くっきりできたおでこのしわをなくすには?原因から皮膚科でできる改善方法まで

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

おでこは周囲の人からも目につきやすい場所。そのため、深いしわができると気になる人は多いでしょう。なんとか隠そうと化粧を頑張っても、しわが深くなるとかえって目立ってしまうことも。では、おでこの深いしわを目立たなくする方法はあるのでしょうか。そこで、原因や皮膚科でできる改善方法についてご紹介します。

くっきりしたおでこのしわ その原因とは

ひと言でしわといっても、いくつかの種類に分けられます。たとえば、小じわ。目元や口元にできる小じわは、乾燥が原因の一つといわれていて、スキンケアの見直しや保湿ケアを徹底することによって、目立たなくなることもあります。
これに対して、セルフケアだけで改善することが難しいのが、表情じわです。人には誰しも表情のくせがあります。その表情に合わせて同じ場所の筋肉がくり返し収縮すると、次第にしわとなってくっきりと目立つようになっていきます。
表情じわのできやすい場所はいくつかありますが、おでこもその一つです。とくにおでこは、目やまぶたの動きと連動していることから、目を見開く癖のある人や、一重まぶたなどで生まれつき腫れぼったい目の人などは、おでこにくっきりとしたしわが残りやすいといわれています。
また、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」など、眼の病気が関係しているケースもあります。眼瞼下垂は、上まぶたの筋力に異常があったり、まぶたを持ち上げる腱とまぶたを支える組織との付着部分の機能が低下することで、まぶたが下がって見えにくくなる病気です。先天性のものと後天性のものとに分けられますが、悪化すると、目が開きにくくなったり、視界が悪くなって、日常生活に支障をきたします。肩こりや頭痛、睡眠障害など、身体的な不調が出たり、物が見えにくいことからイライラや不安が強まって、精神面に影響を及ぼすこともあります。また、目を見開くこうとするので、おでこにしわができやすいといわれています。
このほか、上まぶたの筋肉や腱などには異常がないのにまぶたが下がる「偽眼瞼下垂(にせがんけんかすい)」を患っている場合も、同じようにおでこにしわができやすくなります。

このような要因に加えて、紫外線によるダメージの蓄積や肌の水分不足などが加わると、おでこのしわはよりくっきりと目立つようになっていきます。

おでこのしわ:目立たなくする方法とは?

お伝えしたように、おでこのしわはさまざまな要因が絡んで発生しますが、いずれにしても原因に合わせた対処を行う必要があります。たとえば、おでこのしわ以外に、まぶたが重く感じる人や、以前に比べて目が開きにくくなった、という人は、眼瞼下垂や偽眼瞼下垂の可能性も考えられるため、まずは眼科を受診することをおすすめします。
一方、目やまぶたにとくに異常がない人は、セルフケアを見直してみましょう。しわの原因となる乾燥対策や紫外線対策を徹底することは、すでにできてしまったしわを悪化させないためには欠かせません。また、本や雑誌、インターネットなどでは、表情筋の体操など、セルフケア法などがたくさん紹介されているので、こうしたものを取り入れてみるのも方法の一つです。
ただし、すでにできてしまった深いしわの場合、残念ながら、セルフケアだけでは太刀打ちできない可能性が高いでしょう。ですから、そのような場合は、美容皮膚科などで相談してみることも検討してみてください。美容皮膚科ではさまざまな治療が受けられますが、おでこのしわを目立たなくする方法としては、ボツリヌス注射とヒアルロン酸の注入などがあります。それぞれご紹介していきましょう。

