すり鉢毛穴は改善できる?見分け方や原因、治療法について解説

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

毛穴のお悩みの中でも多い「すり鉢毛穴」。誤ったケアを続けているとさらに開きが悪化したり、凹凸が目立つようになったりします。毛穴の目立たない肌を手に入れるために、すり鉢毛穴の見分け方や原因、治療法をご紹介します。

毛穴トラブルの見分け方

そもそも毛穴の代表的な役割は、皮脂を出して皮脂膜を作ることです。肌から蒸発する水分の量を調節して乾燥を防いだり、皮脂などから作られる肌のバリア機能を保持するために働いています。毛穴は肌にとってなくてはならないものですが、皮脂の分泌が過剰になったり肌がたるんだりすると、毛穴が悪目立ちしてしまうことがあります。
毛穴の悩みは人によってさまざまですが、大きく3種類に分けられます。

(1)詰まり毛穴(黒い毛穴)

過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、角質や汚れなどと混ざってできた「角栓」が毛穴の出口に詰まっている状態です。鼻や頬にできやすく、角栓が空気にさらされて酸化すると黒ずむことがあります。

(2)すり鉢毛穴(開き毛穴)

毛穴の出口部分が本来の大きさよりも大きくなってしまい、すり鉢状に凹んでいるタイプです。Tゾーンや頬の内側などによく見られ、毛穴の奥で汚れなどが詰まっていることもあります。

(3)たるみ毛穴

肌内部(真皮)のコラーゲンやエラスチンが加齢によって減少すると、肌のハリが失われてたるみやすくなります。すると、毛穴が楕円形に伸びたり、場合によっては毛穴がつながって見えたりします。これが「たるみ毛穴」です。
おもに頬の内側で目立ちやすく、すり鉢毛穴にも似ていますが、目尻付近の肌を軽く斜め上に引っ張り毛穴が目立たなくなれば、たるみ毛穴と考えられます。

このうち今回は、すり鉢毛穴について詳しくみていきます。

すり鉢毛穴ができる原因

まだ明らかになっていないこともありますが、皮脂の分泌量が増加し毛穴で炎症が起こることが、すり鉢毛穴ができる要因の一つと考えられています。
肌が乾燥していたり、負担のかかるスキンケアやメイクを続けていると、肌を守るために皮脂が過剰に分泌されます。過剰な皮脂によって毛穴が詰まり皮脂が酸化してダメージが加わると、毛穴の出口周辺で炎症が起こり、皮脂を詰まらせないために出口が開くようになります。多少のダメージを受けてもターンオーバー(肌の生まれ変わりのサイクル)が正常であれば、毛穴はすぐに元の状態に戻ります。ところが、不規則な生活やストレス、誤ったスキンケアなどの影響でターンオーバーが乱れたり、バリア機能が低下していると、毛穴の炎症はなかなか改善せず、すり鉢毛穴ができやすくなります。さらに悪化すると、毛穴がクレーターのような大きな凹みになってしまうこともあります。

すり鉢毛穴を予防するには

すり鉢毛穴を予防し、目立ちにくくするためには、日頃のスキンケアを見直すことが肝心です。お伝えしたように、過剰な皮脂分泌が要因の一つなので、まずは皮脂の分泌量が増えすぎないように肌を整える必要があります。
ありがちなスキンケアの間違いは、毛穴の開きや過剰な皮脂、テカリが気になるからと、頻繁にあぶらとり紙を使ったり、ゴシゴシと顔を洗ったりすることです。必要な水分や油分まで奪われてしまうと、肌はそれを補うためにさらに皮脂を分泌させるので、悪循環に陥ってしまいます。
毛穴やテカリが気になる人こそ、皮脂の取りすぎや乾燥に注意が必要です。毎日の洗顔では、洗顔料をしっかりと泡立てて丁寧に洗うことを心がけ、水かぬるま湯で優しくすすぐようにしましょう。また保湿ケアを入念に行い、化粧水と乳液、クリームなどを使って、水分と油分のバランスを整えることも大切です。あわせて、肌にダメージを与えたり老化を進めたりする紫外線の対策も徹底しましょう。
さらに、毛穴が目立ちにくい健康な肌をキープするためには、栄養バランスのよい食事や十分な睡眠を心がけるなど、生活習慣の見直しも欠かせません。とくに脂っこいものや甘いものの摂りすぎは皮脂の増加につながります。また、ストレスを溜めないようにすることも美肌作りのキホンです。

このようにスキンケアや生活習慣を見直すと、肌そのもののコンディションが整い、結果としてすり鉢毛穴を予防することにつながります。ただし、すでにできたすり鉢毛穴をセルフケアのみで改善するのは容易ではありません。根本的に解決したい場合は、美容医療の力を借りることも有効です。

美容医療ですり鉢毛穴を改善する方法

すり鉢毛穴の治療法にはさまざまな種類があり、使用される機器なども医療機関によって異なります。たとえば、肌に極細針で微細な穴を無数にあける「ダーマペン4」や、レーザーを点状に当てる「CO2フラクショナルレーザー」といった肌の自然治癒力を利用し、皮膚再生を図る治療法が効果的です。またこのような治療とあわせて、マッサージをしながら薬剤を浸透させ、コラーゲンの生成を促進することで、肌のキメが整いハリやツヤ感の向上を目指す「コラーゲンピール」と、「ダーマペン4」を組み合わせた「ヴェルベットスキン」というコンビネーション治療を受けると、肌のキメがより整い、ツヤが出やすくなります。
これらの治療を受けた後は数日間赤みが出たり、多少の痛みが生じることがありますが、ほとんどの場合、日常生活に大きな支障はありません。
ダウンタイムを極力減らしたい人は、古い角質を剥がして肌の新陳代謝を促す「ケミカルピーリング」や、前述した「コラーゲンピール」などの選択肢もあります。

どのような治療が適切かは肌の状態によっても異なります。すり鉢毛穴を美容医療で改善したい人は、一度カウンセリングを受けてみましょう。基本的な予防法とあわせて、納得のいく治療を受けることが、肌の悩みを解決する近道になるでしょう。

まとめ

  • 毛穴には重要な役割があり、肌にとってなくてはならないものである
  • 毛穴のトラブルは大きく、詰まり毛穴、すり鉢毛穴、たるみ毛穴、の3種類に分けられる
  • すり鉢毛穴は、過剰に分泌された皮脂によって毛穴で炎症が起こることが要因の一つ
  • すり鉢毛穴を予防するには、日頃の生活習慣やスキンケアを見直すこと
  • 肌の水分や油分を取りすぎて乾燥すると、さらに皮脂が分泌されてしまい悪循環に陥る
  • 保湿ケアを丁寧に行い、ターンオーバーのリズムを整えることが大切
  • すり鉢毛穴のお悩みを根本的に解決したい場合は、美容医療の力を借りることも有効
  • 治療法には、ダーマペン4やCO2フラクショナルレーザー、ヴェルベットスキン、ケミカルピーリング、コラーゲンピールなどがある