光老化とは? 紫外線対策やエイジングケアとの関連性について

執筆:執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

年齢とともに増えるシミやしわ。その原因に「光老化」が大きく関わっていることが広く知られるようになってきています。光老化の最大の原因は、紫外線です。長い間、紫外線の影響を受け続けると、シミやしわができるだけでなく、黄ばみやごわつきの原因になることも。今回は光老化を防ぐための対策について、解説します。

光老化と紫外線

光老化は、光によって皮膚などに起こる老化現象です。光老化の原因には、近赤外線やブルーライトなども関係しているものの、その中心的な原因は紫外線にあります。地表にまで届く紫外線はUV-AとUV-Bの2つで、それぞれ次のような特徴を持っています。

○UV-A

波長が長く(320~400ナノメートル)、皮膚のより深い部分にある真皮やその奥にある皮下組織にまで届いて、ダメージを与えます。体内の分子に吸収されて活性酸素を発生させ、間接的に皮膚のDNAなどを傷つけ、光老化や皮膚がんの原因となります。肌は弾力を失い、しわやたるみといった老化現象を引き起こすと考えられています。地表に到達する紫外線の量はUV-Bよりも多く、曇りの日も降り注ぐほか、窓ガラスを通過して屋内にまで届きます。

○UV-B

波長が短く(280~320ナノメートル)、大半は皮膚表面の表皮にしか届きません。しかし、皮膚細胞内にあるDNAに直接ダメージを与え、火傷のように赤くなったり、メラニン色素が沈着して褐色になったり、シミやそばかす、光老化や皮膚がんの原因となります。

このように、紫外線は皮膚の内部にまで届いて、細胞にダメージを与えます。そしてその状態が長期間続くことで、皮膚に起こる変化。それが光老化なのです。

光老化の症状

加齢が原因と思われがちなシミやしわ。けれども、顔や首、手などの紫外線が当たる部分に起こる皮膚の老化現象は、その8割が光老化によるものと考えられています。
「加齢による生理的老化」と「光老化で現れる症状」には、次のような違いがあります。

○生理的老化

  • 細かいしわができる
  • たるみができる
  • 乾燥する
  • 皮膚が薄くなる

○光老化

  • 細かいしわと深いしわの両方ができる
  • たるみができる
  • シミができる
  • 肌が黄ばむ
  • 乾燥する
  • 皮膚が厚くなってごわつく

さらに、皮膚のハリが失われるのも光老化の代表的な症状です。お伝えしたように、紫外線の中でもUV-Aは真皮にまで影響します。真皮には、皮膚のハリを保つために欠かせない弾性線維(エラスチンなど)があります。ですから、紫外線のダメージに長くさらされて弾性線維が壊されると、ハリがなくなる、たるみやしわができるといった症状が現れるようになるのです。

光老化を防ぐために重要な紫外線対策

光老化を防ぐためにもっとも有効なのは、紫外線対策です。紫外線を浴びる量を減らすことができれば、それだけ光老化のリスクも下げることができます。光老化を防ぐために、紫外線の量が多い日中はできるだけ外出をしない、外出する場合は日陰を利用するなど、ふだんの行動を見直してみましょう。さらに、衣服などで皮膚を覆う、日傘やサングラス、帽子などを使う、日焼け止めを塗ることなども、重要な対策になります。

光老化:日焼け止めを選ぶポイント

紫外線対策として、「日焼け止めを使う」という人は多いでしょう。店頭にはたくさんの種類の日焼け止めが並んでいます。次のことをポイントに日焼け止めを選ぶとよいでしょう。

○形状

液状やスプレータイプ、クリームタイプなど、いろいろなものがあります。好みや使いやすさで選ぶとよいです。

○性能

日焼け止めには、「SPF」や「PA」といった表記がありますが、それぞれ次のような意味があります。

・SPF(Sun Protection Factor)
UV-Bを防ぐ効果を示したもので、「SPF10」というように、数字で表されています。この数字は、日焼け止めを塗らない場合に赤く日焼けするまでの時間を20分として、その時間をどれだけ延ばせるかを示しています。たとえば、SPF10の場合は、20分×10=200分間、効果が続くということになります。SPFの最大値は50です。それ以上になると「50+」というように表現されますが、50以上になると、効果にそれほど大きな差はないと考えられています。

