頬の毛穴の開き、詰まり、黒ずみが目立つときの対処方法

執筆:南部 ようこ(助産師・看護師)

年齢を重ねていくとお肌の悩みがいろいろ出てきます。毛穴の開きや詰まり、お肌の黒ずみなどもその1つ。悩んでいる方は多いようです。
今回は、頬の毛穴の開きや詰まり、黒ずみについて対処法を含めて解説します。

毛穴の開きについて

毛穴が開いているとどうしても老けた印象になってしまいます。
毛穴の奥には必ず皮脂腺が付いていますが、毛穴の開きには、この皮脂腺が影響しています。
皮脂腺とは、皮脂を分泌する器官のことで、肌へ潤いを与える役割をしています。
顔は毛穴の数が多く皮脂腺も多いためトラブルが起きやすい状態です。
まずはどうして毛穴の開きがおきるのかを見ていきましょう。

毛穴の開きの原因

〇皮脂の過剰分泌

皮脂は思春期から分泌量が増え始めて、20歳代前半でピークに達しますが、年齢に関わらず、気温の上昇や食生活のバランスが崩れるなどの影響が、皮脂の過剰分泌の要因になります。
肌は乾燥するとバリア機能が低下するため、それを補うために皮脂を過剰に分泌することになります。皮脂を過剰に分泌するために、毛穴は大きく押し広げられてしまうのです。
また、最近では、マスクをすることで汗や皮脂の分泌量が増えるため、押し広げられた毛穴が目立ってしまう現象も起きています。

〇肌の乾燥

肌は乾燥すると、雑菌や紫外線から守るバリア機能が低下します。すると、バリア機能を整えるために、皮脂を過剰に分泌することになります。その結果、毛穴の開きに繋がります。
また、カサカサ肌の状態が続くと、毛穴はより目立つようになります。肌の乾燥は、様々なトラブルの原因になりますので注意が必要です。

○加齢によるたるみ

加齢によりコラーゲンなどが減少するため、ハリや弾力がなくなってきて肌がたるみます。すると丸い毛穴が引っ張られ、楕円形に伸びて開いてきて、しずく型になるために目立ってきます。
また肌の乾燥なども重なって起こることが多くなります。

○肌への刺激

クレンジングの時にゴシゴシ顔を洗うのは、デリケートな肌にダメージを与えるため、毛穴が開く原因になります。また洗顔の際にお湯で洗うと、乾燥にもつながります。

○生活習慣の乱れ

睡眠不足や食生活の偏りなどによって生活習慣が乱れると、毛穴が目立つ原因にもなります。

毛穴の詰まりの原因

毎日の洗顔やクレンジングで落とし切れていない化粧品や、皮脂が多くでるオイリー肌の人や皮脂の多く出る夏などには、古い角質と混ざり「角栓」となって毛穴に詰まります。また、肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が残ってしまい、毛穴の出口をふさいでしまいます。これは皮脂腺の多い鼻の周囲やTゾーンなどにできやすいものです。
さらに角栓が毛穴につまった状態が続いていると、黒ずみ毛穴として目立ってきます。
次から毛穴の詰まりの原因について見ていきましょう。

○肌への刺激や乾燥

肌は摩擦や強い刺激によってゴワゴワになり硬くなりますが、同時に毛穴も硬くなります。すると皮脂や古い角質も出るところを失ってしまい、毛穴につまることになります。
また水分を取り戻そうとして、皮脂を過剰に分泌することにもなり、毛穴の詰まりがおこります。

○加齢

肌のターンオーバーが乱れてくると、剥がれ落ちていく角質は残ってしまい肌が硬くなるため、毛穴を塞ぐことになります。

○生活習慣の乱れ

睡眠不足や食生活の乱れなどによって、皮脂が過剰に分泌されて、毛穴をふさぎます。

毛穴の開き、毛穴の詰まりの対処法

毛穴の開き、毛穴の詰まりは、お伝えしたようにどちらもその原因はほぼ同じものです。ですからその対処法も一緒にお伝えしていきましょう。

○汚れをクレンジングできれいに落とす

化粧品の皮脂の汚れをきれいに除去することが大切です。クレンジングで、汚れをしっかりと落とします。事前に蒸しタオルなどで肌を温めてからクレンジングするのも効果的です。ゴシゴシこすらないで、クレンジング後は、汚れを優しく皮膚を刺激しないようにぬるま湯で洗い流してください。

○泡洗顔をする

クレンジングの後は、洗顔です。洗顔料を手に取って泡立てるか、ネットでたっぷりの泡を手のひらに盛る位の量で、泡をクッションのようにして洗いましょう。洗顔料が肌に残らないようにしっかりと洗い流してください。
なお、洗顔は1日2回までをおすすめします。洗いすぎると必要な皮脂までも失われてしまうためです。タイミングとしては、夜のクレンジングの後と朝メイク前にするのがよいでしょう。

○スキンケアで肌をこすらない

クレンジングや洗顔、タオルで顔を拭くときも含めて、顔をゴシゴシこするはよくありません。シャワーを直接顔にかけるのも水圧がかかってしまいますので控えましょう。

○しっかり保湿する

洗顔後は、肌が乾燥しやすい状態なので、すぐに基礎化粧品で保湿しましょう。
まずは化粧水で肌を整えます。その後、乳液やクリームなどで油分を補いましょう。
コットンを使用しても構いませんが、コットンが刺激となる可能性もありますので、きれいな手のひらでなじませるのがよいでしょう。

