知っておきたい!正しいニキビケア

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

思春期に多くの人が経験する代表的な肌トラブル「ニキビ」。大人になると「吹き出物」と呼ばれることもありますが、どちらも同じ皮膚の疾患です。しかし、大人ニキビはより複雑な原因が関わっている可能性が考えられます。自己流のケアをして悪化させないように、正しい対策を知っておきましょう。

そもそも、ニキビとは?

思春期のニキビは「青春のシンボル」などと言われ、約8割の人が経験するともいわれています。そのため、よくあることと放っておく、指で潰そうとするなど、自己流のケアですませてしまう傾向がみられます。しかし、ニキビは「ざ瘡(ざそう)」という立派な皮膚の病気であることをご存知でしょうか?
ニキビは、おでこや頬、口周り、鼻、下あご、胸、背中などにできる発疹で、簡単にいうと、毛穴が詰まることによって起こる皮膚トラブルです。自然に治る軽いものから、炎症を起こして跡が残るなど重症化するものまで、その程度はさまざまです。対処を誤ると、のちのち深刻な問題に発展するかもしれませんので、予防と早い段階での適切なケアが肝心です。

ニキビの原因はさまざま

ニキビができてしまう原因には、さまざまな要因が関わっています。とくに、思春期ニキビの原因になりやすいのは、皮脂の過剰な分泌です。これは男女とも、その年代になると、皮脂の分泌を促す男性ホルモン「アンドロゲン」の比率が高くなることが影響しています。また、脂っこいものや甘い物の食べ過ぎといった食生活の乱れやストレスなども、皮脂の分泌を活発にしたり、ホルモンバランスを乱したりする要因になります。
日常の手入れでは、洗顔が不十分であることや常にメイクをしていることも、毛穴が詰まる要因となります。これらはとくに、大人ニキビに多い要因といえるでしょう。なぜなら、社会人になるとメイクをした状態で長時間過ごすことが増えるからです。さらに、肌は「ターンオーバー」と呼ばれる約28日のサイクルで新しい細胞に生まれ変わっています。しかし、食生活の乱れや睡眠不足、加えて加齢も関与してそのサイクルが乱れると、毛穴の角層が厚くなってしまいます。
このような要因が重なって毛穴の出口が塞がれ、皮脂が詰まり、ニキビの原因となる「アクネ菌」が過剰に繁殖するのです。

ニキビが悪化する段階

毛穴が正常な状態であれば皮脂がスムーズに排出されますので、アクネ菌が存在していても悪さをすることはありません。しかし、毛穴が詰まって空気がない環境になると、アクネ菌は増殖して炎症を起こすもとを作り、ニキビを悪化させます。そのプロセスを段階別に詳しくみていきましょう。

○初期 <白ニキビ>

毛穴が塞がり、外に排出されない皮脂が皮脂腺の中に溜まりはじめる。さらに進行すると、溜まった皮脂によって、皮膚の表面に白くポツッとした膨らみが現れる。

○中期 <黒ニキビ> <赤ニキビ>

毛穴が開き、皮脂が空気に触れると、酸化して黒くなる。また、皮脂と角質が混じり、汚れが溜まって黒くなることもあり、黒ニキビと呼ばれる。
さらにニキビが悪化すると、溜まっている皮脂に細菌や雑菌が繁殖して炎症が起こり、赤ニキビになることもある。

○末期 <黄ニキビ> <紫ニキビ>

赤ニキビが悪化すると、炎症が皮膚のより深い部分に進行して膿がたまり、黄ニキビとなる。さらに、毛穴の周りにまでダメージが広がると、ニキビができた周囲の皮膚が広い範囲で赤紫~黒紫色になるため、紫ニキビと呼ばれることもある。

このように、ニキビが悪化する段階は、その色によって目安を知ることができます。当然、初期から中期、末期へと悪化するほど治りにくくなります。とくに末期にまで及ぶと、凸凹のクレーターのようなニキビ跡が残ってしまう危険性もあるので要注意です。
ニキビ跡は、保険外診療でないと治療ができません。さらに、改善していくにもかなりの時間を要します。

なにより予防が肝心!

