ニキビ痕(ニキビ跡)の赤みは消すには?諦めずに皮膚科に相談を

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

やっとニキビが治ったと思いきや、今度はニキビ痕が残ってしまってがっかり・・・そんな経験はありませんか。治すことが難しいと思われているニキビ痕ですが、実は皮膚科での治療で改善することがあります。そこで今回はニキビ痕の種類や治療法について、紹介していきます。

ニキビ痕の種類:あなたのニキビ痕はどのタイプ?

ニキビ痕には、赤みをともなうタイプや、色素沈着を起こして紫色や茶褐色になるタイプ、クレータータイプ、そして、赤く盛り上がるタイプなどがあります。それぞれの違いを解説していきましょう。

(1)赤みをともなうニキビ痕

ニキビができて炎症が起きると、そのダメージから皮膚を守るために毛細血管が患部に集中して、うっ血することがあります。その影響で、ニキビが治った後も赤みが残ってしまうのがこのタイプです。
赤く目立つことから気にする人も多いですが、基本的には自然に消えていきます。個人差はありますが、ニキビの治癒から1ヶ月ほどで赤みが落ち着き始め、早ければ2~3ヶ月で目立たなくなります。ただし、炎症が強い場合や、同じ場所で何度も炎症が繰り返されている場合には、長期間赤みが続いてしまうことがあります。

(2)紫色のニキビ痕

ニキビの炎症が皮膚の表面よりもさらに深くにまで達してしまうと、その部分の毛細血管が破裂してしまうことがあります。すると、そこから血液の成分であるヘモグロビンが漏れ出て色素沈着を起こし、紫色のニキビ痕となります。

(3)茶褐色のニキビ痕

ニキビの炎症で刺激を受けたメラノサイトがメラニン色素をたくさん作り出し、それが色素沈着を起こすと茶褐色のニキビ痕になります。紫外線の影響で悪化することもあります。

(4)クレータータイプのニキビ痕

炎症が繰り返されることで、毛穴の構造が変化してしまった状態です。毛穴自体の形が変わってしまうことから、ほかの種類に比べて治すことが難しいといわれています。

(5)赤く盛り上がるニキビ痕

ニキビによってダメージを受けた皮膚を修復する過程で、コラーゲンが必要以上に増殖することで起こります。発生には体質(ケロイド体質)などが関係しています。治療法には、テープなどによる圧迫療法、ステロイド剤などの外用薬による治療、注射などがあります。

このように、ニキビ痕の種類はいくつもあり、それによって治療法も変わってきます。次からはおもな治療法をご紹介していきましょう。

ニキビ痕の治療法:赤みや色素沈着をともなうニキビ痕

炎症後に赤みが残っていたり、色素沈着を起こしているニキビ痕には、まず外用薬による治療が行われることが一般的です。外用薬には、保湿や血行促進、抗炎症などの効果を持つ「ヘパリン類似物質」や、ニキビの炎症を抑えたり色素沈着を改善する「ビタミンC誘導体」、美白剤として知られる「ハイドロキノン」などがあります。また、必要に応じて内服薬が処方されます。外用薬や内服薬は、種類によって保険適用になる場合とならない場合があるので、診察の際に、確認しておくようにしましょう。
また、保険適用外にはなりますが、症状や本人の希望などによって次のような治療が行われることがあります。

〇ケミカルピーリング

サリチル酸などの専用の薬剤を塗り、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促す治療法です。古い角質が除去されるので、ニキビ痕の赤みや色素沈着の改善にも効果が期待できます。
また、古い角質の蓄積はニキビだけでなく、くすみやごわつきの原因にもなるため、ケミカルピーリングは、さまざまな肌トラブルを改善する治療法としても知られています。

〇イオン導入・エレクトロポレーション

イオン導入は、専用の機器を使ってイオン化した美容液を皮膚の内部に浸透させる治療法です。ほかの治療法と組み合わせて行うことも可能です。とくにケミカルピーリングの後にイオン導入を行うことで、より一層、美容液が浸透しやすくなります。治療に用いられる美容液にはいろいろな種類がありますが、ニキビ痕の赤みにはビタミンCを配合した美容液などが有効です。
一方、エレクトロポレーションは、専用の機器で皮膚に微弱の電気を流して一時的に小さな孔を開け、そこに美容液を浸透させる方法です。美容液の浸透率も高いことから、この頃注目を浴びています。

〇光治療・レーザー治療

光やレーザーを皮膚に照射し、赤みや色素沈着を薄くする治療法です。光治療は皮膚表面の浅い部分に働きかけるもので、顔全体に広く照射します。これに対してレーザーは、皮膚のより深い部分にまで届くため、レーザー治療では色素沈着を起こしている部位にピンポイントで働きかけることができます。

ニキビ痕の治療法:クレータータイプのニキビ痕

お伝えしたように、クレータータイプのニキビ痕は毛穴の構造自体が変化しているため、ほかのタイプに比べて治療が難しいといわれてきました。けれども、最近は美容医療の進歩によって、クレータータイプのニキビ痕でも改善が期待できるようになってきています。
「CO2フラクショナルレーザー」は、皮膚にレーザーを照射して、小さな点状の孔を無数に開け皮膚の再生を促す方法です。「ダーマペン4」は、極細針を肌の真皮層まで到達させて微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用し、皮膚再生を図る治療です。どちらの治療も、これまで困難といわれてきた凸凹としたニキビ痕の改善にも効果を発揮します。ただし、1度だけで効果を実感することは難しく、間隔をあけて治療を重ねることが必要になります。

ニキビ痕で悩んでいるなら、皮膚科へ行こう

「ニキビ痕はもう治らない」と思っている人もいると思いますが、さまざまな治療法がありますから、諦めずに皮膚科に相談することをおすすめします。
なお、治療法によって効果はもちろん、必要な回数や費用、痛みの有無、ダウンタイムも異なります。時にニキビ痕は治療期間が長くなることもありますから、疑問や不安なことをしっかりと相談できるクリニックを探してくださいね。

まとめ

  • ニキビ痕には、赤みをともなうタイプや、紫色や茶褐色になるタイプ、クレータータイプ、赤く盛り上がるタイプなどがある
  • 赤みをともなうニキビ痕は、炎症部位に毛細血管が集中・うっ血することが原因で、自然に治ることが多いが、炎症が強い場合などは赤みが長く続くこともある
  • 紫色のニキビ痕は、炎症によって毛細血管が破れて漏れだしたヘモグロビンが色素沈着を起こすことでできる
  • 茶褐色のニキビ痕は、炎症の影響で作られたメラニン色素が色素沈着を起こすことが原因
  • クレータータイプは、繰り返される炎症で、毛穴の構造が変わってしまうことが原因
  • 赤く盛り上がるタイプは、線維芽細胞の異常な増殖が原因で、体質が大きく影響している
  • 赤みや色素沈着をともなうニキビ痕の治療法には、外用薬や内服薬による治療のほか、ケミカルピーリング、イオン導入、エレクトロポレーション、光治療、レーザー治療などがある
  • クレータータイプのニキビ痕では、CO2フラクショナルレーザーやダーマペンによる治療が行われることもある
  • ニキビ痕は諦めずに皮膚科に相談を