マリオネットラインとは?原因と美容皮膚科での治療方法を詳しく解説。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

口角から顎に向かって下に伸びる「マリオネットライン」。年齢とともに深くなるマリオネットラインに、悩まされている人は少なくありません。そこで、マリオネットラインができる原因や美容皮膚科で受けられる治療方法などを詳しく解説します。

マリオネットラインとは

マリオネットラインとは、口の両端から顎に向かって現れるしわのことです。見た目がマリオネット(操り人形)の口元に似ていることから、「マリオネットライン」と呼ばれています。
マリオネットラインは加齢に伴って現れることが多く、時に老けた印象を与えたり不機嫌に見えたりします。50代になるとほとんどの人に見られますが、個人差があり40代から現れる人もいます。

マリオネットラインができる原因

マリオネットラインは、加齢などによって頬の皮膚や脂肪が重力で下がり、たるんでしまうことで生じます。具体的には、次のことが影響します。

〇加齢などによる皮膚や脂肪、筋肉などの変化

皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という順番で層を成しています。皮下組織は主に脂肪で、その下にある筋膜や筋肉、骨によって支えられています。ところが、年齢を重ねると骨は萎縮し、筋肉などは衰え、脂肪や皮膚を支える力が低下します。その結果、頬などがたるんでしまうと、マリオネットラインが目立つようになります。また、加齢だけでなく、口元や頬の皮下脂肪が多い場合や、急激な体重の増減によって皮膚が伸びている場合など、他の要因が重なるとたるみやマリオネットラインがより目立ってしまいます。

〇皮膚のハリと弾力の低下

皮膚のハリと弾力を維持するうえで欠かせないコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は、加齢によって減少したり質が変化したりします。その結果、皮膚にハリや弾力がなくなると、肌がしぼんでマリオネットラインが目立つ原因になります。

〇口角下制筋の変化

口角下制筋は、マリオネットラインと関係が深い表情筋です。口角下制筋には口角を下げる働きがあるため、過剰に発達したり加齢によって縮んで硬くなったりすると、口角が下がってマリオネットラインができやすくなります。

マリオネットラインを自分で改善することは難しい

マリオネットラインは、加齢による皮膚や脂肪、筋肉の変化などによって起こります。自然な老化現象であるため、完全に予防することは難しいのですが、肌のハリや弾力は、紫外線や乾燥などにも影響を受けるため、スキンケアを見直すことは予防において重要です。特に紫外線は、コラーゲンやエラスチンにダメージを与えます。日焼け止めクリームを塗る、日傘や帽子を活用するなど、普段から紫外線対策を徹底しましょう。また、乾燥を防ぐために保湿ケアをしっかり行い、肌のバリア機能を低下させないようにすることも大切なポイントです。
ただし、すでにできているマリオネットラインに対しては、こうしたケアだけでは歯が立ちません。年齢とともに深くなっていくマリオネットラインを目立たなくしたい場合は、医療の力が必要と言えるでしょう。

美容皮膚科で受けられるマリオネットラインの治療法

美容皮膚科で受けられる治療法についてご紹介します。

〇ヒアルロン酸注射

しわの目立つ部分にヒアルロン酸を注入し、しわを盛り上げることでマリオネットラインを改善する治療法です。ヒアルロン酸はもともと皮膚や関節、眼球に存在する成分のため安全性が高く、1グラムで6リットルの水分を保持できるほどの保水力があります。
また、ヒアルロン酸注射は、注入部位や注入量を細かく調節できる、アレルギー反応が起こりにくい、肌への負担が少なくダウンタイムが短い、施術当日から効果を実感しやすい、などのメリットもあります。ただし、注入したヒアルロン酸は9~12ヶ月ほどで体内に吸収されます。ヒアルロン酸製剤の種類や施術部位、注入量などによっても持続期間は異なりますが、効果を長期間キープさせるためには、定期的な施術が必要です。

〇ボツリヌス注射

「A型ボツリヌストキシン製剤」を口角下制筋に注射します。ボツリヌストキシンには筋肉の動きを抑える働きがあります。そのため、注射によって口角下制筋の動きが緩むと、口角が下がりにくくなり、マリオネットラインが目立ちにくくなります。個人差はありますが、施術から数日で変化を実感できるようになり、3~6ヶ月ほど効果が持続します。
注射後は、注射痕や赤み、軽い内出血が出ることがありますが、2週間ほどで消えていきます。一時的に口元を動かしにくく感じることがありますが、時間の経過とともに徐々に元に戻っていきます。

〇HIFU(ハイフ)

高密度の超音波を肌に照射し、熱エネルギーによって脂肪と筋肉の間にあるSMAS層(筋膜)にアプローチする治療法です。メスを使わずにリフトアップやたるみの改善ができる方法として、昨今、人気を集めています。
肌の土台であるSMAS層にピンポイントで熱エネルギーを集めるため、効果的に皮膚を引き締めることができ、たるみやマリオネットラインが目立ちにくくなります。また、コラーゲンやエラスチン酸の生成が促されるため、皮膚のハリと弾力がアップする効果も期待できます。施術後は、腫れや赤み、むくみなどが出ることがありますが、メスを使用した外科的な治療と比べるとダウンタイムは短く済みます。たるみの改善効果は直後から、ハリ感は施術後2~3週間ほどで実感でき、機械の種類にもよりますが3~6ヶ月ほど効果が持続します。

マリオネットラインに悩んでいるなら美容皮膚科で相談を

年齢とともに深くなるマリオネットラインを自分で改善するのは難しいため、悩んでいる人はクリニックでの治療がおすすめです。たるみやマリオネットラインの治療と言うと、メスを使った大がかりな施術しかない、と思われがちですが、美容皮膚科などには切らない施術法もたくさんあります。複数の治療法があるため、カウンセリングや診察を受けて、自分に合う方法を相談してみましょう。治療内容や特徴、効果の持続期間やダウンタイム、費用など、気になる点がある場合は質問するようにしてください。また、肌の状態や健康状態によって治療を受けられない場合があるため、既往歴や現病歴、アレルギーの有無などを正確に伝えることも大切です。

まとめ

  • マリオネットラインとは口の両端から顎に向かって現れるしわのことで、加齢とともに目立ってくることが多い
  • マリオネットラインができる原因には、加齢による骨や筋肉などの変化、肌のハリと弾力の低下などがある
  • マリオネットラインは自分で改善するのが困難なため、美容皮膚科で治療を受けるのがおすすめ
  • 美容皮膚科では、ヒアルロン酸注射、ボトックス注射、HIFUなどの治療を行っている
  • 自分に合った治療法を選ぶにはカウンセリングをしっかりと受け、既往歴などの情報を正確に伝えることが大切