これってイボ?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

手や足の裏などにできやすいイボ。そもそも、それは本当にイボなのか、それともホクロや別のものなのでしょうか?ウイルスが原因のイボの場合、自己判断で対処すると悪化してしまうこともあります。イボの種類と対処法についてご説明しましょう。

イボの原因は大きく分けると2つ

一般的に「イボ」と呼ばれるできものは、医学的には「疣贅(ゆうぜい)」と言います。イボの原因には、ウイルス感染によるものと、加齢や紫外線の影響によるものがあります。

ウイルス感染が原因のイボは、早期に適切な対処をしないと炎症を起こして痛みが出たり、悪化して広がったりしてしまうこともあるため、皮膚科の受診をおすすめします。

ウイルス感染が原因のイボ

ウイルスが原因でできるイボとして、代表的なものには「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」や「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」があります。どちらもヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚の小さな傷口から侵入することで感染しますが、HPVには100種類以上の型があり、その型によってイボの種類も変わってきます。

尋常性疣贅では、手や足に数ミリ~1cm程度のイボができる症例がほとんどです。「たこ」や「うおのめ」と間違えやすいのですが、イボはたいていの場合、表面が硬くでこぼこしているという特徴があります。また、扁平疣贅はおもに顔や腕などにできる平たいイボで、傾向として若い女性に多くみられます。

これらは良性のイボですので、あまり心配はいりません。ただし、触っていると他の場所にもうつって広がったり、身近な人にうつしてしまったりする可能性が考えられます。さらに、黒や茶色に色素沈着していると、悪性のイボと区別がつきにくいため、皮膚科できちんと診てもらうほうが安心です。

そのほか子どもに多い例としては、一般的に「水イボ」と呼ばれる「伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)」が挙げられます。こちらも良性のイボです。伝染性軟属腫ウイルスに触れることで感染するため、保育園や幼稚園のプールで広がることもあります。イボの表面がつるつるしていて、肌に近い色の光沢を持ち、水疱のようにも見える点が特徴です。

ウイルスが原因のイボを治すためには

イボの原因がウイルスであった場合、市販の薬で様子をみることもできます。しかし、誤って使用すると治るまでの期間が長期化したり、他にも感染が広がってしまったりすることも考えられます。例えば、足の裏にできる「たこ」や「うおのめ」は、かたくなった角質を柔らかくして取り除く対処が一般的ですが、ウイルス性のイボに同じ治療を行っても治りません。イボが大きくなってきた、市販薬で様子をみてもなかなか治らない...などの場合は皮膚科を受診しましょう。

皮膚科で行われる処置としては、イボを凍結し、かさぶたにして除去する液体窒素凍結療法や、電気焼灼法、レーザー療法、スピール膏という貼り薬でイボを溶かす方法、漢方を内服して免疫力を高める方法などが挙げられます。イボのできた場所や症状などによって、いくつかの治療法を組み合わせることもあります。

イボが完全に消えるまで、場合によっては数ヶ月~数年単位の時間を要します。定期的な通院は時間や費用もかかりますが、自己判断により治療を途中でやめてしまうのはご法度です。ウイルスは根深く、忘れたころに再発する可能性は否めません。完治を目指すには、医師が治ったと判断するまで、根気よく治療を続けることが肝心です。

加齢や紫外線の影響によるイボ

皮膚の老化や紫外線の影響によってメラニン色素が増え、皮膚の表面が厚くなってイボができることもあります。これは「老人性イボ」または「老人性疣贅(ゆうぜい)」「脂漏性角化症」などと呼ばれます。顔や手の甲、胸、背中、腰などに茶色や黒いイボができることが多く、その名の通り中高年に多くみられますが、若い人にできる場合もあります。また、首やわきの下などに数ミリのイボがいくつもできるものは「軟性線維症」または「スキンタッグ」とも呼ばれます。

加齢や紫外線によってできるこれらのイボは良性なので、治療の必要はありません。ただし、顔の目立つところにできてしまい気になる場合などは、取り除くための治療を受けることもできます。選択する治療法によっては健康保険の適応とならない場合もありますので、事前によく確認してください。また、イボの形がいびつだったり色にムラがあったりするケースでは、悪性の可能性も否定できません。ですから、正確な診断を受けた上で検討しましょう。イボを作らない対策としては、紫外線を極力避けるというケアが大切です。

まとめ

  • イボの原因には、ウイルス感染と加齢や紫外線による影響がある
  • ヒトパピローマウィルス(HPV)が傷口から入ることでイボができる。HPVの型によってイボの種類も変わる
  • 子どもの水イボなども含め良性の場合が多いが、悪性のイボもある。黒や茶色に色素沈着しているイボは念のため受診したほうがよい
  • ウイルス性のイボには市販薬もあるが、正しい用法で使用してもよくならなければ、皮膚科で適切な治療を定期的に受けるほうがよい
  • 加齢や紫外線の影響によるイボは、基本的に良性で治療の必要はない。ただし、形がいびつだったり色ムラがあったりする場合は悪性の可能性も考えられる
  • 目立つところにイボがあって気になる場合は、取り除くために治療することもできる
  • イボを作らないためには、紫外線や乾燥など肌への刺激を避け、できてしまったら医療機関を受診し、正しい診断を受けた上で適切に対処することが大切である