繰り返すいちご鼻、あなたはどのタイプ?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

その見た目から「いちご鼻」とも呼ばれる鼻の毛穴の黒ずみ。ケアグッズも多く市販されていますが、セルフケアをしても思うような効果を得られない人や、症状を繰り返す人は少なくありません。実は、いちご鼻にはいくつかのタイプがあって、原因にあった対処法が必要です。そこで今回は、いちご鼻のタイプや対策について解説いたします。

「いちご鼻」ってどんな状態?

「いちご鼻」は、鼻の毛穴が黒ずんで目立っている状態です。毛穴の黒ずみがいちごの種のようにみえることから、「いちご鼻」という通称で呼ばれています。
その原因としてよく知られていることといえば、毛穴に汚れがつまることでしょう。たしかにこれが原因となっていることも多いのですが、実はほかの原因となっている場合もあります。そこで、いちご鼻の原因をタイプ別にみていきましょう。

いちご鼻のタイプ(1)毛穴に汚れがつまっている

皮脂や汚れが原因で毛穴に角栓がつまり、それが酸化することで黒ずみを引きおこしているタイプです。
私たちの肌は、一定の周期で「ターンオーバー」を繰り返しています。ターンオーバーとは、いわば「肌の新陳代謝」のことで、肌の内部で作られた新しい細胞が、肌の表面に向かって古い細胞を押し上げることで肌は生まれ変わっています。そして、肌の表面にある角質は、最終的に垢となって剥がれ落ちていきます。ところが、誤ったスキンケアやホルモンバランスの乱れ、不規則な生活習慣、ストレスなどの影響でこのサイクルが崩れると、古くなった角質が排除されずに肌の上に残ることがあります。この古い角質が皮脂や汚れなどと混ざり合うと、角栓が形成されて、毛穴のつまりとなります。さらに、毛穴のつまりが酸化すると、毛穴の黒ずみを引きおこします。

いちご鼻のタイプ(2)毛穴にメラニンが沈着している

シミを発生させることで知られるメラニンですが、実は、毛穴の黒ずみの原因になっていることもあります。鼻に紫外線が当たり、毛穴の入り口付近でシミの原因となるメラニンが産生・沈着することで毛穴が黒ずんで、いちご鼻の原因となります。毛穴をよく観察してみて、毛穴が開いたり、角栓などがつまっていなかったら、毛穴にメラニンが沈着している可能性が考えられます。

いちご鼻のタイプ(3)産毛が目立っている

毛穴から生える短い産毛が原因で、黒っぽく見えていることがあります。毛深い人に見られることが多く、美容皮膚科などで脱毛を行うことで、いちご鼻が解消されます。

いちご鼻の対策

このように、いちご鼻の原因はさまざまです。タイプに合った対策を行うことが重要ですが、どのタイプにも共通した対策があります。詳しくみていきましょう。

〇スキンケアの見直し

何気ないスキンケアが、いちご鼻の原因となっている可能性があります。たとえば、毛穴のつまりを取ろうとしてメイク落としや洗顔の際に必要以上に鼻を強くこする、熱いお湯を使う、1日に何度も洗顔をする、といったスキンケアをしていませんか?こうしたスキンケアを続けていると、肌に必要な皮脂までもが失われてしまいます。すると、肌を守るために必要以上に皮脂が分泌されることになり、かえって毛穴のつまりの原因になります。また毛穴パックなどでケアをする場合も、パックを使用する時間や頻度を守らないと、肌にダメージを与えたり、毛穴の開きの原因にもなります。ましてや、自己流で無理やり角栓をとるなどの行為はご法度です。
こうした点に気をつけながら、保湿を重視したスキンケアに切り替えます。また、毛穴の開きが気になる場合には、引き締め効果のある化粧水や美容液を取り入れることもよいでしょう。

〇紫外線対策

お伝えしたように、紫外線によってメラニンが増えると毛穴の黒ずみの原因になるため、紫外線対策は重要です。帽子や日傘などで紫外線が当たらないようにしましょう。また、日焼け止めも有効です。とくに鼻は汗をかきやすく皮脂の分泌も多い場所なので、こまめな塗り直しを心がけましょう。

〇生活習慣を整えること

基本的な生活習慣にも注意しましょう。食事ではバランスのとれた食事を心がけた上で、ビタミン類を積極的に摂るようにします。たとえば、ビタミンAは皮脂腺の機能の改善する、ビタミンB群は肌の新陳代謝を促す、ビタミンCはメラニンの生成を抑制するなど、ビタミン類には健やかな肌作りに欠かせない働きがたくさんあります。
また、睡眠不足やストレスはターンオーバーのサイクルが乱れる原因となるため、質の良い睡眠の確保やストレス解消も重要です。
以上のことは、健やかで美しい肌作りの基本です。けれども、繰り返すいちご鼻は、こうした対策だけではなかなか改善しないことがあります。そんなときには、皮膚科などで相談するのも方法の一つです。

いちご鼻:皮膚科で受けられる治療法とは

美容皮膚科などでは医師が肌の状態を診察した上で、いちご鼻の原因に即した治療が行われます。
たとえば、毛穴のつまりが原因のタイプにはケミカルピーリングなどが行われます。ケミカルピーリングは専用の薬剤を使って古い角質を取り除き、ターンオーバーの正常化を促す施術法です。市販されているピーリング剤もありますが、皮膚科で使用される薬剤のほうが高濃度で、より高い効果を期待できます。このほかにも角栓を1つずつ除去する方法や、皮脂の量をコントロールする治療が行われることもあります。

次に、毛穴の中でメラニンが増えているタイプでは、「シミの漂白剤」ともいわれる外用薬「ハイドロキノン」が使われたり、ケミカルピーリングやビタミンCの導入などが行われます。

さらに、毛穴から生える毛が目立っているタイプでは、医療レーザー脱毛などが行われます。また、脱毛とともにシミやくすみの改善効果も期待できる「レーザーフェイシャル」という治療法もあります。

このように、ひと言でいちご鼻といっても、肌の状態によって治療法はさまざまです。自分のタイプが分からない人や、セルフケアで症状が改善されない人、繰り返すいちご鼻に悩まされている人は、皮膚科で相談してみることをおすすめします。

まとめ

  • いちご鼻は鼻の毛穴が黒ずんで目立っている状態
  • いちご鼻の原因として、毛穴のつまり、毛穴の入り口のメラニン沈着、産毛などがあげられる
  • 毛穴のつまりタイプでは、肌のターンオーバーが乱れることで肌に残った古い角質が皮脂や汚れなどと混ざり合い、その結果、形成された角栓が酸化することが原因と考えられる
  • メラニン沈着が起きているタイプでは、シミの原因とされるメラニンが毛穴内に沈着することが原因で、毛穴の開きやつまりがないのに、黒ずみが目立つ人は、このタイプの可能性がある
  • 産毛が目立つタイプは、毛深い人に多く、脱毛などを行うことで解消されることがある
  • どのタイプにも共通する対策として、スキンケアの見直し、紫外線対策、生活習慣を整えることがあげられる
  • セルフケアで改善がみられないいちご鼻の場合、皮膚科に相談するというのも方法の一つ
  • 美容皮膚科では、ケミカルピーリングや外用薬の使用、ビタミンCの導入、医療レーザー脱毛など、いちご鼻のタイプに合わせた治療を受けることができる