肌のざらざら、もしかしてコメド? コメドのできやすい肌の特徴や治療方法について解説。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

肌の小さなブツブツやざらつき、気になっていませんか?もしかするとそれはコメドかもしれません。コメドは赤ニキビの前段階の状態で、放っておくと炎症を起こして大きなニキビになることもあります。そこで今回はコメドとはどういう状態か、またコメドができたらどうすればよいのかなどについて解説します。

コメドとニキビ

コメドとは毛穴に皮脂が溜まった状態のことで、「面皰(めんぽう)」とも呼ばれています。ニキビの始まりの段階で、いわゆる「白ニキビ」や「黒ニキビ」といわれる状態にあたります。コメドがどういうものなのかをより詳しく知るために、ニキビの経過について押さえておきましょう。

(1)マイクロコメド

何らかの原因で皮脂が過剰に分泌すると、毛穴の入り口が狭くなって毛穴の奥に皮脂が溜まり始めます。この状態を「マイクロコメド」と呼びます。

(2)コメド(白ニキビ、黒ニキビ)

古い角質や皮脂がまざって毛穴が塞がれてしまった状態です。コメドの初期には、肌表面に白く小さなブツブツができ(白ニキビ)、触るとザラザラとします。そして、毛穴に溜まった皮脂が酸化すると、黒っぽく目立つようになります(黒ニキビ)。

(3)赤ニキビ

コメドの状態を放っておくと、ニキビの原因菌でもある「アクネ菌」が増殖するようになります。すると、炎症を起こして赤みや痛みを伴う赤ニキビに変化します。

(4)黄ニキビ

さらに炎症が悪化して化膿し、毛穴の内部に膿が溜まった状態です。

赤ニキビや黄ニキビの状態になると、治るまでに時間がかかるだけでなく、ニキビ痕が残りやすくなってしまいます。だからこそ、コメドの段階で適切にケアすることがとても重要です。また、コメドは赤ニキビの周辺に潜んでいることがあり、放っておくとニキビが治った後にまた別のニキビが発生することがあります。つまり、ニキビを繰り返さないためにも、正しい方法でコメドケアをすることが大切なのです。

コメドができやすい人の特徴

コメドは皮脂が過剰に分泌してそれが毛穴に詰まることが原因です。そのため、皮脂分泌が盛んな人はコメドができやすい傾向があります。具体的には次のようなタイプの人です。

〇脂質や糖質を摂りすぎている人

脂質や糖質の摂りすぎは、皮脂の過剰な分泌につながり、毛穴の詰まりやコメドを発生させる原因になります。

〇睡眠不足が続いている人、ストレスが溜まっている人

睡眠不足やストレスの蓄積は、自律神経のひとつである交感神経の働きを優位にします。すると、男性ホルモンが活性化して皮脂の分泌が盛んになるため、コメドができやすくなります。

〇間違ったスキンケアで皮脂を取りすぎている人

ニキビができやすい方の中には、皮脂分泌を抑えようと1日に何度も洗顔したり、洗浄力の強い洗顔料を使ったりする人がいます。けれども、こうした間違ったケアを続けていると肌の必要な水分が失われて乾燥を招くようになります。肌は乾燥するとかえって皮脂を分泌しようとするため、結果として毛穴が詰まり、コメドのできやすい肌になってしまうことがあります。

ほかに女性ホルモンの影響で皮脂がたくさん分泌する月経前なども、毛穴の詰まりやニキビのできやすいタイミングです。また、思春期も成長ホルモンの影響で皮脂分泌が盛んになる時期で、コメドができやすくなります。

コメドの治療

肌がざらざらしたり小さなブツブツができて、「コメドかな」と思った時は皮膚科を受診してみましょう。コメドの段階で皮膚科にかかることが大げさだと感じる人もいるかもしれません。けれども、今はニキビの治療も進化していて、コメドの段階から継続的に治療をおこなうことが推奨されています。
皮膚科では、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの成分を含む塗り薬を3ヶ月程度、継続的に使って治療をおこないます。これらの薬には毛穴を拡げたりターンオーバーを促したりする働きがあり、皮脂が毛穴に詰まりにくい状態を作ります。これによって、炎症を持つ赤ニキビになる前に肌の状態を改善することができます。
その他、漢方薬などの内服薬が出されることもあります。また、コメド以外に赤ニキビができている場合は、抗菌薬(外用薬)などが処方されます。

このような治療によってコメドを改善することができれば、将来的な赤ニキビやニキビ痕のリスクも減らすことができます。

コメド治療の注意点

アダパレンや過酸化ベンゾイルなどには副作用があります。特にアダパレンは使用開始から2週間以内に赤みや痒み、ヒリヒリ感、かさつきといった症状が現れます。使用者の約80%に出るといわれるほどよく現れる反応で、1ヶ月ほど使用を続けると次第に症状が落ち着いていきます。副作用が強い場合でも、薬の使用方法を変えたり、保湿剤を一緒に使うことで症状が軽くなることがあるため、主治医に相談してみましょう。副作用が気になるからと自己判断で薬の量や回数を極端に減らしたり、使用を中止すると、せっかく始めた治療の効果が現われなくなってしまいます。お伝えしたとおり、コメド治療薬の副作用はほとんどの人に現れるものですが、本当に肌に合わずに使えないという人はそれほど多くないといわれています。心配なことがあれば医師に相談しつつ、根気強く治療を続けていきましょう。なお、アダパレンは妊娠中や妊娠予定の方は使用できないため、該当する人は主治医に伝えるようにしてください。
また、過酸化ベンゾイルも赤みやかさつきなどの副作用が現れる人がいます。症状が出た時には主治医に相談しましょう。

このようにコメド治療薬は副作用が出やすく、中には「自分には合わなかったのかも」と思って諦めてしまう人がいるかもしれません。けれどもお伝えしたように、薬の使用方法を変えることで、副作用を軽減させることができます。即効性がある治療法ではありませんが、続けることでコメドやニキビ、そしてニキビ痕のできにくい肌を目指すことができます。コメドやニキビに悩んでいる人は、コメド治療について皮膚科で聞いてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • コメドとは毛穴に皮脂が溜まった状態のことで、いわゆる「白ニキビ」や「黒ニキビ」といわれる状態
  • 放っておくとニキビの原因菌でもある「アクネ菌」が増殖し、炎症を起こして赤みや痛みを伴う赤ニキビに変化するので、コメドの段階で治療をすることが大切
  • 皮脂分泌が盛んな人はコメドができやすいため、脂質や糖質を摂りすぎている人、睡眠不足が続いている人、ストレスが溜まっている人、間違ったスキンケアで皮脂を取りすぎている人、月経前の人、思春期の人などは特に注意が必要
  • コメド治療でよく使われるのがアダパレンや過酸化ベンゾイルといった塗り薬
  • 特にアダパレンは使用から2週間以内に副作用が出る
  • コメド治療薬の副作用は使用方法の見直しや保湿剤の併用で改善することもあるため、困った時は主治医に相談するとよい