解説

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

「LED」と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、照明や電球でしょう。消費電力の少なさや寿命の長さから、一般家庭にも広く普及していますが、LEDは美容の分野でも注目を集めています。最近では、美容皮膚科の治療に用いられていたり、LED機能がついた家庭用の美顔器も販売されています。では、どんな美容効果が期待できるのでしょうか。そこでここではLED美容の効果や、家庭用美顔器と皮膚科治療の違いについて解説します。

LEDって?

LEDとは、発光ダイオード(光る半導体)のことで、「Light Emitting Diode」の頭文字から、その名前が付けられています。LEDを使った照明は、1990年代から実用化され、寿命が長く、消費電力が少ないことから、屋内外を問わず、さまざまな施設の照明器具に使われていて、最近は家庭用のLED電球も広く普及しています。
LEDは材料となる化合物によって波長が異なります。波長の長さは、ナノメートル(=100万分の1ミリメートル)という単位で表され、光の色に影響します。可視光線(目に見える光)では、波長が短いと紫色~青色、波長の長いと橙色~赤色の光を放ちます。この波長(光の色)は、美肌効果にも大きく関係しています。

光の色で変わる!?LED治療の効果とは

美容皮膚科などで行われるLED治療では、専用の機器を使って、LEDを肌に連続的に照射していきます。LED治療の大きな特徴といえば、光の色によって、期待できる美肌効果が異なること。お伝えしたとおり、LEDにはさまざまな色の種類がありますが、光の色によって肌の到達深度が異なるため、効果にも違いが出てきます。ここでは、とくに美容皮膚科などで用いられることの多い3色をご紹介します。その効果を比較してみましょう。

〇青色LED

おもにニキビ治療に用いられています。ニキビ(尋常性ざ創)は、皮脂の過剰な分泌などによって、毛穴に棲みつくアクネ菌が繁殖することで発生します。アクネ菌は代謝をする過程で「ポルフィリン」という物質を産生しますが、これにアプローチするのが、青色LEDです。
青色LEDがポルフィリンと反応すると、活性酸素が作られます。この活性酸素がアクネ菌を殺し、ニキビを改善したり、できにくくします。また、青色LEDには、皮脂の分泌を抑えたり、毛穴を引き締める作用もあります。

〇赤色LED

赤色LEDは、皮膚表面(表皮)のさらに奥にある真皮にまで到達します。真皮には、コラーゲンやエラスチンのもとになる「線維芽細胞」が存在していて、赤色LEDによって、活性化します。すると、コラーゲンなどが増えて肌の弾力がアップし、小じわや毛穴が目立ちにくくなります。また、血行を促進して、くすみやクマが改善できるほか、ニキビやニキビ跡の炎症を抑える、表皮の再生を促すといった効果も期待できます。

〇白色LED

美容皮膚科で用いられる白色LEDは、波長が830ナノメートルと長く、真皮のさらに奥深くにまで到達します。赤色LEDと同じように、真皮の線維芽細胞を活性化させたり、表皮を再生させる働きがあるほか、肌の奥にある筋肉層にまでアプローチすることも可能です。筋肉のもとになる細胞を活性化させて、筋線維(筋肉を構成する線維状の細胞)を太くし、しわやたるみの改善といった、エイジング効果が期待できます。

美容皮膚科で使われている「LEDヒーライトⅡ」

LED治療に使われる機器はクリニックによって違いますが、ここ数年、多くのクリニックで取り入れられているものの一つに「LEDヒーライトⅡ」があります。
LEDヒーライトⅡには、1800個ものLEDライトが搭載されています。また、590ナノメートルと830ナノメートルという、波長の異なる2種類のLEDを連続照射することができ、表皮から筋肉層までアプローチします。とくに、次のような症状の改善が期待できます。
  • ニキビやニキビ跡
  • しわやたるみ
  • くすみやシミ
  • クマ
  • 血行促進

このほか、やけどの跡や手術痕などの修復を早めたり、肩や腰、ひざの痛みの緩和にも効果を発揮します。さらに、髪のもとになる「毛母細胞」を活性化するため、薄毛や抜け毛に悩む人にも、人気を集めています。

