医療コラム
リジュラン注射とは?注目の美容治療で得られる効果やダウンタイムなどの疑問について解説
加齢とともに肌にハリやツヤがなくなってきた、しわが目立つようになってきた、というお悩みを持つ人に人気の「リジュラン注射」。美容大国で知られる韓国でも有名な美容施術ですが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。この記事では、リジュラン注射の効果やダウンタイムなどについて詳しく解説します。
リジュラン注射とは
リジュラン注射とは、「ポリヌクレオチド(PN)」を有効成分とする美容施術です。ポリヌクレオチドがサーモンの精巣から抽出したDANの断片であることから、「高濃度サーモン注射」とも呼ばれています。「サーモンから抽出」と聞くと驚く人がいるかもしれませんが、サーモンのDNAはヒトのDNAの構造とよく似ていて、ポリヌクレオチドも副作用やアレルギー反応が起こりにくい成分です。
このポリヌクレオチドは、紫外線やストレス、加齢などによってダメージを受けた細胞の修復・再生を促す作用を持っています。それでは、具体的にどのような働きをするのか見ていきましょう。
〇新しい血管を作る
ポリヌクレオチドが注入されると、新しい血管が作られるようになります。この血管新生作用によって血流が促されると、新陳代謝が活発化され、肌に栄養や酸素が届きやすくなります。
〇線維芽細胞の活性化を促す
ポリヌクレオチドは、真皮層にある線維芽細胞を刺激する作用を持っています。線維芽細胞はコラーゲンやエラスチンを生成する細胞で、肌のハリや弾力性を保つのに重要な役割を担っています。
〇炎症を抑える
ポリヌクレオチドは炎症を抑える作用があります。肌が炎症を起こすと肌荒れやニキビなどの肌トラブルの原因となりますが、この炎症状態が長引くことによって肌の老化を加速させ、しわやシミの原因になったり、バリア機能を低下させたりもします。
こうした作用を持つポリヌクレオチドを用いたリジュラン注射は、アンチエイジング治療として美容医療の分野で人気を集めています。
リジュラン注射の効果
リジュラン注射に期待できる効果を、詳しく見ていきましょう。
〇ハリや弾力の改善
加齢や紫外線の影響によってコラーゲンやエラスチンが減少すると、ハリやツヤの低下、たるみなどの原因になります。リジュランの注入によって肌の細胞が活性化されると、コラーゲンとエラスチンの生成が促進され、肌の弾力や厚みが増し、ふっくらとしたハリやツヤのある肌に近づけます。
〇しわの改善
しわは加齢や表情による癖、乾燥など様々な原因があり、エイジングサインとして気になる方が多い悩みの一つです。リジュラン注射によって、コラーゲンなどが増えたり、肌のバリア機能が高まり水分保持力が回復したりすると、しわや乾燥小じわの改善が期待できます。
〇肌荒れ、ニキビ、ニキビ跡を予防、改善する
リジュラン注射の持つ抗炎症作用によって、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルを予防したり改善したりする効果が期待できます。施術を繰り返し受けることによって肌に厚みが増し、ボリューム感がアップすると、ニキビによるクレーターが目立ちにくくなることも期待されます。
〇毛穴トラブルを改善する
リジュラン注射は、肌の新陳代謝を促し、水分量や皮脂量のバランスを整える作用があります。皮脂の量がコントロールされると、過剰な皮脂分泌によって起こる毛穴の開きや詰まり、黒ずみといった症状が起こりにくくなります。
〇クマやくすみを改善する
クマやくすみは血行不良が原因で起きている場合がありますが、リジュラン注射は血流を良くする作用があるため、これらの症状を改善する効果が期待できます。血行不良による症状が改善されると、目元や顔全体が明るくなり、若々しく元気な印象へと変化します。また、ハリや弾力がアップすることでふっくらとした目元になるため、クマが目立ちにくくなります。
このようにリジュラン注射は幅広いエイジングサインや肌トラブルに対する効果が期待できます。
リジュラン注射の特徴:他の施術との違い
若返りや美肌を目指す施術はリジュラン注射以外にも、ボトックスやヒアルロン酸注射、水光注射などがありますが、これらの施術にはそれぞれ異なる特徴があります。
ボトックス注射は表情筋の動きを抑えて、額などのしわをできにくくする注射です。効果は数日後から出始め、3ヶ月程度続きます。ヒアルロン酸注射は、ほうれい線などの窪みに対して注入し、ふっくらとさせる注射です。直後から効果を感じることのできる施術で、9~12ヶ月程度持続することが多いです。また、水光注射は、専用の機械を使用し9本の極細針でヒアルロン酸やその他の美容成分をムラなく均等に注入することで、潤いや美白、美肌を目指す治療です。これらの治療は、即効性の高い注射ですが、時間の経過とともに効果が薄くなります。
