手軽に美肌成分を。飲むプラセンタのメリットとは?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

美肌成分として有名な「プラセンタ」。注射のイメージが強いようですが、実は飲むタイプもあります。では、飲むプラセンタとはどのようなものなのでしょうか?また、飲み方で気をつけるポイントはあるのでしょうか。今回は飲むプラセンタについて解説します。

「プラセンタ」とは?

「プラセンタ」とは、ほ乳類の胎盤のことです。ヒト由来のものから、ブタ、馬由来のものまであります。ご存知のとおり、胎盤は妊娠すると子宮内に作られる臓器です。胎盤は、胎児を育てる上で重要な役割を担っていて、たとえば赤ちゃんの成長に必要な酸素や栄養を届けています。ですから、胎盤から抽出されるプラセンタのエキスなども、たんぱく質(アミノ酸)や、糖質、脂質といった三大栄養素をはじめ、ビタミン、ミネラル、核酸、酵素などの生理活性物質、細胞増殖因子など、多くの栄養素や成分を含んでいます。またプラセンタには代謝を促進し、細胞分裂を活性化する作用や、抗炎症作用、抗アレルギー作用などがあります。こうした作用から、医療の世界では、さまざまな病気の治療薬として用いられています。とくに肝機能障害や更年期障害、乳汁分泌不全の3つの病気に対しては、プラセンタの薬が保険適用になっています。
このように、多くの栄養素を含み、代謝アップの効果を期待できるプラセンタは、美容業界でも大きく注目されています。とくに肌に対する効果には高い関心が寄せられていて、多くの美容皮膚科などは、「プラセンタ療法」を取り入れています。

プラセンタに期待できる美肌効果

美容皮膚科などで受けられるプラセンタ療法ですが、たとえば、次のような効果を期待できます。

  • メラニンの生成を抑える
  • 肌の新陳代謝(ターンオーバー)の促進
  • 保湿
  • コラーゲンの生成による弾力のアップ
  • 抗炎症作用によるニキビなどの改善
  • 抗酸化作用によるエイジングケア
  • 抗アレルギー作用
  • 血行促進によるくすみの改善
  • 肌の免疫機能の改善

このように、プラセンタにはさまざまな美肌効果を期待することができます。とくにメラニンに対する作用や、抗酸化作用、血行促進作用があることから、トータルなエイジングケアを目指したい人にはおすすめです。

プラセンタ注射と飲むプラセンタ

美容皮膚科で受けられるプラセンタ療法というと、「プラセンタ注射」が思い浮かぶ人が多いでしょうが、内服薬による「飲むプラセンタ」もその一つです。とくにプラセンタ注射は即効性の高さで人気を集めていますが、効果を持続させるためには定期的に注射を打つ必要があり、週に数回という頻度で通院している人もいます。また、注射の痛みに弱い人には向かない、といったデメリットもあります。さらに、感染症のリスクがゼロではないことから、一度でもプラセンタ注射を打つと、献血をすることができなくなると厚生労働省から通達があります。一方で、飲むプラセンタは献血提供の制限はありません。では、飲むプラセンタにはほかにどんなメリットがあるのでしょうか。

飲むプラセンタとのメリットとは?

