繰り返す「髭剃り負け」...治らない原因は?専門家が教える根本対策と医療脱毛という選択肢。

執筆:吉村 佑奈(看護師・保健師)

毎日の髭剃り後、肌のヒリつきや赤み、ブツブツに悩んでいませんか?「いつもの髭剃り負けだろう」と軽く考えているうちに、知らずに毛穴の炎症を悪化させてしまっているかもしれません。この記事では、髭剃り負けの原因から対策、そして根本的な解決策となる医療脱毛までを詳しく解説します。繰り返す髭剃り負けに悩んでいる人は、ぜひご一読ください。

「髭剃り負け」とはどんな状態?放置すると悪化する?

髭剃り負けとは、髭のシェービング後に起こる肌トラブルの総称です。髭剃りの際、カミソリの刃は髭だけでなく、皮膚の最も外側にある角質層も一緒に削り取っています。この角質層は、肌を外部の刺激から守るバリア機能の役割を担っています。バリア機能が壊れることで肌は無防備な状態になり、ヒリヒリ感、赤み、痒み、小さなブツブツといった症状が引き起こされることがあります。 さらに、肌のバリア機能が低下した状態を放置すると、毛穴の奥に細菌が侵入しやすくなります。これにより、毛根を包む組織である毛包に炎症が起きると「毛包炎」を発症するリスクが高まります。特に、男性の髭が生える部分(顔や首)にできる毛包炎は、「尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)」と呼ばれています。尋常性毛瘡は、赤みや膿を持ったブツブツができ、多発することもあります。痛みや痒み、さらには色素沈着や瘢痕(はんこん:傷跡のこと)を残す可能性もあるため、早めの対策がとても重要です。

なぜ繰り返す?「髭剃り負け」の根本原因

髭剃り負けやそれに伴う肌トラブルが繰り返されるのには、いくつかの原因があります。

○自己処理による肌への物理的ダメージ

髭を剃る際、肌に刃を強く押し付けたり、何度も同じ場所を剃ったりすることで、必要以上に肌の角質層を傷つけていることがあります。また、切れ味が落ちたカミソリの刃を使っていると、髭をスムーズに剃ることができず、必要以上に力が入ってしまい肌に大きな負担がかかります。

○不衛生なシェーバーの使用

使用後のカミソリには、髭や皮脂、古い角質などが付着しています。これを放置すると、雑菌が繁殖しやすくなります。雑菌が付着したカミソリで髭剃りをすると、剃毛時にできた肌の小さな傷や毛穴から細菌が侵入し、尋常性毛瘡を引き起こすリスクが高まります。

○不適切なシェービング方法

シェービングフォームやジェルを使わずに乾燥した状態で髭剃りをすると、刃と肌の間に生じる摩擦が大きくなり、肌のバリア機能が低下する原因となります。また、髭が硬いまま剃り始めると、刃が引っかかりやすく肌に余計な負担がかかります。

こうした髭剃り負けを起こしやすい習慣に思い当たるものがある人は、日々のシェービング方法を見直してみましょう。

今すぐできる「髭剃り負け」対策

ここからは、髭剃り負け予防につながる具体的な対策をご紹介します。

○髭剃り前に洗顔をする

顔にほこりや余分な皮脂がついていると、刃を滑らせる時に引っかかることがあり、余計な力が入って髭剃り負けの原因になります。髭剃り前には洗顔をして、ほこりや余分な皮脂を落としておきましょう。

○髭剃り前に髭を柔らかくする

髭を柔らかくしておくと、刃が剃りやすくなって肌への負担を軽減できます。髭剃り前に蒸しタオルで温めたり、入浴中や入浴後に剃るのがおすすめです。

○シェービング剤をしっかり使う

シェービングフォームやジェルは、刃の滑りを良くし、肌への摩擦を減らします。肌が敏感な人は刺激性の低いものを選び、たっぷりと塗布しましょう。

○毛の流れを意識してやさしく剃る

カミソリを使う場合は、髭の生えている方向に沿って剃る「順剃り」をすると、肌への負担を抑えることができます。力を入れずにやさしく滑らせるように剃りましょう。一方、電動シェーバーは「逆剃り」が推奨されています。シェービングの手段によって推奨される剃り方が違うため、注意しましょう。

○シェービング後に保湿ケアを行う

髭剃り後の肌は非常にデリケートな状態です。化粧水や乳液などでしっかりと保湿し、肌のバリア機能を整えましょう。肌が敏感な時は低刺激の製品がおすすめです。

○シェーバーを清潔に保ち、適切に管理する

シェーバーは使用後すぐに水洗いし、髭や皮脂などの汚れをしっかり除去しましょう。その後は風通しの良い場所で乾燥させ、雑菌の繁殖を防ぎます。また、切れ味が悪くなった刃を使い続けていると、肌への負担が大きくなります。毎日シェービングをする人は2週間に1回程度の頻度で交換しましょう。電気シェーバーの刃も定期的な交換が必要です。

このような対策をとっても症状が改善しない場合や、赤み、膿を持ったブツブツが悪化する場合は、放っておかずに皮膚科を受診しましょう。尋常性毛瘡などになっている可能性があり、症状に合わせた治療が必要です。専門医の診察を受けて、適切な対応をとりましょう。

