ニキビの芯の正体とは?「硬い?」「くさい?」「なぜ黒くなる?」などよくある質問にお答えします。

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

ニキビが気になる時、中心の白っぽい芯をつい押し出してしまったことはありませんか。このニキビの芯は、何からできているのでしょうか。ニキビの芯の正体や、よくある質問について解説します。

ニキビとは

そもそもニキビは、誰にでもできやすい皮膚のトラブルの一種で、おでこや頬、口の周り、下あごなどにできる発疹を指します。主に思春期から青年期にかけての若い世代に多いものですが、大人でも発症することがあります。大人のニキビは「吹き出物」などと呼ばれることもありますが、どちらも同じもので、医学的には「ざ瘡(ざそう)」と呼ばれます。
ニキビができる要因としてまずあげられるのは、毛穴の閉塞。肌の生まれ変わりであるターンオーバーのサイクルが乱れると、毛穴の角質が厚くなるため、毛穴の出口が塞がりやすくなります。加えて、皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まり、そこでアクネ菌が増殖すると炎症が起こって赤い発疹が見られるようになります。このようにして発症するニキビは、ライフスタイルやホルモンバランスの乱れなども関わっており、大人になってから悩む人もたくさんいます。

ニキビの芯の正体

ニキビの芯の正体は主に、毛穴の中に溜まった皮脂や角質が集まったものです。ただし、芯の状態はニキビの進行度合いによっても異なります。
「白ニキビ」とも呼ばれる初期段階のニキビは、単に毛穴に皮脂が詰まって古くなっている状態で、表面が薄い皮膜で覆われているため、発疹は白っぽく見えます。この状態のニキビの芯は皮脂や角質の塊ですが、白ニキビは進行すると空気に触れた部分が酸化して黒っぽく変色し「黒ニキビ」となります。
更に、毛穴に詰まった皮脂に雑菌や細菌が繁殖して悪化すると、炎症が起こり、赤く腫れるようになります。そして、このような「赤ニキビ」に膿が溜まると「黄ニキビ」と呼ばれる状態になってしまうことがあります。
ニキビの芯に医学的な定義はありませんが黄ニキビまで進行した状態の芯には、皮脂や角質に加えて膿も含まれていると言えるでしょう。

ニキビの芯に関するよくある疑問

ニキビについての質問として多いものを3つピックアップしてお応えします。

Q1.ニキビの芯は硬い?

A.結論からお伝えすると、基本的には皮脂や角質でできているニキビの芯そのものが硬くなることは、殆どありません。ただし、ニキビが重症化すると、炎症を繰り返した部分が繊維化し、一時的に硬く盛り上がったようになることがあります。「しこりニキビ」とも呼ばれる状態で、ニキビの中の芯が硬くなっているわけではないのですが、指で無理に押し出そうとすると更に硬くなり悪化してしまいます。

Q2.ニキビの芯はくさい?

A.ニキビの芯そのものがにおいを発することはあまり考えられません。ニキビの芯のようなものが臭う場合は、「粉瘤(ふんりゅう)」など他の皮膚疾患である可能性も考え、早めに皮膚科を受診しましょう。
粉瘤は、角質や皮脂、老廃物などが皮膚の下に溜まってできる良性の腫瘍で、ニキビと混同されやすい皮膚疾患です。良性ですが、放っておくとどんどん大きくなったり、炎症を起こすこともあります。また、粉瘤を強く押すと、においの強い膿のようなドロドロとしたものが出てくる場合があり、適切な治療が必要です。

Q3.ニキビの芯はどうして黒くなる?

A.お伝えしたように、白ニキビが進行すると黒ニキビへと変化することがあります。空気に触れた部分が酸化して黒っぽく変色するため、ニキビの芯も黒くなります。

ニキビの適切な対処法

ニキビの芯が気になると、つい自分の指で潰したり、押し出したりしたくなりますが、おすすめできる方法ではありません。巷ではセルフケアでニキビの芯を取る方法なども紹介されており、白ニキビや黒ニキビの段階ならば問題ないと考える人も少なくありませんが、多くの場合、肌にダメージを与えてしまいます。また、手に付着している雑菌などが入り込み、炎症を起こすきっかけになることも少なくありません。ニキビは悪化するほど痕が消えづらくなり、肌にクレーターのような凹みが残ることもあります。「ニキビの芯は自分で押し出しても大丈夫か」と言う質問はよくありますが、基本的に控えたほうが良いでしょう。
ニキビができてしまった場合は、まず洗顔やスキンケアを丁寧に行い、肌を清潔に保つことが第一です。また、薬局などではニキビ治療薬を購入することもできるため、正しい使用方法を守ってそれらを取り入れることも有効です。
ただし、ニキビのトラブルに繰り返し悩まされている場合は、セルフケア方法が誤っている可能性や、ニキビと思っているものが別の皮膚疾患である可能性も考えられます。ニキビをできるだけ早く、キレイに治したいと考えるならば、皮膚科の受診が必要です。皮膚科を受診すると、診断に基づき、効果的な治療を受けることができます。加えて、ケミカルピーリングやイオン導入、レーザー治療と言った様々な美容治療の中から、肌の状態を改善するために適切な施術をプラスすることができます。ニキビについて気になることがある場合や、美容治療に興味がある場合は皮膚科で相談してみましょう。

まとめ

  • ニキビは皮膚のトラブルの一種で、おでこや頬、口の周り、下あごなどにできる発疹を指す
  • 吹き出物とニキビは同じもので、医学的には「ざ瘡」と呼ぶ
  • ニキビができる要因には、毛穴の閉塞や皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖が関わっている
  • ニキビの芯の正体は主に、毛穴の中に溜まった皮脂や角質が集まったものである
  • 初期段階のニキビの芯は皮脂や角質の塊で白っぽいが、空気に触れると酸化して黒くなる
  • ニキビが悪化して炎症を起こしているものは、芯に膿が含まれる場合もある
  • ニキビの芯が硬くなることは基本的にないが、ニキビが悪化するとしこりになることがある
  • ニキビの芯のようなものが臭い場合は、粉瘤と呼ばれる皮膚疾患の可能性もある
  • ニキビの対処法として、自分で潰して芯を押し出す方法は適切ではない
  • ニキビに悩んでいる場合は、早めに皮膚科を受診し適切な治療を受けることが重要