「冬たるみ」はむくみ・紫外線・乾燥の3つの対策で予防!

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

冷たい空気にさらされる機会が多く、さまざまな身体の不調が出やすい冬の季節。寒さはお肌にも多大な影響を与えることを知っていますか?なかでも注意したいのは、冷えや乾燥がもたらす「たるみ」です。この「冬たるみ」を予防するために、季節に合った対策をご説明します。

冬たるみがもたらす悪影響

冬の寒さによるダメージが積み重なると、肌はたるみやすくなります。その理由の一つは、冷えによる血行不良。血液の循環やリンパの流れが悪くなり、余分な水分や老廃物が溜まって顔がむくみます。そうすると、まぶたや目の下がたるむ、頬の毛穴が開いて見える、フェイスラインがぼやける、ほうれい線が目立つといった、さまざまな「たるみ」の症状が強くなってしまいます。
また、たるみを悪化させる要因は冬の寒さに限られません。歳を重ねると肌の内側にあるコラーゲンやエラスチンなどが減少し、肌のハリや弾力が失われていきます。たるみとともにシワが気になるという人も少なくありませんが、とくにシワは冬の乾燥や紫外線を受けて悪化します。冬たるみと同時に起こるさまざまな肌トラブルを改善するためには、普段のスキンケアに加えて季節に合った対策を心得ておくことが大切です。

冬たるみ対策① 冷え

冬たるみの解消には、まずは冷えの改善が肝心です。身体中の血管はつながっていますので、全身の血液の流れをスムーズにする意識を持ちましょう。衣類に配慮し部屋の環境を整えるなど、むやみに身体を冷やさないような工夫をしてください。食事のバランスにも気をつけて、身体を温める食事を心がけましょう。

さらに、冷えによって血液循環が悪くなるとむくみが起こります。むくみの解消には、顔のマッサージと筋トレが効果的です。洗顔後の肌が清潔な状態で、オイルなどをつけて肌をマッサージしてあげましょう。余分な水分や老廃物を流すイメージを描いて、肌の負担にならないように優しく行います。また、運動不足になりやすい表情筋を鍛えると血行が改善し、老廃物の排出がスムーズになります。鏡を見ながら大きく口を開けて「あ、い、う、え、お」と声を出したり、意識的に顔の筋肉を動かして表情を変えたりするトレーニングを隙間時間に取り入れましょう。マッサージや筋トレを継続すると、むくみの改善に加えて、顔色がよくなる、肌の弾力が復活するなど、嬉しい効果も期待できます。

冬たるみ対策② 紫外線

次に気をつけたいのは、紫外線対策です。冬は紫外線の影響が少ないと思われやすいのですが、紫外線は365日、曇りの日も降り注いでおり室内にいても油断は禁物です。紫外線の中でも「UV-A」は肌の奥深くまで届き、コラーゲンやエラスチンを壊してしまいます。そのダメージが蓄積すると、肌のハリの低下やたるみを招くことになります。紫外線対策は冬も毎日徹底して行い、ウィンタースポーツなどで長時間を外で過ごす際はとくに注意しましょう。

冬たるみ対策③ 乾燥

3つめのポイントは乾燥対策です。何といっても空気が乾燥する冬、肌の水分は奪われやすく、それによってさまざまな肌トラブルが生じてきます。夏場と同じようなスキンケアでは肌の乾燥を補いきれないことも。保湿成分入りの美容液やクリームを取り入れて、入念なケアを心がけましょう。

このような朝夕の丁寧な保湿ケアに加え、しっかりと栄養を摂ることも大切です。たんぱく質と野菜を中心に、バランスのよい食事を心がけましょう。また、エアコンで乾燥する室内では加湿器を置くなど、環境を整える工夫も大事です。

たるみにはメスを使わない治療法も

今すぐに肌のたるみをどうにかしたいという場合は、美容外科で治療をするメスを使った方法が思い浮かぶかもしれませんが、現在の治療法は多様です。超音波やレーザー、高周波などを照射する方法や、ヒアルロン酸を注入してリフトアップする方法などもあります。そのなかから、肌の深部に直接働きかけて治療する方法をご紹介します。

HIFU(ハイフ)

HIFU(高密度焦点式超音波)は、たるみがとくにひどくて気になるケースに適している治療法です。がんの治療などにも使われており、メスを使った手術と同じくらい深い層まで、集中的に強い熱エネルギーを加えることができます。筋膜に直接アプローチできるため、他の美容機器とは違い肌の土台からたるみを改善しやすくなります。さらに、エラスチンやコラーゲンの生成を促進する効果があるともいわれ、その効果は3か月ほどとされています。

医療用LED

近赤外線という波長の光を照射して、肌の深部まで働きかける治療法です。筋肉層にまで届くので、たるみに対して内部からアプローチできます。他にもマクロファージやマスト細胞、好中球、コラーゲンやエラスチンが増えるという効果も認められていて、肌にツヤを与えてキメを整えたり引き締めたりする効果も期待できます。

ヒアルロン酸注入

さまざまな深さに注入できますが、骨の上の皮下組織の部分にヒアルロン酸を注入すると、肌を土台から持ち上げることが期待できます。注入後は数か月から数年で体内に吸収されます。

冬に悪化しやすいたるみを予防するためには、生活の中において、むくみ・紫外線・乾燥の3つを意識した対策を取り入れることが重要です。季節にあった適切なお手入れで寒さに耐える肌を維持し、冬たるみを予防しましょう。
たるみを改善したい場合は、皮膚科や美容外科に相談しましょう。

▽その他こんな治療法も

まとめ

  • 冬の季節、寒さや乾燥、紫外線、生活リズムの乱れなどによりダメージが積み重なると、肌がたるみやすくなる
  • 冬は血行不良によってむくむ傾向があり、その影響で肌のたるみやシワが悪化しやすい
  • 「冬たるみ」に対しては、むくみ、紫外線、乾燥の3つの対策が大切である
  • メスを使わずにたるみの治療をすることができる
  • 肌の深部からたるみを改善するための治療法には、HIFU(ハイフ)や医療用LED、ヒアルロン酸を用いた方法などがある