一つでもニキビができてしまうと、気分は憂鬱。とくに、人前に出る予定を控えている時にニキビがあると、気になってしまいせっかくの時間を楽しく過ごせないかもしれません。そんなニキビに悩まされないために、なによりも大切なのは「予防」です。

予防と言ってもとても基本的な内容ですが、第一は生活習慣を整えることです。
食生活では皮脂の分泌を促しやすい糖分や脂分を控えめに、ビタミン・ミネラルが豊富な野菜をたっぷり摂ることを意識して、バランスのよい食事を心がけましょう。食物繊維をしっかり摂取すると、便秘の予防と腸内環境の改善に繋がり、ニキビ予防に効果的です。
また、ホルモンバランスの分泌を整え、肌のターンオーバーが乱れないようにするためにも、十分な睡眠時間の確保は必須です。
もちろん、ストレスを溜め込まないようにする工夫も大切です。
さらに重要なのは、毎日のスキンケアです。ニキビの予防には、何より肌を清潔に保つことが必要です。洗顔料はよく泡立て丁寧に洗いましょう。皮脂を気にするあまりゴシゴシこすると、かえって肌にダメージを与えます。洗いすぎは逆に乾燥を招き、さらなるニキビの原因になることもありますので注意してください。
洗顔後は清潔なタオルで水分を優しく拭き取り、すぐに化粧水やローションなどで保湿します。皮脂分泌が盛んな肌でも、乾燥肌でも、ニキビができやすい状態のときは、角質層の水分が不足しています。とくに保湿には気を配りましょう。

その他、枕カバーやシーツなど直接肌に触れるものはこまめに洗濯をしてください。雑菌がつくとニキビが悪化しますので、寝室の環境を清潔に保ちます。そして、手にもたくさんの雑菌がついていますから、ニキビが気になるからといって、頻繁に触ったりましてや潰したりしないでください。潰して一見小さくなったように見えても、雑菌が繁殖して赤ニキビへと悪化する原因になる可能性があり、跡も残りやすくなるため、おすすめはできません。

ニキビケア、迷ったときには病院に相談を

それでは、ニキビができてしまったときは、どのように対処すればよいのでしょうか。初期の段階では、前述の「予防」でお伝えした内容に留意し、薬局などで購入できる塗り薬やビタミン剤などの使用によって、改善が期待できます。
しかし、赤ニキビや黄ニキビなど中期から末期の段階、あるいは市販薬を使っても改善しない、かゆみや痛みが強い、といったケースでは、皮膚科や美容外科など専門の医療機関に相談しましょう。ニキビだと思って自己流のケアをしていたら、実は別の皮膚の病気だった、という可能性も考えられます。また、ニキビは悪化すればするほど、治るまでの時間を要しますので、迷ったときは早めに受診することをおすすめします。

なお、病院では保険適応内で、飲み薬、塗り薬による治療や、清潔な器具で皮脂を押し出す「面皰圧出法(めんぽうあっしゅつほう)」といった治療を受けられます。面皰圧出については、適応時期が限られますので医師に確認をしましょう。
また、保険外診療となりますが、施設によってはケミカルピーリングやイオン導入、レーザー治療といった、さまざまな選択肢から治療法を選ぶこともできます。ニキビの程度やライフスタイル、目標とする肌の状態など、人それぞれベストな治療法は変わってきますので、自分の希望をしっかりと伝えて相談しましょう。

ニキビの悩みが解消すれば、肌に自信を持つことができ、気持ちも前向きになって、生活の質も大きく向上します。ニキビや肌のトラブルに悩まされている場合は、普段の生活やスキンケア、ニキビの対処方法を一度見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • ニキビは「ざ瘡」と呼ばれる皮膚の病気である
  • 原因はさまざまだが、皮脂の過剰な分泌などによって毛穴が詰まり、ニキビができる
  • ニキビが悪化する段階は、白ニキビ、赤ニキビなどの色味でも捉えられる
  • ニキビケアは、まずは規則正しい生活習慣を守るといった予防が肝心
  • ニキビの予防には、丁寧なスキンケアが重要
  • 顔に触れるものは清潔にして、ニキビを自分で潰す、手で触るなどの誤ったセルフケアをしない
  • 初期のニキビは、市販薬でも治療可能
  • 中期から末期のニキビや、市販薬で改善しない場合は、早めに医療機関に相談する