インナードライって何?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

乾燥肌なのに気がつけば顔がテカっている......そんなお悩みはありませんか?
もしかするとそれは、見た目はオイリーなのに肌の内側が乾燥している「インナードライ」かもしれません。心当たりのある方は、何気ない普段のスキンケアや生活習慣を見直してみましょう。肌のタイプにあったケアをすることが、美肌への近道です。

肌の仕組みと働き

皮膚は1枚の膜のように見えますが、大きく分けると表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層から成り立っています。表皮と真皮は合わせて2mmほどしかありませんが、その薄い膜の働きが、肌のコンディションを決める要となります。

表皮の一番の働きは保護作用です。外界からの刺激から守るほか、水分が蒸発するのを防ぎ、うるおいを保つ役割をしています。また、水分やコラーゲンなどが主成分の真皮は、肌の土台として、弾力やハリ、みずみずしさを保つ役割があります。

しかし、つねに外気にさらされている肌は、そのままではすぐに乾燥してしまいます。そこで水分量を調節するために一役買っているのが「毛穴」です。なにかと悪者にされやすい毛穴ですが、じつは皮脂を出して皮脂膜を作り、水分の蒸発を防いで肌の水分量が調節する、という働きをしています。

このように、肌のコンディションは、表皮や真皮、毛穴などの状態と、湿度や温度、紫外線といった外の環境が関わって決まります。

あなたの肌は何タイプ?

「お肌が乾燥しやすい」「すぐにテカテカしてしまう」といったように、肌の悩みは人それぞれ。「乾燥肌」「普通肌」「敏感肌」など、肌の状態をあらわす言葉はいくつかありますが、肌のタイプは大きく3つに分けられます。

まず1つ目は「乾燥肌」。「乾性肌」や「ドライスキン」とも呼ばれます。皮脂の分泌量や肌の水分が少ないため、洗顔後に肌がつっぱったり、カサついたり、粉をふいたような状態になったりすることもあります。

2つ目は「脂性肌(しせいはだ)」。オイリースキンとも呼ばれます。皮脂の分泌が十分にあるため、テカリやベタつきが気になったり、ニキビや毛穴の黒ずみといったトラブルに悩まされたりすることも。

自分が乾燥肌だと思っている人は、とにかくたっぷり化粧水をつけたりシートマスクでケアしたり、逆に脂性肌だと思っている人は、さっぱり系の洗顔料で顔を洗ったり、いろいろなスキンケアを試しているかもしれませんね。

しかし、一見わかりづらい3つ目のタイプ、インナードライが原因の「乾燥性脂性肌」の人は、このようなケアが逆効果になっている可能性があります。

隠れ乾燥肌「インナードライ」にご注意!

インナードライによって起こる「乾燥性脂性肌」は、隠れ乾燥肌とも呼ばれます。インナードライとは、その名の通り肌の内側が乾燥している状態。

表皮の細胞のすき間は、セラミドなどの「角質細胞間脂質」によってぴったりと埋められています。セラミドは、保湿物質として肌の内側から出てくる水分をキープしておく働きがあります。ところが、加齢などによってセラミドを作る力が弱くなると、水分が蒸発しやすくなり、潤いが保てなくなります。

内側の水分量が少なくなってくると、これ以上の乾燥を防ぐために、皮脂膜を強化しようと毛穴から皮脂がたくさん分泌されます。

肌の内側は乾燥しているのに、それをカバーしようと皮脂が過剰に分泌され、表面はテカテカとしやすいのがインナードライの特徴です。

悪循環を招くケア

インナードライの状態になっている場合、皮脂の分泌が過剰なため、外からみるとテカリやベタつきが気になることがよくあります。ニキビや毛穴の黒ずみなどに悩んで、顔をゴシゴシ洗う、頻繁にピーリングを行う、あぶらとり紙で頻繁にテカリを抑える、といったケアを行う人も多いようです。

しかし、このようなケアは逆効果です。必要以上に皮脂を洗い流そうとしてさらに乾燥が進み、それを防ごうとますます皮脂が分泌されるという悪循環に陥ってしまいます。

生活習慣やまわりの環境にも注意が必要です。食生活の乱れや運動不足、寝不足、ストレスなどはホルモン分泌の乱れや新陳代謝の停滞を招き、肌のトラブルをますます悪化させる要因となります。乾燥しやすい冬だけではなく、夏もエアコンの風に長時間さらされることなどにより、肌の水分は失われやすくなっています。

インナードライの改善のために

それでは、インナードライはどのようなポイントに気をつければ改善されるのでしょうか。
まず大切なのは、洗顔と保湿です。必要な皮脂まで洗い流してしまうと、より症状が悪化しますから、洗浄力が強すぎない洗顔料を選んで優しく洗いましょう。洗顔後はすぐにたっぷりと化粧水をつけ、乳液やクリームで蓋をすることが肝心です。化粧水は、保湿効果が期待できるものがおすすめです。

さらに、空気の乾燥と紫外線への対策は一年中行いましょう。加湿器を適切に使う、エアコンの風に直接あたらないようにするなど、肌の乾燥を防ぐ環境を整えることが大切です。紫外線も乾燥を助長しますので、冬も紫外線対策を怠らないようにしましょう。

生活習慣の見直しも忘れずに。睡眠時間の確保は、肌の調子を整えるために必要不可欠です。食事の面では、脂っこいものや甘い物の摂りすぎは、皮脂の過剰な分泌につながります。アルコールの摂りすぎや喫煙も、新陳代謝の停滞につながるため控え、バランスの良い食事を心がけましょう。とくにビタミンやミネラルが豊富な野菜を意識して摂ることをおすすめします。

このようなポイントに気をつけても肌の悩みが改善されない場合は、皮膚科で相談する方法もあります。自分の肌はどのようなタイプなのか、水分量や乾燥の度合いを一度きちんと調べてみると、対策が立てやすくなるでしょう。

▼施術例

▼組み合わせ治療も

まとめ

  • 表面はオイリーなのに、内側は乾燥している肌の状態を「インナードライ」という
  • 肌のコンディションは、表皮・真皮・毛穴の状態と、湿度・温度・紫外線などの外の環境によって決まる
  • 肌のタイプは「乾燥肌」「脂性肌」、インナードライによる「乾燥性脂性肌」の大きく3つに分けられる
  • インナードライの状態だと、内側の乾燥をカバーしようと皮脂が過剰に分泌される
  • 必要以上に皮脂を洗い流そうとすると悪循環に陥る
  • 生活習慣や環境によっても肌トラブルは悪化する
  • 改善には、洗浄力の穏やかな洗顔料で優しく洗うこと、保湿をしっかりすること、乾燥と紫外線への対策を一年中すること、生活習慣の見直しをすることが大切である