メンズスキンケアの基本を解説。清潔感をアップする肌のお手入れのやり方とは?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

スキンケアは女性がするもの、というイメージはもはや時代遅れかもしれません。若い世代だけではなく、中高年を含む多くの男性が、スキンケアを気にかけています。肌のお手入れが出世を左右するとまで言われるほど、社会全体で「見た目」が重視される今、メンズスキンケアの基本をご説明します。

「清潔感」を決める肌のコンディション

初対面の相手はもちろんのこと、職場をはじめさまざまな人との関わり合いにおいて、外見が与える印象は極めて重要です。言うまでもなく、人は中身が大切です。しかしながら、第一印象の良し悪しによって、その後のコミュニケーションも大きく変わってくるでしょう。
そして、この好感度に作用する大事な要素の一つが「清潔感」です。肌荒れやひげの剃り残し、寝癖でボサボサな髪、体臭などの不潔な様子は、相手にだらしない印象を与えます。反対に、肌にツヤがあり、髪型や身だしなみが整っていると、若々しさや誠実さ、頼りがい、といったプラスの要素が加わります。
髪型や体臭は、その場でなんとかしのぐことも可能ですが、日々のお手入れが如実に現れるお肌は隠せません。お肌が整っていると、相手の印象を良くするだけではなく、自分に自信を持って過ごすことができます。社会人にとってビジネスマナーとも言える身だしなみ。正しいスキンケアを実践して、清潔感アップを目指しましょう。

お悩み第1位は「乾燥肌」

冒頭でお伝えしたように、最近はスキンケアに関心を持つ男性も少なくありません。
大塚製薬株式会社が20~60代の男性を対象に行った調査(PDF)によると、約8割の男性が肌に何らかの悩みをもっていることがわかりました。また、肌に関する悩みの第1位は「乾燥、かさつき」でした。
若いころは肌のテカリやニキビが悩みの種になりやすいのですが、年齢とともに乾燥を気にする男性は多く、とりあえず化粧水は使っている、という人もいるようです。しかし、誤ったケアが余計に乾燥を招き、逆にテカリの原因になることもあります。洗顔から保湿ケア、ひげ剃り、UV対策など、プロセスごとに正しい方法を解説していきましょう。

洗顔の基本

まずは洗顔です。水でバシャバシャ洗うだけ、あるいは洗顔料でゴシゴシと力いっぱい洗ってさっぱり、という洗い方をしていないでしょうか。とかく男性が陥りやすい洗顔方法ですが、どちらも十分ではありません。
肌の余分な脂や汚れを落とすためには、洗顔料を使用してください。スキンケアはとにかく丁寧に、肌に負担をかけないことが大切ですから、洗顔料はよく泡立てて使用します。はじめに皮脂がたまりやすい額(ひたい)と鼻の部分、いわゆるTゾーンを洗い、次に頬や目元を洗います。その際、ゴシゴシこするのは厳禁です。泡でマッサージをするイメージで優しく洗います。洗浄後は、水かぬるま湯で十分に洗い流します。洗顔料が残ると炎症の原因にもなりますので、気をつけましょう。

ひげ剃りのダメージに要注意

多くの男性にとって欠かせない毎日のひげ剃りは、洗顔と同時に行うという人が多いかもしれません。肌にダメージを与えやすいシェービングは、スキンケアの中でもとくに気をつけたいポイントです。
シェービングでは、いかに肌を傷つけないか、ということが重要です。何もつけずに剃ると肌への負担が大きいですから、シェービングクリームやムースなど、「プレシェーブケア」と呼ばれる肌を保護するアイテムを活用してください。これは、T字カミソリであっても電気シェーバーであっても同様です。オイルや乳液など、肌に合うもので構いませんが、肌すべりをよくし、保湿作用も期待できるタイプをおすすめします。

