大人ニキビと思春期ニキビの違いとは?原因や日常でできるスキンケア方法を紹介

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

頬やあご、首などにできる大人ニキビに悩まされていませんか。思春期にできるニキビとは異なる大人ニキビを改善するには、正しいケアが重要です。大人ニキビの原因やスキンケア方法をご紹介します。

ニキビとは

いわゆる大人ニキビと思春期ニキビは、発生する原因や部位が異なりますが、どちらも皮膚の病気としては同じものです。ニキビは医学的には、「ざ瘡(ざそう)」と呼ばれます。毛穴に皮脂が溜まることがきっかけで生じる慢性的な炎症で、おでこや頬、口周り、下あごなどに発疹ができます。
症状の程度は様々で、皮脂が毛穴にたまっている初期段階はポツポツとした膨らみができます。特に、毛穴の出口が閉じていると白っぽく見えるものは「白ニキビ」、毛穴が開いて酸化した皮脂が黒く見えるものは「黒ニキビ」と呼ばれます。また、毛穴の中で炎症が起こるとニキビが赤みをもった発疹となります。これは「赤ニキビ」と呼ばれます。さらに膿が出るまで悪化すると「黄ニキビ」になることも。多くの場合、このようなニキビが混じり合ってみられ、症状が良くなったり悪くなったり、という経過を繰り返します。軽度のニキビは適切なケアによって比較的すぐに目立たなくなりますが、無理につぶそうとしたり、炎症が長引いたりすると皮膚にニキビ痕が残ってしまうこともあります。ニキビによるトラブルを防ぐためには、原因に応じた早めの対策が重要です。

大人ニキビの原因

皮膚に発疹ができる症状は同じですが、一般的には思春期にできるものを「思春期ニキビ」、大人になってできるものを「大人ニキビ」や「吹き出物」などと呼び分けることがあります。
思春期ニキビは10代に多く見られ、成長ホルモンの影響で皮脂が過剰に分泌されることが大きな原因です。生理的なニキビとも言える思春期ニキビは、ホルモンバランスが安定してくる20歳前後になると自然に治っていく傾向があります。
一方、大人ニキビの原因は複雑で、不規則な生活や睡眠不足、食生活の乱れ、過労、ストレスなど、ライフスタイルとそれらに関わるホルモンバランスの乱れが大きく関わっていると考えられています。肌には「ターンオーバー」と呼ばれる生まれ変わりの仕組みが備わっていますが、生活リズムが乱れ、特に睡眠が不足すると、そのサイクルが崩れてしまいます。すると、新陳代謝がスムーズに行われずに毛穴が詰まりがちになり、その結果、ニキビができやすくなる、ニキビ痕が消えない、シミやくすみが目立ってくる、といった状態になってしまうのです。
また、誤ったスキンケアや紫外線、肌の乾燥によるバリア機能の低下も、ニキビが悪化する要因となります。

大人ニキビの特徴

皮脂の分泌が多いTゾーンや鼻周りにできやすい思春期ニキビに対して、大人ニキビは頬、口周りを含むUゾーン、首、デコルテなどにできやすい傾向があります。皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位にできるのは、大人ニキビの特徴の一つと言えるでしょう。
また、大人ニキビは治りにくく同じところに繰り返しできやすいため、無意識に触っていると痕が消えずに残ってしまうケースも少なくありません。

大人ニキビの予防方法

大人ニキビを治したり予防するためには、ライフスタイルも含めた見直しが必要になります。つい甘いものを食べ過ぎたり、外食が続き野菜が不足しがちになったり、食生活が偏るとニキビはできやすくなります。ニキビを予防するためには、バランスの良い食事を心がけることはもちろんですが、たとえば納豆やアボカドなどに豊富に含まれるビタミンB群、柑橘類、ブロッコリーなどに豊富に含まれるビタミンCなどを意識して摂り、肌の調子を整えましょう。
その他に、適度な運動はストレスを解消し、便秘を予防する効果も期待できるため、おすすめです。不規則な生活や疲れ、睡眠不足は、ホルモンバランスが乱れニキビが悪化する要因となります。夜は軽いストレッチなどをしてから、早めに就寝することを心がけましょう。
さらに、注意しておきたいのは寝具を清潔に保つことです。直接顔に触れるシーツや枕カバーなどに雑菌が付着していると、ニキビが悪化してしまいます。こまめに取り替え、ベッドの周りはいつも清潔な状態にしておきましょう。

スキンケアのポイント

大人ニキビができてしまった時は、正しいスキンケアを行うことが大切です。次の点を意識してみましょう。

〇保湿ケア

肌のバリア機能を高め、トラブルを起こりにくくするために一番のポイントとなるのは保湿です。まず洗顔は、洗顔料をよく泡立ててやさしく洗い、ぬるま湯か水で洗い流しましょう。強く擦るとバリア機能が低下して乾燥を招きます。洗顔後は、清潔なタオルでそっと押さえるようにして水分を拭き取り、すぐに保湿ケアを行います。その際、「ニキビの原因になるかもしれない」と、油分の入った乳液やクリームなどを避ける人も少なくありませんが、化粧水のみでは肌の潤いを十分に保つことができません。乳液などによってきちんと保湿され肌が潤うと、角質層がやわらかくなり毛穴が詰まりにくくなります。「乳液やクリームは絶対にNG」とせず、自分に合う化粧品を選びましょう。

〇身体のスキンケア

大人ニキビが首や背中などにできやすい場合も同じく、清潔を保ち、保湿を心がけることが大切です。シャンプーや洗顔料などのすすぎ残しがニキビのきっかけになることもあるため、しっかりと洗い流しましょう。ただし、ゴシゴシ擦るのは厳禁です。衣類は通気性の良いものを選び、汗をかいた時は早めに着替えましょう。

〇紫外線対策

外出の際は日傘や帽子などで紫外線対策を徹底し、室内で過ごす際も日焼け止めを塗るなど、UVケアを常に行いましょう。紫外線はシミやしわといった様々なトラブルの原因となりますが、特に肌の乾燥を引き起こすと毛穴が詰まりやすくなるため、ニキビが悪化してしまいます。顔や体にもできる大人ニキビの対策はもちろん、スキンケアの基本としても紫外線対策は重要です。

大人ニキビが改善しない時は皮膚科へ相談を

ここまで大人ニキビの予防方法やスキンケアのポイントをお伝えしてきましたが、このような対策を取り入れても、ニキビがなかなか改善しない場合があります。軽度のニキビであれば市販薬で治ることもありますが、症状が悪化したり長引いたりするとなかなか消えない痕が残ることも少なくありません。特に、赤みや膿を伴う時や、痛みがある時などは早めに皮膚科を受診しましょう。

まとめ

  • 大人ニキビと思春期ニキビは皮膚の病気としては同じもので、医学的にはざ瘡と呼ばれる
  • ニキビは、毛穴に皮脂が溜まることがきっかけで生じる慢性的な皮膚疾患である
  • ニキビの症状には様々な段階があり、悪化するとニキビ痕が残ることもある
  • 大人ニキビの原因にはライフスタイルやホルモンバランスの乱れなどが複雑に関わっている
  • 大人ニキビは頬、口周りを含むUゾーン、首、デコルテなどにできやすい
  • 大人ニキビを予防するには、生活習慣を見直し、寝具を清潔に保つことと、保湿や紫外線対策を徹底し、肌のバリア機能を高めることが重要