ヒゲ脱毛で髭剃りの手間・ダメージは削減できる?必要な回数や治療経過、効果について

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

案外と時間のかかる髭剃り、煩わしく感じていませんか?そんなお悩みを解決し、毎日の髭剃りから開放してくれるのが、「ヒゲ脱毛」という画期的な方法です、今回はヒゲ脱毛のメリットや、治療の実際などについてお伝えします。

注目が集まる「ヒゲ脱毛」

スキンケアへの関心が性別を問わず高まっている今、男性美容の中でも特に注目が集まっているのが、今回お伝えする「ヒゲ脱毛」です。スキンケアと言うと、かつては女性が中心という傾向にありましたが、この頃では、清潔感や年齢に合った「かっこよさ」などを求めて、肌の手入れを日常的に意識している男性も増えています。そんな中で、悩みのタネとなりやすいのが髭。朝の髭剃りに時間がかかる、剃り残しが気になる、髭剃り後のかさつきが気になる、といった声は多数聞かれます。とはいえ、髭は日々生えてくるものだから仕方ない、面倒だが習慣で毎日剃っている、という方も少なくないでしょう。

「ヒゲ脱毛」は、そのような悩みを解決してくれる手段の一つです。ヒゲ脱毛にもさまざまな方法があり、家庭用脱毛器や脱毛クリームなどを使って自宅で行う手段もあります。ただしセルフケアで持続する効果を得るのは難しいもの。一方、永久脱毛を目指せる皮膚科などでのヒゲ脱毛は、電車の広告などで目にすることも多く、今やメジャーな男性美容となっています。

ヒゲ脱毛の種類

皮膚科や美容外科などで受けられる代表的なヒゲ脱毛は、「医療レーザー脱毛」と呼ばれるものです。これは毛根の色素に反応するレーザーをあて、熱のエネルギーで周囲の細胞を灼焼し破壊する方法で、医療機関でのみ行えるもの。高い効果があり、永久脱毛が可能です。
(永久脱毛の定義は、米国のFDAでは、「一定の施術をおこなった毛の再生本数が長期間において減少し、維持されること」としています。また、米国電気脱毛協会では「最終脱毛から1ヵ月後の毛の再生率が20%以下の状態」と定義されています。)

毛には「毛周期」と呼ばれる生え変わりのサイクルがあり、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間があります。レーザー脱毛は、反応が良好な成長期の毛包がターゲットとなるため、施術はそのタイミングを狙って行います。毛が抜け落ちた後、次に成長を始めるまで皮膚の中で活動を停止している「休止期」は、脱毛を行っても効果が得られません。そのため、脱毛されなかった毛は成長期に入るのを待ち、再度照射する必要があることから、永久脱毛を目指すには、複数回施術を受ける必要があります。

また、「美容電気脱毛(ニードル脱毛)」と呼ばれる種類も、永久脱毛が可能なもので、毛穴に針を指し、電気を流すことで毛根と発毛組織を破壊します。美容電気脱毛は、医療機関だけでなく美容サロンなどでも受けることは可能ですが、扱うことのできる機器の種類が異なり、医療機関の方が、肌へのダメージや痛みが少ない傾向にあります。

一方、美容サロンなどで主に行われる「光脱毛」は、フラッシュの熱で毛根を弱らせるもので、毛を減らしたり、成長を抑えることはできますが、永久脱毛はできません。費用は比較的安いため、手軽に受け、日々の髭剃りの負担を軽くする、ということは可能です。

ヒゲ脱毛の実際

では、実際のヒゲ脱毛の流れについて、ここでは「医療レーザー脱毛」を中心にみていきましょう。まず施術前には、医師やスタッフの問診を受け、肌の状態を確認した上で、悩みに合った施術内容を決定します。施術の際は、目を保護するゴーグルを着用する他、痛みが不安な場合は、麻酔クリームを使用することも可能です。かなり痛いと言われる美容電気脱毛と比較すると、医療レーザー脱毛の痛みは軽度だとされていますが、施術後に赤みやヒリヒリ感がでることもあります。その場合は、クーリングや炎症を抑える軟膏を塗ることで、時間と共に軽減します。施術後は、肌に刺激を与えないよう注意し、特に紫外線ケアは入念に行うことが大切です。

医療レーザー脱毛を受けると、2〜3回の施術でも髭剃りの負担が楽になったことを実感できます。また、髭剃りによる日常的な肌への刺激が減るため、かさつきなどの肌トラブルも改善するでしょう。ただし、個人差がありますが、髭が薄くなるまでには5〜6回程度、髭剃りがいらなくなるまでには10〜15回程度の施術が必要と言われます。毛周期に合わせて施術間隔は4〜8週間あけるため、目的にもよりますが、効果を得るためには1〜2年かかるという目安を知っておきましょう。

ヒゲ脱毛を受ける際の注意点

ヒゲ脱毛は、毎日の手間や肌へのダメージを軽減できるものですが、事前に知っておきたい注意点もあります。

まず、いずれの脱毛方法でも多少の痛みは伴うということ。ただし、施術内容や、採用されている機器によっても異なり、痛みの感じ方には個人差があります。痛みを不安に感じる場合は、麻酔クリームなどを希望することもできるため、施術前のカウンセリングで確認しましょう。

また、永久脱毛で施術によって減らした髭は基本的に生えてきません。髭がない状態になると、思ったよりも幼い印象になってしまった、といった感想が聞かれることもあるため、自身のイメージをよく確認しておくことをおススメします。数年後、改めて髭を生やしたくなっても問題ないよう、髭を減らしたり、整えることをメインにする、という選択肢もあります。

ヒゲ脱毛の中でも、医療レーザー脱毛は高い効果を期待できる一方、それ相当の費用がかかるものでもあります。しかし、長期的にみると、毎日の髭剃りから開放される時間的なメリットや自宅での髭剃りに必要なシェーバーなどの費用をカットできるという点から、コストパフォーマンスの良い投資となるかもしれません。ヒゲ脱毛を検討する際は、きちんと説明を受け、自分の理想に合った手段を選ぶことが重要です。

まとめ

  • スキンケアへの関心が高まっている今、男性美容の中でヒゲ脱毛は特に注目されている
  • ヒゲ脱毛の種類は、医療機関や美容サロンで受ける施術からセルフケアまでさまざま
  • 医療機関でのみ行える医療レーザー脱毛は、効果が高く永久脱毛も可能
  • 美容電気脱毛は、医療機関と美容サロンでも受けられるが、取り扱われる機器の種類と効果は異なる
  • 光脱毛は、主に美容サロンで行われるもので、永久脱毛はできない
  • 毛には毛周期があり、永久脱毛を目指すには1〜2年かけて複数回施術を受けることが必要
  • 施術には痛みを伴う場合もあるが、麻酔クリームなどを希望することも可能
  • 永久脱毛の場合、減らした髭は基本的に生えてこないため、イメージをよく確認しておく必要がある
  • ヒゲ脱毛は、毎日の髭剃りの手間や肌への負担を軽減でき、セルフケアにかかる費用を減らすメリットもある
  • 効果に見合った費用も生じるため、説明を受け自分に合う手段を選択することが重要