毛穴の開き、たるみ、黒ずみ...お悩み別に詳しく解説します

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

毛穴が開いたり、たるんだり、黒ずんだり・・・毛穴のお悩みや原因は人それぞれ。毛穴を隠そうとお化粧を厚くするなどやみくもに毛穴をケアしていると、症状がかえって悪化してしまうかもしれません。今回はそんな毛穴のお悩み別に、原因と対策を詳しく解説いたします。

そもそもどうして毛穴はあるの?

お肌に関する悩みの中でも、トップクラスの毛穴。黒ずんだ毛穴や大きく広がった毛穴が気になって、人と近づくことに抵抗がある、と思われている方もいるでしょう。「毛穴なんてなくてもいいのに・・・」とコンプレックスを抱えてしまう人も少なくないのかもしれません。しかし、毛穴は皮膚にとって必要な存在です。誰もが数えきれないほどの毛穴を持っていて、その数は顔だけでもおよそ20万個にも及ぶと言われています。
毛穴は、医学的には「毛包(もうほう)」と呼ばれ、文字どおり毛の根っこの部分を包んでいる組織です。毛穴には、体毛のほかに皮脂を分泌する「皮脂腺」があり、これらによって外部の刺激から皮膚を守っています。外の空気にさらされている皮膚は、乾燥しやすい状態です。皮膚の一番外側の「角層」には、水分をキープする役割がありますが、角層自体は水分量を十分に調節する機能を持っていません。そこで、毛穴から皮脂が分泌されて皮脂膜を作り、水分が過剰に蒸発しないように調節しているのです。さらに、汗や不要な老廃物の排出という役割をも担っています。毛穴は健やかな肌のためになくてはならない存在なのです。

毛穴が目立ってくるのはなぜ?

若いころはあまり気にならなかった毛穴。ですが、年齢とともに目立ってきたり、同じ年齢でも人によって目立ち方に差があったりするのは、なぜなのでしょうか。理想的な状態の毛穴は、引き締まっていて黒ずみがなく、近づいても目立ちません。毛穴が目立ってしまう原因は、毛穴のタイプにもよるのです。それぞれの原因と対策をみていきましょう。

お悩み別の原因と対策:(1)黒ずみ・角栓毛穴

過剰に分泌された皮脂と古い角質が混ざりあってできた「角栓」が詰まると毛穴が広がります。白くポツポツと見えるようになり、それが酸化して黒ずんだようになると余計に毛穴は目立ちます。しかし、気になるからといって角栓を指で押し出そうとしたり、クレンジングでゴシゴシこすったり、むやみに毛穴を掃除したりするのはご法度。皮脂は常に毛穴から湧き上がってきますから、どんなに掃除をしても完全にはなくなりません。それどころか過剰なケアによって肌が傷つき、くすみの原因につながってしまうこともあります。

〇 対策

この状態の毛穴に、自宅でもできる有効なケアの一つはピーリングです。定期的にピーリングを行って古い角質をとると、毛穴を少しずつ小さく目立たなくすることができます。また、皮膚のコラーゲンを増やして肌の弾力を回復させる効果や、毛穴を引き締める効果も期待できます。ただし、セルフケアには限界があります。より高い効果を得るためには「皮膚科などで医療の力を借りる」というのも選択肢の一つです。ケミカルピーリングで肌の新陳代謝を促し、毛穴に詰まっている皮脂や汚れを取り除く治療や、毛穴を引き締める効果のあるイオン導入などを組み合わせることで、毛穴を今よりも小さく見せることができます。また、黒く短い毛が生えて毛穴が目立っているケースでは、医療レーザー脱毛という選択肢もあります。

