医療専門職が解説するダウンタイムの少ない美容皮膚科施術

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

お肌に悩みを抱えている時、美容皮膚科の施術に興味があっても、ひと目が気になったり、生活に支障がでないか不安、と迷う方は少なくありません。そこで今回は、ダウンタイムの少ない施術をピックアップ。初めてでも受けやすく、確実に美肌作りをサポートしてくれる美容皮膚科の施術をご紹介します。

美容皮膚科の特徴

セルフケアでは、なかなかお肌の悩みが解決しない時。スペシャルケアの選択肢としては、エステサロンや美容皮膚科での施術があります。どちらも、より美しくなるための美容を主な目的とするものですが、決定的な違いは、「美容皮膚科は医療機関である」ということ。エステも健やかな肌をキープしたり、リラックスする効果を得られますが、美容皮膚科は肌の悩みの治療や改善が目的で、専門の医師がいます。

施術の内容は重なる部分もあり、一見同じように思える機器が使われていることもありますが、美容皮膚科では、より高い効果を得られる機器や薬剤が、医師の指示の元で使われます。また、トラブルの原因になんらかの病気が関わっていたり、他で内服治療などを受けている場合でも、体全体の状況を含めて医師に適切なケアを相談できる点は大きな魅力と言えるでしょう。

そんな美容皮膚科の施術は、敷居が高く感じる方がいるかもしれませんが、実際は、誰でも受けられるものです。また、選択肢も幅広く、高い効果を目指しながら、ダウンタイムがほとんどない、または、あっても極わずかで生活への支障が少ない、といった施術も数多くあります。その中で今回は特に、初めてでもダウンタイムの不安なく受けやすい施術を順に見ていきましょう。

細胞レベルからのエイジングケア「医療用ヒーライトⅡ」

初めにご紹介するのは、LEDの光をあてることで、表皮から皮下組織の筋肉層までをエイジングケアできる施術です。2つの波長の光を連続照射すると、免疫細胞増強の他、ケラノサイトやコラーゲンといった細胞の再構築が促されるため、シミ・しわ・たるみの改善が期待できます。また、血液やリンパの流れがスムーズになり、ターンオーバーも促進されるため、くすみを改善し、透明感のある美肌を目指すことができる治療です。さらに、殺菌や皮脂腺に働きかける効果もあるため、ニキビやニキビ痕にも適応しており、育毛や火傷などのケアとして使用されることもあります。肌の治癒力と代謝を促す医療用ヒーライトⅡは、幅広いお悩みに対応する画期的な治療法と言えるでしょう。

実際の施術は11分間。ほんのり温かい光を浴びるだけなのでリラックスして受けることができ、施術中や施術後の痛みもありません。施術直後からメイクも可能なため、美肌になりたいけれど日常生活に支障がでると困る、痛みが不安、といった方にうってつけの施術です。

透明感のある素肌に導く「イオン導入」

たっぷり化粧水をつけても、肌がかさついている、しみや色素沈着が気になる。そんなお悩みの原因は、もしかすると、必要な成分がきちんとお肌に浸透していないからかもしれません。肌の表面にある角質層には、体に必要なバリア機能が備わっているため、高価な化粧品を使っても、その成分が十分に肌の奥へ届いていないことがあります。「イオン導入」は微弱な電流を流すことで、ビタミンCや美容有用成分をイオン化し、肌の奥にある真皮層に浸透させる治療法です。

導入する成分にはさまざまな種類があるため、お悩みに合わせて選択することが可能。こまめに行うと、よりしっとりとした透明感のある肌を手に入れることができます。施術中は、多少ピリピリした感じを伴うこともありますが、あまり気にならない程度。施術直後からメイク可能で、ダウンタイムもほとんどありません。より高い効果を得たい場合は、ケミカルピーリングやディープエレクトロクレンジング、スキンスクライバーといった施術を併用すると、美容有用成分がさらに浸透しやすくなります。

