首にできたいぼ(イボ)、もしかして原因は皮膚の老化?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

首周りのいぼが気になって、首元の開いた服を着づらい、というお悩みはありませんか?いぼにもさまざまな種類がありますが、年齢と共に目立ってくる小さないぼは、皮膚の老化が原因かもしれません。首にできるいぼの種類と対処法について解説します。

いぼの種類はさまざま

単にいぼと言っても、その種類や原因はさまざま。首にできたいぼに悩む人は少なくありませんが、いぼと思っていたものが、実はホクロやシミである、ということもあります。そもそも「いぼ」とは、皮膚の一部が盛り上がっている小さなできものを指す、一般的な呼び方で、医学用語ではありません。また、多くの場合、皮膚科などでいぼと呼ばれるものには、ウイルスによる感染性のものと非感染性のものがあります。感染性の代表的なものに「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」があります。尋常性疣贅は、手や足にできることの多いいぼで、全身にできる可能性もありますが、首ではあまりみられません。
では、一般的に「首いぼ」と呼ばれるできものは、どのようなものなのでしょうか。

首いぼは、ほとんどが非感染性で良性の皮膚腫瘍

首いぼの多くは、「アクロコルドン」「スキンタッグ」「軟性繊維腫」と呼ばれるもので、良性の皮膚腫瘍の一種です。これらは、中高年以降に目立ってきます。首以外にも皮膚が薄くなっている部分にでてくるので、炎症を起こす場合もあります。

・アクロコルドン
大きさは1~2mmと小さめ。あまり盛り上がっていない褐色のいぼ。首全体に多数できやすい。

・スキンダック
アクロコルドンよりもやや大きく、1~数mm程度の大きさ。少し飛び出しており、引っ張れば取れそうにみえるものもある。

・軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)
スキンダックより大きくなることがあり、1~5mm程度の大きさ。皮膚から少し飛び出している。

その他
・懸垂性線維腫(けんすいせいせんいしゅ)
軟性線維腫より大きく、垂れ下がっているもの。
・脂漏性角化症
ホクロのような見た目をしており、触るとザラザラしている。

首いぼの原因は、多くが皮膚の老化によるもの

これらの「アクロコルドン」「スキンダック」「軟性線維腫」といった首いぼの原因は、主に皮膚の老化や体質が原因と考えられています。衣類で覆われないことの多い首は、紫外線にあてられ、そのダメージを受けやすい部分です。また、衣類の襟やマフラー、アクセサリーなどによる刺激を受けることも多く、そういった摩擦や紫外線の影響が皮膚の老化をすすめる要因となります。多くの場合、30代頃からできはじめ、年齢と共に増えていくケースがみられますが、体質により20代からできる人もいます。

また、このいぼは皮膚が薄く柔らかいところにできやすいのが特徴で、首以外にも、脇の下や胸、わき腹、鼠径部などに多発することもあります。

このようにいぼは良性の皮膚腫瘍であり、放っておいても問題はありませんが、首は特に露出しやすいため、人目が気になる部分です。また、普段は痛みや痒みがなくとも、襟元やマフラー、アクセサリーなどが擦れると不快に感じることもあるでしょう。

首いぼの治療法

アクロコルドンやスキンダック、軟性線維腫は、良性の腫瘍であるため、放っておいても問題はありません。ただし、見た目や引っかかったりすることが気になる場合は、皮膚科などの医療機関で除去することも可能です。その治療法についてみていきましょう。

○ハサミで切る

最もシンプルな治療法は、医療用のハサミで切り取る、というもの。飛び出しているいぼの茎が1mm程度のものであれば、跡はほとんど残りません。ただし、茎のような部分がない平坦ないぼの除去には向かず、他の治療法を選択することになります。

○液体窒素を使う冷凍療法

超低温の液体窒素を使用する冷凍療法で、いぼを凍結させてかさぶたにするという方法です。1~2週間すると自然に剥がれていきます。治癒するまでには、1~2週間ほど間隔をあけ、何回か治療を繰り返す必要がありますが、多少の傷跡や色素沈着が起こる可能性はあります。「いぼの盛り上がりを小さくするための治療」と考えておくのが良いでしょう。

○炭酸ガスレーザー

さらに、局所麻酔を用いて、いぼを根元から切り取る「炭酸ガスレーザー」といったレーザー治療もあります。高いエネルギーを短時間でピンポイントにあてることができるため、治療時間が短く、皮膚組織の損傷も最小限に抑えられることが特徴です。

その他、軟性線維腫などサイズの大きいものは、局所麻酔をした上で、メスで切り取りキズを縫う手術が行われることもあります。

このような選択肢の中から、どの治療法を選ぶかは、首いぼの原因や種類、本人の希望、医療機関で採用している治療法、などによって異なってきます。診断によっては保険が適応となるケースもあるため、治療を検討する場合は費用も含めて医師に相談しましょう。

若々しい首元をキープするためには、日頃のケアを忘れずに

このように、首のいぼは病院の治療を受けることによって改善できるものです。ただし、手術などでいぼを除去したとしても再発する可能性はあり、また年齢と共に更に増えていくことも予想されます。若々しい首元をキープするためには、できる限り摩擦などの刺激を減らし、紫外線対策も忘れずに。また、単なるホクロや良性腫瘍だと思っていたものが、じつはウイルス性のいぼであったり、悪性の腫瘍であるケースもまれにあります。そのようなケースは自分で判断することは難しいため、首のいぼが気になる場合は、一度病院で相談してみましょう。

まとめ

  • いぼとは、皮膚の一部が盛り上がっている小さなできものを指す、一般的な呼び方
  • 首にできるいぼは、良性の皮膚腫瘍であることが多い
  • 首いぼには、アクロコルドン、スキンダック、軟性繊維腫と大別される種類がある
  • 首いぼの原因は、主に紫外線による皮膚の老化や体質
  • 良性の皮膚腫瘍である首いぼは放っておいて問題ないが、人目につくため気になりやすい
  • 首いぼは皮膚科などで治療を受け除去することができる
  • 治療には、ハサミによる切除や冷凍療法、レーザー治療、手術、といった種類がある
  • 治療の種類はいぼの種類や本人の希望、病院の採用する方法などを踏まえ検討される
  • 首いぼを予防するには、日頃のケアも重要
  • ウイルス性のいぼや悪性腫瘍の可能性もあるため、気になる場合は病院で相談を