皮膚科での治療(1)ボツリヌス注射

ボツリヌス注射は、「A型ボツリヌストキシン」というたんぱく質を含む注射を用いた治療法で、筋肉の緊張を緩和させたり、発汗を抑える目的で行われます。病気の治療などでも用いられていますが、美容医療の分野では、表情じわや顔のエラ張り、ワキガや多汗症、ふくらはぎの筋肉の発達といったお悩みにアプローチする治療法として取り入れられています。
おでこのしわを目立たなくする治療としても、よく行われています。注射の効果は、治療後2~3日ほどで現れ始め、一般的には1週間ほどするとはっきりとした変化を実感できるようになります。その後、3~6か月程度、効果が持続します。治療の時間は麻酔を含めて40分~1時間程度です。治療後は患部に赤みや内出血が出ることはあるものの、10~14日間ほどで落ち着きます。
おでこにボツリヌス注射を打つ場合の注意点として、治療後に目が開きにくくなることがあります。一時的なことが多いのですが、長く続くときは病院で相談しましょう。また、注射の影響で眉が吊り上がってしまうことがあります。その場合、追加で注射をすることで改善されることがあるため、注射を打った病院に確認してみましょう。さらに、ごくまれではありますが、治療から数時間後に頭痛が起こることがあります。こうした症状が出た場合は、病院に電話して対処法を相談するようにしましょう。

皮膚科での治療(2)ヒアルロン酸の注入

おでこのしわだけでなく、丸みやボリュームも欲しいという場合は、ヒアルロン酸の注入が行われることがあります。ヒアルロン酸はもともと皮膚に含まれているものですが、加齢にともなって、次第に減少していき、しわの一因になります。そこで、ヒアルロン酸を注入することで、しわが目立ちにくくなったり、おでこに丸みやボリュームが出やすくなります。
注入したヒアルロン酸の効果は、6~12ヶ月ほど持続し、徐々に体内へと吸収されていきます。所要時間は、ヒアルロン酸を注入する量などによって変わってきますので、事前に確認しておきましょう。また、注射後は赤みや内出血の出ることがありますが、10~14日間ほどで落ち着きます。なお、リドカイン過敏症の人や、ヒアルロン酸に対してアレルギー反応を起こしたことのある人などは、治療を受けられないので、既往歴などは正確に伝えるようにしましょう。

おでこの深いしわが気になる人は医療機関で相談を

ここまで皮膚科で受けられるおでこのしわ治療として、2つの方法をご紹介しました。ボツリヌス注射もヒアルロン酸注入も、メスを使わない方法です。そのため、気軽にしわ治療を受けてみたい人や、手術に対して抵抗のある人に人気です。興味のある人は、美容皮膚科で相談してみるとよいでしょう。
ただし、これらの治療効果は一定の時間が経つと消えてしまいます。ですから、より持続的な効果が欲しいという人は、美容整形外科などでの手術も選択肢の一つになってくるでしょう。ただし、メスを使う手術はそれだけ身体にとって負担になりますから、治療効果だけでなく、リスクも踏まえた上で治療法を検討するようにしましょう。

まとめ

  • おでこは、表情じわのできやすい場所
  • おでこは、目やまぶたの動きと連動していることから、目を見開く癖のある人や、一重まぶたなどで生まれつき目が腫れぼったい人などは、くっきりとしたしわが残りやすい
  • おでこのしわは、眼瞼下垂など、目の病気が関係していることもある
  • おでこのしわを悪化させないセルフケア法として、乾燥対策や紫外線対策、表情筋の体操などがある
  • すでに深いしわができている場合は、美容皮膚科などで相談してみるのもよい
  • 美容皮膚科で行われるおでこのしわ治療として、ボツリヌス注射とヒアルロン酸注入がある
  • ボツリヌス注射は、「A型ボツリヌストキシン」というたんぱく質を含む注射で、表情じわを目立たなくする治療として、よく行われている
  • ボツリヌス注射の効果は2~3日で現れ始め、3~6か月程度持続する
  • おでこにボツリヌス注射を打つ場合、治療後に目が開きにくくなる、眉が吊り上がる、頭痛が起こるなど、身体に変化が現れる可能性があり、必要に応じて病院に相談することが大切
  • おでこのしわだけでなく、丸みやボリュームが欲しい場合は、ヒアルロン酸の注入が行われることがある
  • ヒアルロン酸の効果は6~12ヶ月ほど
  • 過去にヒアルロン酸に対してアレルギー反応が出たことのある人など、治療を受けられない人もいる
  • 治療法を選択する際はリスクも踏まえて検討すること