LED治療のメリット

美容皮膚科の治療の中には、治療中に痛みを伴うものや、ダウンタイムが長くかかってしまうものがあります。そのため、こうしたポイントがネックになって、治療をあきらめたり、途中でやめてしまう人が少なくありません。でも、LED治療なら治療中の痛みはなく、ダウンタイムもほとんどありません。たとえば、LEDヒーライトⅡの場合も、横になって温かい光を10分間ほど浴びるだけなので、治療中に痛みを感じることはなく、リラックスしながら治療を受けることができます。また、ダウンタイムがないので、治療後にメイクをすることも可能です。さらに、肌への刺激が少ないことから、敏感肌の人や、日焼け後の人なども、治療を受けることができます。
なお、重大な副作用などはありませんが、皮脂腺が刺激されるので、小さな白いニキビができたり、まれにほてりや赤みが出ることがあります。

LED美容:家庭用美顔器と皮膚科治療の違い

ここまで皮膚科でのLED美容治療をお伝えしてきましたが、最近はネット通販などを中心に、家庭用のLED美顔器も販売されています。家庭用のLED美顔器にはさまざまなタイプがあり、たとえば、片手で持って動かしながら使うハンディタイプや、卓上ミラーのようにテーブルなどに置いて顔に照射するタイプ、顔全体を覆うマスクタイプなどがあるようです。また、LEDライトの色はメーカーによってさまざまで、単色のみのものもあれば、モードを変えながら複数の色を照射できるものもあります。さらに、超音波やスチームなど、さまざまな機能が搭載されている多機能型も販売されています。
家庭用LED美顔器の最大のメリットは、手軽にLED美容が楽しめる点でしょう。自宅にいながら、好きな時にケアができます。また、お伝えしたように、さまざまなタイプが販売されているので、使い勝手や肌の症状など、自分に合ったものを選べることも、魅力の一つです。
一方で、肌への効果という点では、皮膚科治療に軍配が上がります。やはり家庭用に比べて医療用のほうが性能はよく、たとえば、LEDライトの数も、家庭用だと多いものでも数百個ほどで、LEDヒーライトⅡに比べるとかなり少なくなります。さらに、皮膚科では、医師に相談しながら、ほかの治療と組み合わせることもできるため、短期間でより高い効果を期待する人には、皮膚科での治療がおすすめです。また、万が一、肌トラブルが起きてしまう可能性もゼロではないため、皮膚科のほうが安心感が高い、と感じる人もいるでしょう。
ちなみに費用に関しては、一概にどちらのほうがよい、とはいえません。美容皮膚科の場合は通院回数によって料金が変わりますし、もともとの肌の状態や期待値によって、費用に対する満足度も、人それぞれだからです。参考として、美容皮膚科の場合、1回あたりの料金は5,000~10,000円前後ですが、1回だけで目に見える効果を実感するのは、難しいでしょう。肌の状態にもよりますが、5~10回程度の通院が必要になることもあります。一方、家庭用のLED美顔器は、数万円から十万円以上と、料金に幅があります。

このように、家庭用美顔器にも皮膚科でのLED治療にも、違ったメリットがあります。ぜひ自分に合った方法でLED美容を楽しんでくださいね。

まとめ

  • LEDは、発光ダイオード(光る半導体)のことで、「Light Emitting Diode」の頭文字から、その名前が付けられた
  • LEDの波長の違いは、色の違いとして現れている
  • 美容皮膚科でのLED治療では、光の色を変えると期待できる効果も変わる
  • 青色LEDはニキビの治療や予防の効果を期待できる
  • 赤色LEDは、真皮の線維芽細胞を活性化して、お肌のハリをアップさせるほか、血行を促進する、ニキビの炎症を抑える、表皮の再生を促すなどの効果を期待できる
  • 白色LEDは、波長が長く、肌の奥にある筋肉層へのアプローチも可能で、しわやたるみの改善にも効果を発揮する
  • 美容皮膚科で使っているところも多いLEDヒーライトⅡは、波長の違う2種のLED光を連続照射することができ、表皮から筋肉層までアプローチすることができる
  • LED治療のメリットは、痛みやダウンタイムがなく、リラックスしながら治療を受けられる点
  • 家庭用美顔器にもいろいろな種類があるが、メリットもデメリットもあるので、自分に合った方法で楽しむのがよい