目元・目の下にできやすい「ちりめんじわ」とは? 原因、対策、皮膚科での治療方法について解説。

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

ふと鏡や写真を見た時に、目元のちりめんじわが気になったことはありませんか?ちりめんじわは幅広い世代にできるもので、早ければ20代から出る人もいます。放っておくと深いしわになってしまうこともあるので、早めの対策がカギを握ります。そこで、原因や予防法、皮膚科での治療方法をみていきましょう。

ちりめんじわとは

ちりめんじわの原因を知るために、まずは肌の構造を押さえておきましょう。
私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造となっています。一番外側にある表皮の厚さはわずか0.2~0.3mm程度です。非常に薄い表皮ですが、いくつかの層が重なってできています。そのうち最も表面にある角質層はバリア機能や保湿機能を持ち、外から異物が侵入するのを防いだり、肌内部の水分をキープしたりする役割を担っています。
また、表皮の下にある真皮は、皮膚の大部分を占めています。コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが豊富で、皮膚のハリや弾力、潤いをキープしています。
そして、最も内側にある皮下組織は表皮や真皮を支えるクッションのようなもので、ほとんどが皮下脂肪でできています。

ちりめんじわの種類

顔のしわにはいくつかの種類があり、タイプによって原因が異なります。中でもちりめんじわは表皮にできる細かいしわで、「表皮性しわ」とも言われます。名前の由来でもある「ちりめん(縮緬)」は、糸に強い撚(よ)りをかけて作られる絹織物の一種。生地の表面にできる細かい凹凸に似た細かいシワが肌の表面にできることから、「ちりめんじわ」と呼ばれるようになりました。
ちなみにしわの種類には、表情筋が動く時にできる「表情じわ」や、しわが皮膚の深い部分まで到達する「真皮性しわ」、皮膚のたるみによってできる「たるみじわ」などがあります。

ちりめんじわの3大原因

ちりめんじわは、乾燥、紫外線、加齢の3大原因によって生じると考えられています。

〇乾燥

最も関連が深いと言えるのが、肌の乾燥です。角質層の機能が低下して乾燥すると、皮膚の柔軟性が失われて固くなり、縮こまってしまいます。その過程でできる細かいしわが「ちりめんじわ」です。顔の中でも特に、皮膚が薄く乾燥しやすい目のまわりは、ちりめんじわができやすい部分です。

〇紫外線

紫外線はしわだけでなく、シミ、くすみ、たるみといった、皮膚のあらゆる老化現象を招きます。紫外線を浴び続けると、肌の内側で大量の活性酸素が発生し、コラーゲンやエラスチンなどを破壊したり変性します。すると、ハリが失われ、しわができやすくなります。

〇加齢

皮膚には「ターンオーバー」と呼ばれる代謝の仕組みが備わっていますが、年齢を重ねると、そのサイクルが遅くなり、乱れやすくなります。新陳代謝がスムーズに行われなくなると、水分をキープする能力は低下し、しわが残りやすくなります。
加えて、年齢とともに皮膚の水分や皮脂は減り乾燥しやすくなることも、ちりめんじわができる大きな要因の一つです。

このような原因が重なってできるちりめんじわですが、比較的浅いしわのため、早めに適切な対処をすれば、目立たなくすることができます。また、新たなちりめんじわを作らないためには、日頃から予防策をとることも肝心です。

ちりめんじわの予防と改善方法

まず何よりも重要なのは、最大の原因とも言える乾燥を防ぐことです。空気が乾燥しやすい冬はもちろん、夏場もエアコンの効いた室内で長時間過ごしていると、肌は乾燥します。一年を通して、室内外の環境に気を配りましょう。あわせて、スキンケアの際は保湿力の高いアイテムを取り入れるなど、保湿ケアを入念に行いましょう。何気なく行っている洗顔やメイクが肌の負担となり、乾燥を招いていることもあります。肌に触れる際は、必要以上に摩擦刺激などの負担がかからないように注意しましょう。
次に、紫外線対策も欠かせません。外出する際は帽子や日傘、サングラスなどで紫外線から肌を守りましょう。また、室内にいることが多い人も、紫外線対策は必須です。というのも、紫外線は窓を通過して室内にも届くからです。さらに、曇りの日も降り注いでいます。日焼け止めを適切に使用し、汗をかく季節はこまめに塗り直すなどして、うっかり日焼けを防ぎましょう。
そして、生活習慣を見直すことも重要です。加齢による肌の衰えは誰にでも訪れるものですが、食事や運動、睡眠などを見直すことで、ターンオーバーのサイクルを整えたり、老化のペースを遅らせたりすることはできます。バランスのよい食生活と十分な睡眠時間を心がけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

こうしたセルフケアでちりめんじわが改善しない場合は、皮膚科で治療を受けることも選択肢の一つです。

ちりめんじわの治療方法

皮膚科で受けられるちりめんじわの治療法には、様々な種類があります。たとえば、保湿力にすぐれた美容有用成分を肌に浸透させるイオン導入やケアシス、古い角質を剥がしてターンオーバーを整えるケミカルピーリングは、ダウンタイムが少なく、はじめてでも試しやすい治療法です。また、極細針で皮膚に微細な穴を開けて皮膚の再生を促す「ダーマペン4」やレーザー治療、高密度焦点式超音波を使った治療法などは、高い効果が期待できます。
治療法によって施術時間やダウンタイム、注意点などに違いがあり、また、ちりめんじわが気になる部分や症状の程度によっても適切な方法は異なります。皮膚科では診察を受けた上で効果的な治療法を相談できるため、悩んでいる人は一度相談してみるとよいでしょう。

ちりめんじわを放っておくとより深いしわとなり、改善しにくくなることもあります。将来の肌トラブルを防ぐためにも、早めに対処しておきたいですね。

まとめ

  • 皮膚は3層構造になっており、一番外側の表皮は、0.2~0.3mm程度で非常に薄い
  • 表皮にできる細かいしわがちりめんじわで、表皮性しわとも呼ばれる
  • ちりめんじわの3大原因は、乾燥、紫外線、加齢と考えられている
  • 皮膚が薄く乾燥しやすい目のまわりは、ちりめんじわができやすい
  • ちりめんじわを予防、改善するには保湿ケアの徹底が重要
  • 紫外線対策や生活習慣の見直しもちりめんじわの予防につながる
  • セルフケアで改善しない場合は、皮膚科での治療が効果的
  • 様々な治療の選択肢の中から、症状に合う適切な方法を相談できる
  • ちりめんじわを改善し、深いしわへと悪化させないためには、早めの対処が重要