イオン導入よりもさらに高い浸透力「ケアシス」

次にご紹介するのは、イオン導入の約20倍の浸透力を持つとも考えられている「ケアシス」と言う名の施術です。シミやくすみ、キメ、小じわといった悩みを改善するために、神経幹細胞から抽出された高機能ペプチドを導入するもので、肌に透明感とハリを与えてくれます。ケアシスの浸透力が高いのは、「エレクトロポーション」または「電気穿孔法」と呼ばれる方法を用いるため。施術の際は、数秒〜数分間電気を流すことにより、角質細胞の細胞膜に電気的な穴をあけた状態にし、その間に薬剤を肌の奥まで導入します。また、ケアシスには温度調整できる技術も備わっているため、温めながら導入することができ、毛穴が一時的に拡がって、美容有用成分がより浸透しやすくなっています。冷却しながら導入することで血管が収縮し、肌内部に浸透した成分が長時間肌にとどまるため、お悩みに効率的にアプローチします。また冷却機能によって、他の施術による赤みや日焼け後の炎症の鎮静にも適しています。こちらも施術中の痛みやダウンタイムはほとんどなく、施術直後からメイクが可能です。高い効果を得られる分、イオン導入よりも費用はかかりますが、こまめに受けると、より美肌を目指すことができます。

肌全般の調子をあげたい時は「ケミカルピーリング」

お肌のスペシャルケアとして、自宅でもピーリングを取り入れている人は少なくありません。ピーリングは肌の古い角質層を剥がして、皮膚のターンオーバーを整え、皮膚の再生を促すものです。セルフケアでも効果はありますが、誤った方法で行っていると肌の負担になったり、あまり効果を感じられない場合も。一方、美容皮膚科で受けられる「ケミカルピーリング」は、グリコール酸やサリチル酸といった化学薬品を医療機関でのみ取り扱える濃度で使用するため、安全に、高い効果を得ることができます。ターンオーバーが整うと、透明感のある滑らかな肌に近づける他、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなども生成されやすくなり、肌にハリがでます。あらゆる肌トラブルの改善を期待できる施術で、最近なんだか肌の調子がいまいち、といったお悩みにももってこいと言えるでしょう。

ケミカルピーリングは日常生活に支障の少ないものですが、施術後の肌は刺激に敏感な状態となっているため、紫外線対策は入念に行いましょう。また、使用する薬剤によっては一定時間メイクを控えた方が良い場合もあります。施術中に多少のピリピリ感や痛みを感じたり、まれに施術後に赤みがでることもありますが、時間の経過と共に落ち着きます。

肌の内側からハリ・ツヤを取り戻す「コラーゲンピール」

最後にご紹介するのは、ピーリングの中でも特に、肌質の向上やハリ、ツヤのアップに効果的な「コラーゲンピール」です。これは、TCA(トリクロロ酢酸)、低濃度過酸化水素、コウジ酸が配合された製剤をマッサージで浸透させるもので、肌の深いところにある真皮層で働くため、コラーゲンの生成が促されます。2〜3週間に1回の施術を継続して受けることで、真皮層の新しいコラーゲンが生み出され、徐々に肌質が変化していきます。施術後は赤みやヒリヒリ感がでることもありますが、その場合はクーリングや炎症止めの軟膏で対応します。個人差はありますが、ターンオーバーが促されるため、2~10日程薄皮が剥ける場合もあります。施術直後からフルメイクも可能ですが、肌への刺激は極力避けましょう。

攻めのケアを取り入れることが美肌への近道

ここまでお伝えしてきたのは、美容皮膚科で受けられる施術の極一部。専門の医療機関には、肌のお悩みを根本的に改善できるさまざまな施術があります。普段のスキンケアではなかなか結果がでないとき、美容皮膚科の施術をプラスすると、確実な効果を得ることができるでしょう。日々のスキンケアを丁寧に行いながら、時に攻めのケアを取り入れることは、美肌への近道です。

まとめ

  • 美容皮膚科は医療機関であり、医師の診察をもとに肌の悩みを改善する施術が受けられる
  • 美容皮膚科の施術は、高い効果を期待でき、ダウンタイムが少ないものも数多くある
  • 肌の治癒力や代謝が促進される医療用ヒーライトⅡは、エイジングケア目的で受けやすい
  • イオン導入は透明感のある肌を目指すことができる
  • シミやくすみをより改善したい場合は、ケアシスも効果的
  • ケミカルピーリングは、肌全般のコンディションを整えることができる
  • コラーゲンピールは、肌の内側に働きかけ、ハリやツヤを取り戻せる
  • 日々のスキンケアに美容皮膚科の施術をプラスすることは、美肌への近道となる