ほうれい線がない人ってどんな人? 予防法から施術まで解説

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

年齢と共に気になってくる肌のお悩みの中でも、トップクラスの「ほうれい線」。ほうれい線がくっきりしていると、実年齢よりも老けて見られてしまいますが、正しいケアで目立ちにくくすれば、若々しい顔を取り戻すことができます。ほうれい線の予防法から施術まで、さまざまな対処法についてお伝えします。

ほうれい線とは?

漢字では「法令線」と書く「ほうれい線」は、鼻の端と口の端を結ぶ2本の線を意味します。口の両側にできるほうれい線は、笑ったりする表情によって、だれにでも出来るものですが、年齢と共にくっきりとした線が残り、目立ちやすくなります。

ほうれい線はしわの一種とも言えますが、厳密には、しわと言うよりも「たるみ」。加齢によって頬全体を支えている皮膚や、その内側にある組織がたるむと、頬の脂肪などを支えきれなくなって下がり、できるしわがほうれい線です。そのため、ほうれい線をなんとかしたい時は、しわのケアだけではなく、顔全体をリフトアップすることが必要です。

ほうれい線の原因

ほうれい線が目立ってしまう原因について、詳しくみていきましょう。

まず、最も根本的な原因は、皮膚のたるみ。肌の張りや弾力は、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといったたんぱく質によって保たれています。しかし、加齢によって少しずつそれらが減少したり、変性してしまうと真皮もだんだん薄くなります。また、加齢だけでなく、紫外線も大きな要因。UVケアを心がけているつもりでも、日々紫外線を浴びていると、真皮のコラーゲン繊維やエラスチン繊維は傷つけられ固くなってしまいます。そして、弾力を失った肌にはたるみが生じ、その結果しわが目立つようになるのです。

さらに、コラーゲンやエラスチンが減少すると、真皮だけでなく顔の表情筋を支える筋膜や靭帯、筋膜と皮下脂肪組織をつなぐ結合組織も緩んでしまいます。そうなると、肌は重力によって、より下へとたるむようになります。

このようなたるみや、表情筋自体の緊張が加齢によって低下することに加えて、人と会話したり、笑ったり泣くなど、感情を表現する機会が少ないと、表情筋はどんどん衰えていきます。また、下を向いていることが多かったり、片方の口でばかり噛んでしまう、といった日常的な習慣やくせも、ほうれい線を悪化させる要因となります。
その他、乾燥や不十分なスキンケアもほうれい線を目立たせる原因の一つ。乾燥すると肌のバリア機能は低下し、紫外線による悪影響を受けやすくなります。またスキンケア不足で皮膚の表面が汚れていると、肌の保湿力が低下し、乾燥を招くことに。

このように、さまざまな要因が関わって、ほうれい線は目立つようになります。

ほうれい線が目立たない人の特徴

ここまでお伝えしてきた原因の他、骨格的にほうれい線が目立ちやすい、または目立ちにくい、という人もいます。口元が少し前にでている人は、そうでない人よりも口を開閉する時に、口の横の部分の皮膚が折れやすい傾向にあります。その結果、ほうれい線がより深く刻まれるため、20代からほうれい線が目立つケースもあるのです。

ほうれい線が目立たない人は、骨格的な特徴も関わることに加えて、ほうれい線ができる要因を避けている、という傾向があるでしょう。つまり、スキンケアの面では、紫外線対策や保湿ケアを徹底すること。また、表情筋の動きが偏るくせがなかったり、表情筋を意識的に鍛えている、という特徴もあります。

また、ほうれい線が気になるからといって、自己流のマッサージを行うのは逆効果になることも。肌を強い力でこすると、その刺激が肌のダメージとなり、返ってほうれい線を悪化させてしまう場合もあります。まずは、日頃のスキンケアを丁寧に。肌への刺激を最小限にすることが、ほうれい線を目立たなくするための第一歩です。

ほうれい線の予防方法

ほうれい線を予防するためには紫外線対策と保湿ケアと正しいスキンケアを徹底することはもちろん、日頃から表情筋を鍛えることも重要です。顔にはたくさんの筋肉がありますが、日常的に使っているのは、わずか30%程度と言われます。表情筋を鍛えるには、鏡を見ながら「あ」「い」「う」「え」「お」とはっきり声を出すトレーニングや、口に空気を含んで頬を大きく膨らませたり、凹ませたりするトレーニングなどを継続して行いましょう。

また、顔全体をリフトアップするためには、皮膚の奥にある脂肪を包む組織までケアすることも大切です。しわやたるみ対策と銘打った化粧品も数多くありますが、それだけでは深い部分をケアできないため、美顔器を使うことも良いでしょう。自宅で使える超音波マッサージ器などをあてると、血行促進やコラーゲン再生が促され、たるみを予防できます。

このようなケアを地道に続けることが、ほうれい線を予防し、悪化させないことにつながります。

~保湿ケア~

~紫外線対策~

~正しいスキンケア~

よりほうれい線を改善するには施術が効果的

このような予防策を取り入れても、深く刻まれてしまったほうれい線を目立ちにくくすることは、簡単ではありません。セルフケアには限界があるため、ほうれい線をどうしても薄くしたい、と思う場合は、美容皮膚科の施術が効果的です。

治療にもさまざまな種類がありますが、「ヒアルロン酸」は気になる部分に直接注入することでほうれい線のくぼみを盛り上げ、しわを目立たなくすることができます。施術時間は短く、ダウンタイムもほとんどないため、初めてでも試しやすい施術と言えるでしょう。それ以外にも、高密度焦点式超音波(HIFU)でたるみを改善させるダブロ、コラーゲンを増生させハリを出すヴェルベットスキン、コラーゲンピール、光治療やレーザー治療など選択肢は多様で、お悩みに合う治療を組み合わせることも可能です。

ほうれい線をより改善したい場合は、このような施術を日々のスキンケアにプラスすることが効果的。気になる方は、まず信頼できる医療機関を探して相談してみましょう。ただし、美容皮膚科の施術も、多くは永続的なものではありません。せっかく効果が得られても、日常的なケアを怠ったり、不規則な生活をしていると元に戻ってしまいます。スペシャルケアの選択肢を持ちつつ、ほうれい線を予防するライフスタイルを心がけましょう。

まとめ

  • ほうれい線は、鼻の端と口の端を結ぶ2本の線を指し、年齢と共に目立ちやすくなる
  • ほうれい線はしわの一種だが、根本的な原因は皮膚のたるみにある
  • 表情筋の衰えや乾燥、スキンケア不足などもほうれい線を悪化させる要因となる
  • 骨格により、ほうれい線が目立ちやすい人や目立ちにくい人もいる
  • 自己流のマッサージは、肌のダメージとなることもある
  • ほうれい線を予防するには、紫外線対策や保湿ケアの徹底が重要
  • 表情筋を鍛えるトレーニングや美顔器の使用もほうれい線対策に効果的
  • 美容皮膚科の施術は、ほうれい線をより改善するための選択肢となる
  • 施術は永続的ではないため、ほうれい線を予防するライフスタイルを心がけることも大切