メスを使わない、切らないフェイスリフト。たるみ、しわにおすすめできる『ダブロ』『リフテラ』とは?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

気になる肌のたるみやしわ。なんとかしたくてもメスを使う施術を不安に感じ、美容皮膚科を敬遠していませんか。実は今、メスを使わない次世代のフェイスリフトが人気を集めています。治療の内容やその効果について、詳しくお伝えします。

たるみが目立ってくるのはなぜ?

はじめになぜ顔や頬のたるみが生じてくるのか、その理由をみていきましょう。
たるみの原因としてまず挙げられるのは、コラーゲンの減少や質の変化です。皮膚の真皮層にあるコラーゲンには、肌のハリや弾力を保つ役割があります。しかし、加齢や紫外線、乾燥といった要因によってコラーゲンを産生する力は衰え、量が減ったり質が低下したりするようになります。その結果、真皮の上にある表皮を支えきれなくなると、たるみが生じてしまうのです。
また、もう一つの重要な原因は、筋力の低下です。顔に多数ある表情筋は、動かさないと衰えてしまいます。表情を変えることが少なかったり、頬杖をつく、片方ばかりで噛むといった癖があったりすると、使われない筋肉が衰えて重力も加わることでたるみが生じるようになります。その他、むくみや脂肪の増加もたるみが目立ってくる一因です。
このように様々な原因が関わっているたるみは、セルフケアで改善することが容易ではありません。そして、たるみは、しわや二重顎にもつながるため、実年齢より老けて見られる、といった悩みの種にもなります。

従来のフェイスリフト

たるみの改善方法として、従来から美容治療の領域で行われてきたフェイスリフトは、メスを使ってたるみの部分を除去する手術です。耳の周りの皮膚を切開し、頬やこめかみの部分を剥がしてたるみを取り、再び耳のところで縫合するという方法で、傷痕はそれほど目立ちません。また、皮下組織と筋肉の間には、「SMAS(スマス)」と呼ばれる薄い筋膜があり、皮膚の土台としての役割を担っています。フェイスリフトの手術は、皮膚と同時にSMASも引っ張るため、たるみをより改善し、すっきりとしたフェイスラインを目指すことができます。
ただし、フェイスリフトの手術には、ダウンタイムや様々な合併症のリスクを伴います。手術は局所麻酔でも行われますが、広範囲の場合は全身麻酔が必要で、麻酔のリスクが生じる他、顔面神経を傷つけたり、手術後の出血量が多くなったりする可能性はゼロではありません。また、腫れや痛み、内出血といったダウンタイムの期間が落ち着くまでには1〜2週間かかります。そのような観点から、従来のフェイスリフトは手術そのものへの不安が強い人やダウンタイムの時間がとれない人などには、おすすめできない方法と言えるでしょう。

切らないフェイスリフト、『ダブロ』『リフテラ』とは

美容治療でたるみを改善したいけれどメスを使う治療は不安、という場合に、新たな選択肢となるのが、切らないフェイスリフトです。「ダブロ」や「リフテラ」と呼ばれる機器を用いるこの施術は、どちらも高密度焦点式超音波(HIFU・ハイフ)を利用するたるみ治療です。一定の深さの一点に超音波のエネルギーを集めて、ピンポイントで点状に高い熱エネルギーを発生させることができるため、メスを使わず、皮膚の土台であるSMASに直接刺激を加えることができます。SMASにエネルギーが加わると、たんぱく質が縮み、SMASのゆるみが引き締まるため、たるみの改善につながるのです。
また、深層部からたるみが引き上げられるため、肌のキメが整ったり、美肌効果も期待できます。ダブロはたるみの引き上がりは直後から、ハリ感は2〜3週間後に出始め、3〜4週間後がピークとなります。リフテラはたるみの引き上がりは直後から、ハリ感は2~3週間後に出始め、約6~8週間後にピークとなります。その後は3ヶ月ほどで肌の状態は元に戻りますが、ダブロは3〜4ヶ月に1回の間隔で、リフテラは1ヶ月に1回を3回、その後3~6ヶ月に1回を定期的に継続して治療を受けることで効果をキープすることが可能です。

ダブロやリフテラの治療の流れ

ここで、治療の流れを見ていきましょう。
まず治療を受ける場合は、初めに問診と診察があり、肌の状態や悩みを確認した上で、適切なプランの提案や料金の説明があります。
施術は、洗顔を行った上でジェルを塗布してから行います。施術部位にダブロまたはリフテラを照射していきますが、超音波のため目の保護は必要ありません。筋膜までエネルギーが届くため、奥に響くような痛みが生じる場合もあります。
施術時間の目安は30分~1時間程度で、施術直後からフルメイクが可能です。ただし、強く擦ったりする行為は控えましょう。ダブロ、リフテラともに適切な間隔をあけて治療を継続して受けると、たるみの改善や美肌効果をより期待できます。

HIFU治療の注意事項

ダブロやリフテラは、従来のフェイスリフトと比較すると、肌への負担が圧倒的に少ないものです。ただし、施術後は多少の赤みやむくみ、ほてり、ヒリヒリ感が出る可能性があることは理解しておきましょう。また、ごくまれに1〜2週間程度腫れが続いたり、色素沈着が生じたりする場合もあります。もともと肌が弱い人や副作用への不安が強い人は、問診の段階で懸念点をきちんと確認しておくと良いでしょう。
その他、皮膚炎の症状が出ている方や、強い日焼けをした直後の方、妊娠中・授乳中の方などは施術が向かないと判断されることもあります。肌の状態と適切な治療のタイミングを見極めることが大切です。

ダブロやリフテラは、肌への負担を抑え、たるみ改善を目指すことができる次世代の治療法です。たとえば大切な予定に合わせて、事前に施術を受けておいたり、定期的なメンテナンスとして取り入れたりすることも可能です。興味がある方は、一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • たるみは、コラーゲンの衰えや減少、筋力の低下、むくみ、脂肪の増加などが関わって生じる
  • たるみに対して従来から行われてきたフェイスリフトは、メスを使ってたるみの部分を除去する手術
  • フェイスリフトの手術は、ダウンタイムや合併症のリスクを伴うため簡単には受けにくい
  • 「ダブロ」や「リフテラ」は、どちらも高密度焦点式超音波を利用するたるみ治療で、切らないフェイスリフトとも呼ばれている
  • 超音波のエネルギーによってSMASに直接刺激を加えるため、ゆるみが引き締まる
  • HIFU治療はたるみ改善の他、肌のキメを整える効果も期待できる
  • ダブロやリフテラの施術時間の目安は30分〜1時間程度で、施術直後からフルメイクが可能
  • 肌への負担が少ない施術だが、多少の赤みやほてりが出る可能性はあり、施術が向かない人もいる
  • たるみを改善したい場合は、まずカウンセリングを受け適切な治療を知ることが大切