一方、リジュラン注射の有効成分「ポリヌクレオチド」は、細胞の修復・再生に優れ、根本から肌を変化させることができます。顔や首などの様々な場所に注入することができ、しわやクマ、くすみや肌荒れ、ニキビなど、幅広い症状の改善が期待できます。加齢による変化を完全に防ぐことは難しいですが、自身の肌細胞を活性化することができるのは、他の施術にはない大きな特徴と言えます。また、リジュラン注射は肌自体の質を高めるため、変化の持続性が高く期待されます。
リジュラン注射の種類
リジュラン注射に使われる薬剤には複数の種類があり、クリニックによっては使い分けていることがあります。ここでは薬剤の種類とそれぞれの特徴について見ていきましょう。
- リジュラン:基本のタイプで、ポリヌクレオチドを2%配合しています。顔や首などに注入することで、肌質の改善を促します。
- リジュランi:粘度の低いタイプで、目元の細かいしわやハリ不足の改善に適しています。
- リジュランs:粘度の高いタイプで、ニキビ痕の瘢痕などへこみのある部分に適しています。
- リジュランHB:ポリヌクレオチド1%の他にヒアルロン酸とリドカインが配合されています。
リジュラン注射の施術頻度と効果の持続期間について
美容皮膚科の注射施術の中には一定の期間が過ぎると体内に吸収され、効果がなくなるものもありますが、リジュラン注射は肌自体の質を高める注射であり、効果の持続期間が長いことが特徴です。
個人差はありますが、2~3週間毎に3~4回(1クール)の治療で半年程度は肌の変化を実感することができます。さらに効果の持続期間を延ばすためには、定期的な施術が推奨されています。
ただし、施術後すぐには効果を感じづらいかもしれません。これは、リジュランが細胞に働きかけて修復や再生を促すのに時間が必要なためと言われています。2~4週間経過すると、肌にハリや弾力、肌質の改善を感じることができます。
リジュラン注射の効果を最大限に引き出すためには、日常的に紫外線対策や保湿ケアが必要です。特に施術直後は肌が敏感な状態のため、摩擦や刺激に気をつけましょう。
リジュラン注射の施術の流れ
リジュラン注射の施術の流れをご紹介します。
(1)洗顔、カウンセリング、診察
メイクを落として施術の準備を行います。カウンセリング、診察時に自分の悩みや希望を伝えましょう。実際に肌を診た上で、医師が施術可能かどうかを判断します。
(2)施術
痛みが苦手な人は、施術前に麻酔クリームをおすすめします。麻酔クリームを使用した場合は、塗布後30分ほどしてから施術に入ります。痛みを緩和させるため、注入部位を冷やしながら施術を行う場合もあります。
(3)施術後
施術部位をクーリング(冷却)して終了します。肌の状態によっては炎症止めの軟膏を塗ることがあります。
リジュラン注射のダウンタイムや注意点について
注射をした部位に腫れや内出血などの症状が出ることがありますが、数日~1週間ほどで落ち着くことがほとんどです。膨疹(注入した部分がぷくっとする感じ)が出ることもあります。膨疹は翌日には気にならなくなることが多いですが、施術後2~3日は触るとポコポコしたり、肌荒れのように感じたりする場合もあります。ダウンタイムが気になる方は計画的に施術の予定を立てると良いでしょう。
施術当日は大きな制約はありませんが、血行が良くなると腫れや赤みなどの症状が強く出てしまう可能性があるため、長時間の入浴やサウナ、激しいスポーツは控えるようにしましょう。洗顔、スキンケアは普段通りで問題ありません。ファンデーションや日焼け止めは翌日からできます。針を刺していない部分のポイントメイクは当日から可能です。
またリジュラン注射は、妊娠中は受けることができません。持病やアレルギー、体質などによっても受けられない可能性があるため、カウンセリングの際に既往歴や治療中の病気、服薬中の薬、アレルギーの有無などについて、正確に伝えるようにしましょう。
今回は、リジュラン注射についてご紹介しました。リジュラン注射は、肌自体の再生力を回復させることができる施術で、「ハリや小じわ、乾燥、くすみなどのエイジングケアや美肌ケアをしたい」「肌を根本から変えたい」という人におすすめです。自分の肌に自信を取り戻したい人は、施術を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- リジュラン注射は、サーモン由来の成分「ポリヌクレオチド」により、肌の再生力を高める美容施術である
- エイジングサインや肌荒れなど幅広い悩みに対して効果が期待できる
- 細胞の修復や再生に優れているため、根本から肌の変化をすることができるが特徴である
- リジュランの製剤は4種類ある
- 2~3週間毎に3~4回(1クール)の施術で効果が半年ほど持続するが、定期的に施術をすれば長期的に状態をキープすることができる
- ダウンタイムが数日出るが、日常生活の制限は少なく、翌日からメイクもできる