飲むプラセンタは、注射に比べて即効性は劣りますが、継続して飲むことで注射と同じような美肌効果を期待することができます。飲むプラセンタのメリットとしては、注射ほど頻繁に受診する必要がない点や、出張先や旅行先などにも持っていくことができる点などがあげられます。また、プラセンタ注射とは違って、献血に関しても制限がありません。ただし、カプセルが大きかったり独特の臭いがある点で、中には飲みにくさを感じる人もいます。また、飲むプラセンタには医療機関でのみ購入できる医薬品と、インターネットなどでも購入できるサプリメントの2種類があるので、自分の希望に合わせて製品を選ぶこともできます。ただしそのためにも、それぞれのメリット、デメリットを正しく知っておくことが大切です。
まず、医薬品の飲むプラセンタのメリットは原料がヒト由来のプラセンタであることと、医薬品としての基準をクリアしていて、一定の品質が保証されていることです。また、購入を希望する際には医療機関に行く必要があるので、飲み方や注意点について、医師に相談しやすいという点も、メリットといえるでしょう。一方で、手軽に購入できないことに不便さを感じる人もいるかもしれません。また、料金が高いこともデメリットといえます。医療機関によって違いはありますが、1箱(100カプセル)あたり2~3万円というところが多いようです。
これに対してサプリメントは、ブタなど動物由来のプラセンタを原料としています。メリットとしては、相場が1~2万円と医薬品よりもやや安価な点や、医療機関やインターネットなど、購入できる場所が多い点が挙げられます。その一方で、良質な製品を見極めることが難しいという難点があります。もちろん、サプリメントの中には製法や品質にこだわっていて、有効成分も多く含んでいるものもありますが、反対に、製造過程や有効成分の含有量の表記があいまいだったり、安全性などが検証されていないものもあります。ですから、サプリメントを購入する際には、製造過程や安全性、成分に関する表記を確認するようにしましょう。
ちなみに、医療機関によっては、サプリメントの飲むプラセンタを取り扱っているところもあります。どの製品がよいか迷っている人は、医療機関に相談してみるのも方法の一つです。

飲むプラセンタ:飲み方と注意点

飲むプラセンタは、製品によって用法・用量が違うので、医師や薬剤師に飲み方を確認しましょう。飲むタイミングについては、とくに決まりはありませんが、飲み続けることが大切なので、就寝前など、毎日同じタイミングで飲むのがおすすめです。また、服用する際にはコーヒーやお茶などではなく、水かぬるま湯などで飲むようにしましょう。
なお、まれではありますが発熱や発疹、むくみ、せきなど、アレルギーや薬剤性肝機能障害に関連した副作用が報告されています。ですから、とくにアレルギー体質の人は服用前に医師に相談するなど、慎重に検討するほうがよいでしょう。このほか、便が緩くなったり、逆に便秘になるという症状が出ることもあります。プラセンタを内服していて体調に異変を感じた場合には、すぐに中止して、主治医に相談してください。また、妊娠中や授乳中の人は服用を控えましょう。

ひと言で「飲むプラセンタ」といっても、製品によって原料や安全性、有効性に大きな違いがあります。今はいろいろなサプリメントが登場していますから、どの製品が良いかわからないという人は、ぜひ医療機関で相談してみてくださいね。

まとめ

  • プラセンタとは、ほ乳類の胎盤のこと
  • 胎盤から抽出されたプラセンタには多くの栄養素が含まれている
  • プラセンタには、代謝を促進し、細胞分裂を活性化する作用や、抗炎症作用、抗アレルギー作用などがあり、さまざまな病気の治療薬として用いられている
  • 美容業界でもプラセンタは美肌成分として注目されている
  • プラセンタにはさまざまな美肌効果を期待することができ、とくにメラニンに対する作用や、抗酸化作用、血行促進作用があることから、トータルなエイジングケアを目指したい人にはおすすめ
  • プラセンタ注射には、頻繁な通院が必要、痛みに弱い人には向かない、献血ができなくなるといったデメリットがあるが、飲むプラセンタにはこうした心配がない
  • 飲むプラセンタは、持ち歩きも可能
  • 飲むプラセンタは、カプセルの大きさや臭いなどが理由で、飲みにくさを感じる人もいる
  • 飲むププラセンタには、医療機関のみで購入できる医薬品と、サプリメントの2種類がある
  • 医薬品はヒト由来のプラセンタが原料だが、値段が高い
  • サプリメントはブタ由来など動物由来のプラセンタが原料で、医薬品より安価、インターネットなどでも購入できるなどのメリットがあるが、安全性や製造工程が疑問視される製品もある
  • 飲むプラセンタは、飲むタイミングなどに特別な決まりはないが、飲み続ける方が効果を実感しやすい
  • まれに副作用が出ることがあるので、服用中に異変を感じたらすぐに中止して主治医に相談すること