・PA(Protection Grade of UV-A)
UV-Aを防ぐ効果を示しています。防御効果は「+(プラス)」を使って表され、「+(UV-Aの防御効果あり)」から「++++(きわめて高いUV-Aの防御効果あり)」の4段階があります。

こうした情報をもとに、外出先や外出時間に合わせて、日焼け止めを選ぶとよいでしょう。

○成分

日焼け止めの多くには、紫外線吸収剤が配合されているものがあります。紫外線吸収剤は、皮膚に塗った時に白くなりにくいという特徴があるいっぽうで、アレルギー反応が起こる人もいます。そのため、アレルギーが気になる人や、皮膚が敏感な人、子どもなどは、紫外線吸収剤フリーのものを選ぶとよいでしょう。

なお、日焼け止めは汗などで落ちてしまうので、こまめな塗り直しを心がけることがとても重要です。またお伝えしたように、UV-Aは天候に関係なく降り注いでいて、屋内にいても届くもの。そのため、日焼け止めは1年中使うようにしましょう。

光老化を防ぐためには:エイジングケアとの関連性

光老化を予防するためには紫外線対策が欠かせませんが、基本的なスキンケアをあわせて行うことが、光老化を予防し、いつまでも健やかな皮膚を保つことにつながります。
中でも重要なのが、保湿ケアです。ヒトの皮膚は加齢にともなって、真皮にあるコラーゲンやエラスチンといった皮膚のハリを保つ物質が減少していきます。すると、水分量も減っていき、乾燥やしわの原因になります。ですから、毎日のスキンケアの中で、化粧水や乳液、クリームなどを使って、しっかりと保湿をすることが大切です。このような保湿ケアは、皮膚のバリア機能を高めることにもつながります。バリア機能は、皮膚内の水分が過剰に蒸発するのを防いだり、ホコリや花粉、紫外線といった外部の刺激から皮膚を守る働きがあります。
このほか、くすみやシミを予防するためには、美白成分が入った美容液などを使うのもよいでしょう。

セルフケアで改善しない悩みは?

ここまで光老化や基本的な対策をお伝えしてきましたが、すでにできてしまった深いしわやシミ、たるみなどは、残念ながらセルフケアだけでは対処できないのが現実です。ですから、こうした症状に悩んでいる場合は、美容皮膚科などで相談してみましょう。医療機関では、それぞれの症状に合った治療法を提案してもらうことができます。自分の希望をしっかり伝えた上で、どんな方法があるのか、尋ねてみてくださいね。

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まとめ

  • 光老化は光によって皮膚などに起こる老化現象
  • 光老化の中心的な原因は紫外線
  • 地表に届く紫外線はUV-AとUV-Bの2つ
  • 波長が長いUV-Aは、真皮や皮下組織にまで届いて、光老化や皮膚がんの原因になる
  • 波長が短いUV-Bは、表皮までしか届かないが、光老化や皮膚がんの原因になる
  • 紫外線が当たる部分に起こる皮膚の老化現象は、8割が光老化によるもの
  • 光老化の代表的な症状として、しわ(細かいものと深いもの)、たるみ、シミ、黄ばみ、乾燥、皮膚が厚くごわつくなどがあげられる
  • 光老化によって皮膚のハリがなくなるが、これは真皮に届くUV-Aが、弾性線維を壊すことが原因
  • 光老化を防ぐためには、紫外線予防がもっとも有効
  • 日焼け止めは、形状、性能、成分などの違いを知った上で、自分に合ったものを選ぶとよい
  • 日焼け止めはこまめに塗り直すこと、1年中使うことが大切
  • 保湿などの基本的なスキンケアをしっかり行うことも重要
  • セルフケアで改善しない悩みは皮膚科で相談を