潤いのある肌に導く水光注射とは?様々なお悩みに応じた効果やダウンタイムなどの懸念点まで解説

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

韓国では、輝くような潤いのある肌を「水光皮膚(ムルグァンピブ)」と呼びます。そんな美肌を目指せる施術として人気を集めているのが、「水光注射」です。アンチエイジング効果も期待できると言われていますが、具体的にどんな施術なのでしょうか。水光注射の特徴や効果、ダウンタイムなどの注意点などについて詳しく解説します。

水光注射とは?

水光注射は、9本の細い注射針がついた専用の機器を使い、ヒアルロン酸などの美容成分を真皮の浅い層に直接注入する施術です。「ヒアルロン酸」と聞くと、しわの深い溝や唇、涙袋など、ボリュームアップをしたいところに打つ注射が思い浮かぶかもしれませんが、水光注射は別物です。より柔らかいソフトヒアルロン酸を顔全体の皮膚に注入するのが、水光注射です。
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3つの層が重なってできています。水光注射の薬剤を注入する真皮には、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなど、肌の潤いやハリ、ツヤ、弾力に欠かせない細胞がもともと存在しています。その中でもヒアルロン酸は抜群の保水力を持っており、1グラムで6リットルもの水分を抱え込むことができるとも言われています。肌の潤いやハリ、ツヤを維持し、若々しい肌をキープするために必要不可欠なヒアルロン酸ですが、20代をピークにその量は減少していきます。すると、皮膚の保水力は徐々に低下し、乾燥や小じわなどの肌トラブルが起きやすくなります。また、ハリやツヤも失われるため、老けた印象を与える原因にもなります。
そんな美肌に欠かせないヒアルロン酸を注入できるのが、水光注射です。ヒアルロン酸を顔の皮膚全体に注入することで、潤いのある肌を目指すことができます。

水光注射はこんなお悩みがある方におすすめ

水光注射は、様々な悩みに効果を発揮します。特に次のようなお悩みがある方におすすめです。

〇乾燥や小じわに悩んでいる

保水力の高いヒアルロン酸が注入されることで、肌の乾燥やそれによって生じる小じわの改善が期待できます。

〇ハリや弾力の低下が気になる

水光注射によってヒアルロン酸が注入されると、それが刺激になって肌内部のコラーゲンが生成されやすくなります。コラーゲンが増えると、肌の弾力やハリ、ツヤを維持しやすくなり、若々しい肌に近づくことができます。ハリやツヤの低下、さらには肌の老化に悩んでいる人にも、水光注射はおすすめです。

○肌に透明感がない、くすんでいる

乾燥などによって肌のキメが乱れていると、皮膚の表面が凸凹して光が均一に反射されなくなり、くすんでいるように見えてしまいます。水光注射によってキメが整うと、肌の透明感がアップし、くすみが改善されます。また、肌が滑らかになると、化粧ノリもよくなります。肌をワントーン明るくしたい人にもおすすめです。

一人ひとりに合わせた治療ができるのも水光注射のメリット

潤いのある肌を目指せる水光注射ですが、もう1つ大きな特徴があります。それは、ヒアルロン酸に、他の美容薬剤を混ぜて注入することができる点です。美肌効果がより高まり、お悩み解決に役立てることができます。注入できる薬剤には、プラセンタやビタミンC、ビタミンB群、トラネキサム酸、ボツリヌスなどがあります。ニキビや毛穴トラブル、シミ、くすみなどを改善する作用、美白作用、抗酸化作用など、薬剤によって効果が異なるため、自分の悩みを主治医に伝えてベストな薬剤を選びましょう。また水光注射は、肌の状態に合わせて針の長さや注入量を調節することもできます。

水光注射の効果を実感できる期間と施術頻度について

個人差はありますが、施術から2日ほどすると効果を実感できるようになります。初回は効果の持続期間が短く、施術から1~2週間ほどでピークを迎えた後、少しずつ薄れていきます。効果をキープするためには、まずは3~4週間に1回のペースで4回ほど施術を続け、その後は2~3ヶ月に1回のペースで施術を重ねるのがおすすめです。

水光注射のダウンタイムについて

水光注射の施術では、機器を使って9本の針を一度に刺します。機器で肌を吸引しながら均一に注入するため、手打ちの注射に比べると痛みは少ないと言えます。ただ、それでも針を刺す施術である以上、個人差はありますが、痛みを伴います。初めて受ける方や、痛みに対して抵抗感ある方は麻酔クリームを塗ってから施術を受けると良いでしょう。
また、施術後は次の症状が出ることがあります。

〇赤みや腫れ、ヒリヒリ感

施術後は肌に赤みや凸凹した腫れ(膨疹)が現れることがあります。赤みは1日でひきますが、数日間は肌の表面がポコポコしている状態が続きます。こうした施術後の腫れは回数を重ねたほうが出やすくなります。稀ですが、小さな腫れがいくつも隣り合ってできることで、顔全体が腫れているように見えてしまうことがあります。

○内出血(皮下出血)

針が血管を刺激して内出血を起こすことがあります。特に目の周りなど、皮膚の薄い部分は内出血を起こしやすい部位です。内出血は少しずつ落ち着いていき、1週間~2週間すると目立たなくなります。

水光注射の症状は、内出血などを含めても2週間ほどで落ち着きます。しかし、初めて受ける人や、何度も受けていて膨疹が出やすいことがわかっている人は、ダウンタイムが長引く可能性を踏まえてその後の予定を立てたほうが安心です。

水光注射後の注意点

水光注射の後は、ダウンタイムを長引かせないためにもケアを正しく行うことが大切です。特に、次の点に注意しましょう。

○肌を刺激しない

施術後の肌は敏感なため、刺激しないようにすることが大切です。入浴や洗髪は当日から、メイクは翌日から可能ですが、こすったり強く押したりしないようにしましょう。洗顔料や化粧品は、刺激の少ないものがおすすめです。

〇紫外線対策を行う

紫外線も肌への刺激となりダウンタイムを長引かせる原因になります。施術後は、帽子や日傘などを活用して紫外線対策を徹底してください。また、日焼け止めはできるだけ肌への負担が少ないものを選びましょう。

〇保湿をする

肌が乾燥するとバリア機能が低下してさらに刺激を受けやすくなってしまうため、しっかりと保湿ケアを行いましょう。低刺激性のスキンケアを選び、やさしく丁寧にケアしてください。

今回は、水光注射についてご紹介しました。水光注射は、加齢によって低下しやすいヒアルロン酸を肌に補うことができ、エイジングケアをしたい人や乾燥・小じわに悩む人などにおすすめの施術です。施術中の痛みや、施術後の赤み、腫れなどはありますが、麻酔クリームを使用したりと、症状を緩和する方法もあります。潤いのある肌を手に入れたい人は、まずは美容皮膚科で相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 水光注射は、9本の針が付いた機器で、ヒアルロン酸などの美容成分を真皮の浅い層に直接注入する施術
  • ヒアルロン酸を注入することで、肌の潤いや弾力、透明感がアップし、小じわの改善やアンチエイジング効果が期待できる
  • ヒアルロン酸に他の美容薬剤(ビタミンC、プラセンタなど)を混ぜて注入でき、一人ひとりの肌の状態や悩みに合わせた施術が可能
  • ダウンタイム中には、赤み、腫れ、内出血などが起こる可能性があるが、2週間ほどで落ち着くことが多い
  • ダウンタイムを長引かせないためには、肌への刺激を避け、保湿や紫外線対策を行うなど、正しいアフターケアをすることが重要