自分でつぶすのはNG!ニキビの段階に合う適切な治療とは?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

一つできただけでも悩みの種になるニキビ。気になるからといって、ついつい指でつぶしていませんか?
ニキビをキレイに治したいのであれば、自分でつぶすのはNGです。また、医療機関で面皰圧出法(めんぽうあっしゅつほう)などの治療を受ける場合も、適切なタイミングがあります。ニキビの段階に応じた治療についてお伝えして行きましょう。

ニキビはなぜできる?

青春のシンボルともいわれるほど、思春期の頃にできやすいニキビ。また、成人してからしつこい大人ニキビに悩まされる人も増えています。そもそも、ニキビはなぜできるのでしょうか。実は、ニキビは医学的に「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ぼれる、皮膚の病気の一つです。ニキビは過剰な皮脂が毛穴につまることで生じます。さらにそこに細菌が繁殖すると、炎症などさまざまな症状を招きます。
10代の思春期ニキビには、成長に伴うホルモンバランスの変化による皮脂の過剰分泌が大きく関わっています。一方の大人ニキビは、ターンオーバーと呼ばれる肌の代謝のサイクルが、年齢とともに乱れることも原因の一つになります。ターンオーバーの乱れは、毛穴が詰まりやすくなる、古い角質がスムーズに排出できなくなる、などの症状を引き起こします。
また、年齢を問わず、生活習慣の乱れはニキビができる大きな要因です。脂っこいものばかり食べるようなバランスの悪い食生活、睡眠不足やストレスなどは、ターンオーバーが乱れる原因にもなり、ニキビの大敵です。
さらに、喫煙や長時間のお化粧、乾燥、肌に直接触れる寝具が不衛生など、ニキビの原因や悪化に関わる要素は日常に数多く潜んでいます。こうした要因がいくつも重なって、ニキビができてしまうのではないかと考えられています。

色でわかる!段階的に悪化するニキビ

ニキビの原因になる菌は正常な皮膚にも棲みついており、皮脂腺で作られる皮脂が毛穴から皮膚の表面へと順調に出ていけば悪さはしません。しかし、さまざまな原因で毛穴が塞がると、ニキビは段階的に悪化していきます。
ニキビにはさまざまな分類法がありますが、大まかな進行具合は色を見ることによって次のように把握できます。

○白ニキビ

初期段階のニキビで、毛穴に皮脂が溜まっている状態です。白いポツッとした膨らみが肌の表面に見えるようになります。この状態は「面皰(めんぽう)」や「コメド」と呼ばれることもあります。

○黒ニキビ

毛穴が開き、中に溜まっていた皮脂が酸化したり、古い角質と混じり合ったりすると、ニキビが黒く見えるようになります。これは汚れが溜まっている状態で、シミやほくろのように見えることもあります。

○赤ニキビ

白ニキビが悪化し、毛穴の中で溜まっている皮脂に細菌が繁殖すると炎症が起こり、赤くなって腫れることがあります。この状態で無理に触ったり放っておいたりすると、ニキビ痕が残ってしまうかもしれません。

○黄ニキビ

赤ニキビの段階で生じている炎症がさらに悪化すると、黄色く膿んだ状態になります。膿ニキビとも呼ばれる黄ニキビは、デコボコしたニキビ痕が残ってしまう可能性がさらに高くなります。

ニキビの正しい対処法とは?

このように段階的に悪化するニキビ。悪化するほど元の状態に戻るまでの時間がかかり、治りにくくなりますので、早い段階の適切な対処が肝心です。
白ニキビができてしまったら、セルフケアの基本はとにかく肌の清潔を保つことです。洗顔料はよく泡立て、肌を傷つけないよう優しく洗いましょう。ただし、洗いすぎは乾燥を招き、かえって皮脂の過剰な分泌を招く可能性があります。洗顔後は清潔なタオルで顔を拭き、しっかりと保湿を心がけましょう。
また、枕カバーなど肌に触れるものは清潔に保ち、バランスの良い食事や睡眠時間を十分に確保するなど、規則正しい生活を送る心がけも大切です。
さらに、薬局などで購入できる市販薬を使うことも対処の一つでしょう。白ニキビや黒ニキビなど、比較的初期の段階であれば、塗り薬などの適切な使用によって改善が期待できます。

自分でつぶすのはNGならば病院で?

ここで注意しておきたいのは、ニキビが気になるからといって、自分でつぶすのはNG!ということ。わかっていてもつい...という方は多いでしょう。しかし、自分でニキビをつぶすと、皮膚を傷つけたり細菌が入り込んだりするきっかけになりやすく、治るどころか余計に悪化してしまいます。
また、自分でつぶせないなら...と皮膚科を受診して、ニキビをつぶして欲しいと希望する人も少なくありません。医学的には「面皰圧出法」と呼ばれるこの治療は、毛穴に詰まっている皮脂を専用の器具を使って清潔に取り除く方法です。
しかし、ニキビの状態によっては、面皰圧出法を行うとかえって悪化してしまう可能性もあり、面皰圧出法が適切なタイミングであるか医師の判断が必要となります。

ニキビ治療の実際

繰り返しになりますが、ニキビはれっきとした皮膚の病気です。少しでも早く、スムーズにニキビを治したいのであれば、炎症が起こってからではなく、とにかく早い段階で医師に診てもらう方が安心でしょう。病院のニキビ治療には、保険適応で受けられる皮膚科治療と、保険適応外にはなりますが、美容皮膚科の範疇として受ける多様な治療の選択肢もあります。

保険適応の治療で一般的なものは、飲み薬や塗り薬による治療と面皰圧出法です。ニキビの段階に合わせて、毛穴の詰まりに効果のある薬や炎症を抑える薬などを併用し、さらなる悪化を防ぐことができます。
赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を起こしているニキビは、まずは飲み薬や塗り薬での治療が基本です。また、一旦治ったように見えて、同じ場所に繰り返しできるニキビも厄介者です。さらに、それだけでは十分に回復せず痕が残ってしまうこともあります。このような場合は、ケミカルピーリングや毛穴の洗浄、レーザー治療といった選択肢も視野に入れましょう。

いずれにせよ、自己流のニキビケアをなんとなく続けるのはご法度。ニキビの悩みを早く解消するためには、できるだけ早めに病院で相談をして、適切な治療を受けることをおすすめします。

まとめ

  • ニキビは皮膚の病気の一つで、医学的には尋常性痤瘡と呼ばれる
  • 過剰な皮脂が毛穴につまり、細菌が繁殖するとニキビは悪化する
  • ニキビができて悪化する原因には、さまざまな要因が関わっている
  • ニキビは白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビへと段階的に悪化する
  • セルフケアの基本は肌の清潔を保ち、規則正しい生活を送ること
  • 市販薬を使う方法もあるが、気になるニキビを自分でつぶすのはNG
  • 治療の一つである面皰圧出法は、適切なタイミングで行わなければ悪化を招く可能性もある
  • ニキビの段階にあった適切な治療を受けることが、改善への近道になる