スキンケアの要となる「保湿」

洗顔やひげ剃りの後は、スキンケアの要とも言える「保湿」をお忘れなく。このプロセスを省略して、顔を洗ったままにするのはご法度です。若いころならともかく、20代も半ばを過ぎると、肌の水分量は減少しやすく、脂分も不足しがちです。肌が乾燥していると、身体が内側からうるおいを補おうとして脂を分泌し、脂っぽい肌の状態になっている人もいます。
保湿ケアの第一歩としては、乳液や保湿クリームなど、油分が配合されているアイテムを使いましょう。また、化粧水は乳液やクリームの効果を高めてくれます。洗顔直後にまずは化粧水をつけて、その後で乳液やクリームを使うと、より肌が整います。
さらに余力があれば、美容液の活用もおすすめです。たとえば、肌のテカリが気になる場合は、皮脂の分泌を抑え、毛穴を目立たなくするタイプの美容液を使うと、症状が軽減されます。ほかにも、シミを目立たなくする、顔のたるみを引き締めるなど、目的に応じたさまざまな美容液が手軽に入手できます。自分の悩みに合った美容液を見つけておくと良いでしょう。

男性もUVケア対策を欠かさずに

さて、ここまでお伝えしてきたスキンケアを毎日の習慣にすれば、肌のコンディションの改善が期待できます。ただし、その上で忘れてはならない重要なケアが、紫外線対策です。紫外線は365日、天気を問わず、室内でも降り注ぎ、少しずつ肌にダメージを与え、やがて肌の老化を招きます。
とくに、屋外での仕事や営業などで外出機会の多い人は、日焼け止めを塗るようにしましょう。日焼け止めにはクリームタイプやジェルタイプ、スプレータイプなどの種類があります。負担なく使いやすい、自分に合ったタイプを、夏だけではなく、1年中使うことをおすすめします。

選択肢が広がるメンズスキンケア

女性に負けず劣らず、男性のスキンケア分野も選択肢の幅が広がってきています。その一つがメイクアップです。需要が高まる昨今は、さまざまなメーカーから男性用化粧品が販売されています。たとえば、シミや目の下のクマが気になるときは、コンシーラーを使うと瞬時にカバーできます。また、肌全体を整える目的で、ファンデーションを活用する人も増えてきました。大勢の前でのプレゼンテーションや重要な会議などのシーンで、簡単に肌を整え相手に好印象を与えることができます。とは言え、明らかに塗っている感じが強いと逆効果になるかもしれません。あくまで素肌がきれいなようにみせることが、清潔感につながるポイントです。
さらに、男女を問わず、スキンケアの一環として美容医療の力を借りる人も増えています。レーザー治療でシミを消す、イオン導入やケアシスで肌のキメを整える、シワを目立たなくするなど、身体への負担が比較的少ない方法もあります。セルフケアでは太刀打ちできず、肌の悩みがコンプレックスになっている場合は、皮膚科などで専門の医師に相談してみても良いでしょう。

男性のスキンケアの基本から応用編まで、最新の情報を踏まえてお伝えしました。肌が整うことは、自信ある行動へとつながり、職場や家庭、多様な人間関係においてポジティブな変化をもたらします。無理なくできることからコツコツと、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 肌のコンディションは清潔感を左右し、それによって人に与える印象が大きく変わる
  • 肌に悩みを持つ男性は多く、第1位は乾燥やかさつきであることが報告されている
  • スキンケアを行う男性は増えてきたが、自己流のケアが逆効果になっていることもある
  • 洗顔の際は、洗顔料をよく泡立てて丁寧に洗い、水かぬるま湯で洗い流す
  • ひげ剃りはプレシェーブケアを併用し、肌に負担をかけないことが重要
  • 保湿ケアとして、乳液やクリームなど油分が配合されているアイテムを使う
  • 紫外線対策として、日焼け止めを夏だけでなく、一年中使うようにする
  • スキンケアの選択肢は広がっていて、化粧品や美容医療の力を借りる方法もある
  • スキンケアによって肌が整うと自分の自信にもつながる