根本的な解決策として医療脱毛は有効

日々のシェービング対策や皮膚科での治療を行っても、髭剃り負けが繰り返されてしまう場合は、根本的な解決策として医療脱毛を考えてみるのも良いでしょう。医療脱毛と言うと女性向けの施術と思われがちですが、最近は多くの美容皮膚科で医療レーザーを使ったメンズ脱毛が行われていて、髭脱毛もその一つです。
医療脱毛とは、医療レーザーを照射することで毛根の組織を破壊し、毛の再生能力をなくす施術です。髭そのものが生えてこなくなる、あるいは薄くなることで、以下のようなメリットが得られます。

○髭剃りによる肌トラブルのリスクが減る

髭剃り自体が不要(もしくは回数が減る)になるため、カミソリの刃による物理的な摩擦やダメージがなくなります。これにより、カミソリ負けや肌のバリア機能低下のリスクを根本から取り除き、毛包炎や尋常性毛瘡の発症リスクも大幅に減らせます。肌本来の健康な状態を取り戻しやすくなり、赤みやブツブツも解消されます。

○自己処理の手間から解放される

レーザーによって破壊された毛包からは基本的に毛が生えてこないため、長期的に髭剃りから解放されます。毎日の髭剃りの時間や手間がなくなり、朝の準備が楽になります。

○清潔感の向上

髭の目立たない状態を保てるだけでなく、肌トラブル自体も減るため、清潔感がアップし、見た目の印象が良くなります。

髭脱毛を受ける前に知っておきたい注意点

髭脱毛には多くのメリットがありますが、一方で注意点もあります。

○一定の費用がかかる

医療脱毛は保険適用外のため、一定の費用がかかります。非常に高額というイメージを持たれがちですが、実際の費用は希望する部位や理想とする状態によって大きく異なります。一般的に髭脱毛の対象になる部位は、顎、顎下、頬、鼻下などで、これらのうちすべての部位を施術するのか、一つの部位のみを行うのかによっても料金は変わってきます。また、髭が薄くなり日々のお手入れが楽になる程度を目指すのか、髭が全く目立たないツルっとした状態を目指すのかによって脱毛の回数が変わります。
部位や回数によって10万円を下回る場合もあれば、20万円を超える場合もあるため、どのくらいかかるのか気になる人は、カウンセリングで実際に確認してみると良いでしょう。

○施術に痛みが伴う

医療レーザーは効果が高い分、多少の痛みを伴います。痛みの感じ方は個人差が大きいため一概には言えませんが、髭は毛が太い分、痛みがやや強く出る可能性があります。クリニックでは麻酔クリームを塗ることもできるため、痛みが心配な人は相談しましょう。

○複数回の通院が必要

毛の生え変わるサイクル(毛周期)に合わせて、1~2ヶ月おきに施術を行うため、効果を実感するまでに複数回の通院が必要です。通院回数は希望する状態や元の毛の状態によっても異なりますが、一般的に自己処理が楽になる程度を目指す場合は5~6回程度の施術が必要です。ただし、もともと毛の濃い人や、毛の全く目立たない仕上がりを目指す場合は10回以上の施術が必要になることも珍しくありません。いずれにしても、長期的な通院が必要になる点は頭に入れておきましょう。

○「毛を生やしたい」と思っても生やすことができない場合も

医療脱毛は永久脱毛のため、「やっぱり髭を生やしたくなった」「流行に合わせてデザインを変えたい」と思っても、元の状態に戻せない可能性があります。特に施術回数が多くなればなるほど難しくなります。そのため、医療脱毛を検討する際は、ライフプランや理想のイメージを慎重に考慮し、後悔のない選択をすることが重要です。

以上の点を理解した上で、カウンセリング時に医師と十分に相談し、納得して施術を受けるようにしましょう。

医療脱毛で繰り返す髭剃り負けから卒業しよう

毎日の髭剃りによる肌トラブルは、一時的なものではなく、毛穴の炎症である毛包炎や、それが慢性化した尋常性毛瘡に発展する可能性があります。正しいシェービング方法の実践や、カミソリの適切な管理で症状が軽減する場合もありますが、変化が見られない場合は、医療脱毛も検討してみてください。一時的に費用や通院の負担はかかりますが、得られるメリットは少なくないでしょう。

まとめ

  • 髭剃り負けは髭剃りで肌の角質層が削られ炎症を起こす状態であり、放置すると尋常性毛瘡に進行するリスクがある
  • 繰り返す髭剃り負けの原因は、誤ったシェービング方法や切れ味の悪いカミソリ、不衛生なシェーバーの使用、乾燥した状態での髭剃りなどが挙げられる
  • 髭剃り負け対策として、シェービング前に洗顔をする、髭を柔らかくする、シェービング剤を使う、毛の流れを見て剃る、髭剃り後に保湿ケアをする、シェーバーの清潔な管理と定期的な刃の交換を心がける、といったことが重要である
  • セルフケアで改善しない場合は皮膚科受診が必要で、毛包炎や尋常性毛瘡には専門的な治療が求められる
  • 医療脱毛には、髭剃り負けを防ぐことはもちろん、自己処理からの解放、清潔感の向上などのメリットもある