お悩み別の原因と対策:(2)開き毛穴

体質や生活習慣、不適切なスキンケアなどによって皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が押し広げられて開き、目立つようになります。もともと皮脂の分泌が盛んで毛穴がテカリやすいということもあるでしょう。そんな体質的な理由以外に、甘い物や脂肪が多いものの摂りすぎ、野菜などに多く含まれるミネラルの不足も、皮脂の過剰な分泌を招きやすい要因です。しかし、気にするあまり洗い過ぎると、かえって皮脂の分泌を促進してしまう可能性も考えられますので注意が必要です。
また、加齢や乾燥、紫外線などの影響によって、肌のキメが荒くなっている状態も毛穴が開く一因になります。ですから毛穴を目立たなくするためには、毛穴の周りの皮膚の弾力をキープすることも重要なのです。

〇 対策

開き毛穴への対策には、洗顔後のスキンケアに、毛穴の引き締め効果を期待できるアイテムを取り入れるとよいでしょう。また、医療機関で受けられるケアとしては、黒ずみ・角栓毛穴と同じく、ケミカルピーリングや毛穴を引き締めるイオン導入が効果的です。さらに、レーザーや極細針で肌に極小の穴を開けて新たな皮膚再生を促す治療も有効です。これは、ニキビ痕が原因で凹凸ができてしまった毛穴の治療にも高い効果を発揮します。

お悩み別の原因と対策:(3)たるみ毛穴

とくに30代ごろから頬のあたりに目立ちやすいたるみ毛穴。加齢によって皮膚のハリが失われ、毛穴が細長い楕円形のように伸びてしまうことで、毛穴が目立つようになる現象です。鏡を見ながら皮膚を上に引っ張ってみてください。このときに毛穴が目立たなくなるようであれば、たるみが原因と考えられるでしょう。

〇 対策

このタイプの毛穴には、たるみのケアが重要です。スキンケアにエイジングケア効果を期待できる美容液を取り入れたり、マッサージやツボ押しを行ったりして、たるみを防ぎましょう。こうしたセルフケアは、たるみの予防や悪化防止には有効なのです。しかしながら、それだけで毛穴を目立たなくするのは難しいでしょう。根本的にたるみ毛穴を改善したい場合は、皮膚科などでたるみ治療を受けることが近道になります。具体的な治療は、HIFU(高密度焦点式超音波)やラジオ波(RF)やレーザーなどを当ててリフトアップを目指す方法や、新たにコラーゲンなどを再生させてハリとツヤのある肌へ導く方法などさまざまです。たるみ毛穴の目立つ部分や症状に合わせて、いくつかの治療法を組み合わせることも可能です。毛穴だけではなく、肌そのものを美しく整える効果にも期待できます。

生まれ持った肌を大切に、自分に合う対策を見つけよう

肌のタイプや悩み、毛穴の目立ち方は人それぞれ。肌の色や髪質などに個人差があるように、毛穴の大きさも、多少なりとも生まれつきの要素が関係しています。まずは、自分が生まれ持った肌を大切に、食生活を見直す、十分な睡眠をとる、ストレスを溜め込まないよう心がけるなど、生活習慣を改善し、体調や肌のコンディションを整えましょう。また、毎日のスキンケアも見直してみましょう。それでも改善されず、コンプレックスになっている場合は、皮膚科などに相談することも検討しましょう。誤ったケアを続けて肌に負担をかけないように、正しい知識を持って自分に合う対策を見つけてください。

まとめ

  • 毛穴は医学的には「毛包」と呼ばれ、皮膚にとって必要不可欠なものである
  • 毛穴から分泌された皮脂が肌の水分量を調節するなど、重要な働きをしている
  • 毛穴が目立ってくるのは、その症状ごとに原因がある
  • 黒ずみ・角栓毛穴は、角栓が詰まったり、酸化することで毛穴が目立つ
  • 開き毛穴は皮脂の過剰な分泌や、肌のキメが粗くなることが原因
  • たるみ毛穴は、加齢によるハリの低下が大きく関わっている
  • やみくもなケアは症状を悪化させるため、原因にあった対策を取り入れることが大切
  • セルフケアで改善しない場合は、皮膚科などで治療を受ける選択肢もある
  • 生まれ持った肌を大切に、生活やスキンケアを見直し、自分に合った対策を見つけよう