医療コラム
美容皮膚科でできる角質ケアの方法って?顔や鼻、唇など部位別に解説。
肌のくすみやざらつきが気になっていませんか?古い角質が肌に溜まると、化粧ノリが悪くなったり、吹き出物などの肌トラブルが起こりやすくなったりします。そこで、美容皮膚科でできる角質ケアの方法についてお伝えします。
角質とは
はじめに、肌の基本的な構造について知っておきましょう。皮膚は一枚の皮のように見えますが、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」と呼ばれる3つの層からできています。このうち表皮は、外側から「角質層(かくしつそう)」「顆粒層(かりゅうそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層(きていそう)」に分けられ、一般的に「角質」と呼ばれるのは、最も外側の「角質層」にあたります。
「角質」は、身体にとって2つの重要な役割を担っています。まず1つ目は、ほこりや菌といった外部刺激が皮膚から内部に入ることを防ぐバリア機能。そして2つ目は、体内の水分が過剰に蒸発し、身体が乾燥するのを防ぐための保湿機能です。こうした機能を持つ角質層がなければ、身体は大きなダメージを受けてしまうでしょう。
角質層の厚さは平均0.02mmと非常に薄いものですが、部位によってその厚さは異なります。たとえば、頬は比較的薄いのですが、足の裏などはおよそ50層にもなると言われています。
ターンオーバーで入れ替わる角質
皮膚の細胞は新陳代謝によって、日々入れ替わっています。角質のもとになる細胞は、基底層にある基底細胞が細胞分裂することで生まれ、有棘層、顆粒層へと少しずつ押し上げられて、およそ2週間で角質層へ到達します。そして、角質細胞に変わり、およそ2週間かけて老廃物とともに皮膚の表面から剥がれ落ちていきます。
このように約4週間かけて肌が生まれ変わる、新陳代謝の仕組みは「ターンオーバー」と呼ばれます。ターンオーバーがスムーズに行われると、バリア機能や保湿機能が十分に発揮され、健やかな肌をキープすることができ、美肌の維持にもつながります。反対に、ターンオーバーが乱れると、皮膚のバリア機能が低下して刺激に対して肌が敏感になったり、乾燥が進んで様々な肌トラブルが起こりやすくなったりします。
ターンオーバーには生活習慣が大きく関わるため、そのサイクルを整えるにはバランスの良い食事や運動、十分な睡眠の確保などが欠かせません。また、紫外線対策やスキンケアの見直しなども必要です。こうした基本的な対策を行ったうえで角質ケアを取り入れると、古い角質が溜まることで起こっている肌トラブルが改善される可能性があります。
角質ケアとは
ターンオーバーのサイクルが乱れ古い角質が蓄積されると、肌のかさつきやごわつきが気になるようになります。また、皮脂と混ざりあうと角栓になるため、毛穴トラブルの原因になることもあります。そんな時、角質ケアを取り入れて古くなった角質を取り除くと、新陳代謝が促されるため、ターンオーバーの乱れを整えることができます。その結果、皮膚の再生が促され、ごわつきやくすみのない肌を手に入れることができるのです。
角質ケアには様々な種類がありますが、ホームケアとして一般的なのはスクラブや酵素入りの洗顔料を使ったり、拭き取り化粧水などを用いたりする方法です。こうした方法は、自宅でも手軽に角質ケアができるため魅力的ですが、使用方法を誤ると肌の負担となったり、乾燥がひどくなることもあるため要注意です。また、長年そのようなアイテムを使っていても、効果を感じられない場合もあります。
そんな時におすすめしたいのが、美容皮膚科での角質ケアです。美容皮膚科では、医療機関でしか取り扱えない効果の高い薬剤や治療機器を用いた角質ケアを選ぶことができ、万が一肌トラブルが生じた際も、適切な治療が受けられます。そこで、美容皮膚科の角質ケアについて、部位別にみていきましょう。
美容皮膚科での角質ケア:顔全体
頬やおでこ、口周りといった顔の角質ケアをしたい場合、まず受けやすい施術は「ケミカルピーリング」です。サリチル酸などの薬品を塗布し、皮膚をやわらかくして角質層を剥離・除去する方法で、ターンオーバーを正常にし、皮膚の再生を促すことができます。使用される薬剤は、角質層に有用成分がとどまり血中にはほとんど吸収されないため、施術中の刺激や施術後の赤み、色素沈着といった副作用が出にくく、安心して受けられます。治療効果が高いため、1ヶ月に1回程度の間隔で繰り返し受けると、肌のなめらかさや透明感がよりアップするでしょう。
美容皮膚科での角質ケア:鼻
鼻は特に、毛穴の悩みが多い部位です。古い角質が残っていると、毛穴に皮脂が詰まりブツブツができたり、皮脂が酸化すると黒い点々がみられるようになります。そのような詰まり毛穴の対策としては、角質層のケアが重要なため、顔全体と同じくケミカルピーリングが効果的です。
毛穴汚れを落とすディープエレクトロクレンジングやスキンスクライバーなどを併用するのもおすすめです。角質や汚れをしっかり取り除くことで、化粧水などに含まれる美容有用成分も浸透しやすくなるでしょう。
美容皮膚科での角質ケア:唇
唇は肌の一部のように思えますが、その構造は大きく異なります。唇の角質層は非常に薄く、皮脂膜でコーティングされていません。そのため、水分が失われやすく、とても乾燥しやすい部分です。唇の乾燥がすすむと、カサカサしたり、古い角質がめくれてきたりしますが、無理に皮をむくのは厳禁。リップクリームやワセリンなどをたっぷりと塗り、保湿ケアを徹底しましょう。それでも唇のかさつきが気になったり、痒みなどを伴う場合は、弱いステロイドホルモンや保湿剤を処方してもらうと、症状が改善するケースもあります。唇の荒れは悪化しやすいため、早めに皮膚科で相談しましょう。
自分に合う角質ケアで美肌づくりを
お伝えしてきたように、正しい角質ケアを行うとターンオーバーがスムーズになるため、皮膚のバリア機能や保湿機能が高まり、健やかな肌をキープできる上、毛穴やくすみ、小じわといった様々な肌トラブルの改善も期待できます。なんとなく肌の調子が悪い時や、自宅で行う角質ケアでは効果が感じられない時は、一度美容皮膚科に相談してみると良いでしょう。自分に合う角質ケアを継続することが、美肌づくりの近道です。
まとめ
- 皮膚は3層構造になっており、一番外側の表皮の最も外側に「角質層」がある
- 角質は、身体にとって重要なバリア機能と保湿機能を担っている
- 皮膚の細胞が新陳代謝によって入れ替わる仕組みを「ターンオーバー」と呼ぶ
- ターンオーバーが乱れると、皮膚のバリア機能が低下し、肌トラブルが起こりやすくなる
- ターンオーバーを整えるには生活習慣の改善やスキンケアの見直しも必要
- 古い角質を取り除く角質ケアを行うと、皮膚の再生が促され、肌トラブルの改善が期待できる
- 美容皮膚科の角質ケアとしては、ケミカルピーリングが効果的
- 毛穴汚れを落とす施術なども併用すると、より美容有用成分が浸透しやすい肌になる
- 角質層が薄く皮脂膜のない唇は、特に乾燥しやすいため注意が必要