○紫外線対策をきちんとする

屋外では直射日光だけでなく、直射日光が地面や壁に反射した反射光や大気の分子に当たって散乱する散乱光などがあります。
ですから、日傘や帽子だけでは防ぎきれません。UVカットの洋服や手袋、そして日焼け止めが有効です。
屋内でも、窓ガラス越しに紫外線は通ってしまうので、カーテンもUVカットのものを使用して、室内でも日焼け止めは塗りましょう。
塗り方は、日が当たりやすい頬やシミが気になるところなどは、多めに塗りましょう。
また耳や首の周りも忘れないように。

○睡眠を十分にとる

睡眠は、脳や身体の疲れを回復させる働きがありますが、肌も睡眠中に修復されます。
昼間に紫外線などによりダメージを受けた肌は寝ている間に修復しますが、それは成長ホルモンによるものです。
大人にも成長ホルモンはとても大事なもので、新陳代謝を促進させる働きがあります。成長ホルモンは、寝ている間に最も分泌されるため、肌の健康を保つためには睡眠がとても大切なのです。

○食生活を見直す

食事によってホルモンバランスを整えることができます。
脂っこいものや添加物の多く入っているものなるべく避け、肌の調子を整えましょう。以下の成分を含むものがおすすめです。

血行を良くするもの:
  • ビタミンE(煎茶・アーモンドなどナッツ類など)
  • 鉄分(ひじき・きくらげ・レバー・カツオ・うなぎなど)
抗酸化作用のあるもの:
  • ビタミンA(人参・トマト・ピーマンなど緑黄色野菜)
  • ビタミンC(レモン・赤ピーマン・キャベツ・キュウリなど)
  • リン酸(ブロッコリー・アボカド・レンコンなど)

肌の黒ずみについて

肌の黒ずみはメラニン色素がかかわっています。メラニンは、肌を守るために大事な物質ですが、過剰に分泌されると色素が沈着してしまい、黒ずみとなります。
メラニンは通常、肌のターンオーバーで周期的に排出されるものですが、このサイクルが乱れたりすると肌表面の角質が剥がれ落ちにくくなり、メラニンも排出されにくく、黒ずみとして定着してしまいます。

肌の黒ずみの種類と原因

黒ずみには種類があります。

○摩擦性黒皮症

化学繊維の服で擦れたり、ナイロンタオルで強く体を洗ったりしたり、マッサージ機器、合成繊維の下着などの強い刺激を受けると、メラニンが盛んに分泌されることになります。肌の摩擦により、皮膚に色素が沈着して黒っぽく変化し、蓄積されてしまいます。また黒ずみだけでなく、褐色や灰色のようなシミやくすみになる場合もあります。

○炎症性色素沈着

ムダ毛の処理に、毛抜きやカミソリなどを使用して自己流でムダ毛処理をおこなったり、ニキビなどの炎症を触ってしまったりすると起こる黒ずみです。また、肌に合わない化粧品や植物などによって炎症をおこした場合にも、色素が沈着して黒ずみとなることがあります。

○毛穴の黒ずみ

乾燥や睡眠不足などから皮脂の分泌が盛んになると、皮脂が毛穴につまってしまい酸化します。それが角栓となって毛穴に残って黒ずんで見えます。また汚れを洗い切れていない場合にも同じことが起こります。さらに、合わない化粧品の使用による皮膚炎、ニキビをいじりすぎるなどの刺激により炎症を起こした結果、メラニン色素が過剰に生み出され色素沈着となって黒ずみます。

黒ずみの部位別対処法

○目の周りの黒ずみ

目の周りは皮膚がとても薄く弱いため、とくに刺激に注意する必要があります。
クレンジングで強く擦ることはせず、マッサージなどにも十分気をつけて優しく行いましょう。
また、身体の冷えによる血行不良が原因とも考えられますので、ストレッチや運動をする、ぬるま湯にしっかりつかる、などの生活改善もしていきましょう。

○ワキ

摩擦によっておきた黒ずみは、皮膚のターンオーバーを整えることが重要ですが、特に大事なのが保湿です。
他にも美白クリームを使用したり、シミ抜きの光治療やレーザー治療なども効果がありますので、興味があれば皮膚科で相談してみましょう。

○ビキニラインやデリケートゾーンなど

摩擦を起こしてしまうナイロンタワシなどの使用はやめましょう。
かゆみがあれば皮膚科や婦人科を受診し、外用薬や内服薬を処方してもらいましょう。

きれいな肌を手に入れるには、毎日の正しいお手入れが重要です。そしてその正しいお手入れを習慣化していきましょう。また肌の状態は、年齢や季節によっても変わってきます。肌の悩みがなかなか改善しない場合には、一度美容皮膚科などで気軽に相談するのもよいでしょう。
自分に合ったものを見つけて、気持ちのよい毎日を過ごしていきたいですね。

まとめ

  • 毛穴の開きは、皮脂腺とかかわりがある。
  • 原因は、皮脂の過剰分泌、乾燥、加齢、肌への刺激、生活習慣の乱れ、などである。
  • 毛穴の詰まりは、古い角質などが角栓となって毛穴を塞ぐことである。
  • 対処法は、きちんとしたクレンジング・洗顔・保湿・紫外線対策などのスキンケアが重要である。
  • また睡眠や食生活も影響している。
  • 肌の黒ずみは、メラニンがかかわっている。
  • 黒ずみには、摩擦性黒皮症、炎症性色素沈着、毛穴の黒ずみなどがある。
  • 黒ずみの対処法は、部位によって違いがある。
  • 目の周りは、クレンジングを優しく行い、血行をよくして保湿する。
  • デリケートゾーンなどは、痒みがあれば、皮膚科や婦人科を受診して薬をもらうこと
  • 毛穴の開き、詰まり、黒ずみ、どれも日々の正しいスキンケアと深く関わっている。