ウイルス性いぼに向き合う 液体窒素・ブレオマイシン注射・レーザー治療の考え方。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

ウイルス性いぼの治療を受けているけれどなかなか治らない、再発してしまった、という人は多いかもしれません。皮膚科で行われるウイルス性いぼの治療法は、保険が適用される「液体窒素療法」が最も一般的ですが、なかなか治らないような場合には別の治療法も選択肢になります。そこでこの記事では、液体窒素療法について、また難治性のいぼに有効な「ブレオマイシン注射」や「レーザー治療」について解説します。治りにくいいぼに悩んでいる人は、参考にしてみてください。

ウイルス性いぼとは?治療は必要?

ウイルス性いぼとは、その名前の通り、ウイルスに接触することで発生するいぼのことです。小さな傷やすり傷などからウイルスが侵入し、表皮(皮膚の最も外側の層)の基底細胞に感染・増殖すると、できものができます。
原因となるウイルスは複数の種類があり、それによっていぼの形や現れ方が異なります。もっとも代表的なものは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」で、表面がザラザラしてやや盛り上がったいぼが、手足の指や足の裏、肘、膝などに現れます。
その他、顔や手の甲などに現れる「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」もヒトパピローマウイルスの一種が原因のいぼで、特に若年層や女性に多く見られる傾向があります。
このようなウイルス性いぼは痛みや痒みがないことも多く、「放っておけばそのうち消えるかも」と様子を見てしまう人が少なくありません。実際、自然に治ってしまうこともありますが、様子を見ているうちにどんどん数が増え、治癒までに数ヶ月〜数年かかるケースもあります。また、他の部位に拡がったり家族にうつしてしまったりすることもあるため、できるだけ早い段階で皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが肝心です。

皮膚科での治療法は複数あり、いぼの大きさや深さ、できた場所、患者さんの年齢や痛みへの強さなどに合わせて選びます。ここからは、代表的な治療法である「液体窒素療法」と、難治性のいぼに有効な「ブレオマイシン注射」「レーザー治療」の特徴やメリット・デメリットなどについて、詳しく見ていきましょう。

ウイルス性いぼの治療法(1)液体窒素療法

「液体窒素療法」は、専用の綿棒やスプレーを用いて患部に約マイナス200度の液体窒素を当てる治療法です。感染した皮膚細胞を液体窒素で壊死させるとともに、新しい皮膚が再生される過程で免疫反応が活性化し、ウイルスにダメージを与えることができます。これを繰り返し行うことで、最終的にウイルスが排除され、健康な状態を取り戻すことができます。液体窒素療法は、ウイルス性いぼと診断された場合に最初に行われる治療法であり、健康保険が適用されるため、最も広く行われています。
この治療法のメリットとデメリットを解説します。

○メリット

  • 保険適用になるため1回あたりの治療費は1,000円程度(3割負担の場合)
  • 子どもの治療も可能
  • 副作用が少ない

○デメリット

  • 治りにくく、何度も通院が必要になることがある
  • 再発のリスクがある
  • 治療中に痛みやヒリヒリ感を伴うことがある(綿棒よりもスプレーのほうが痛みが抑えられる)
  • 治療を繰り返すことで色素沈着が起こることがある
  • 保険適用のため、ひと月の治療回数が決まっている

特に尋常性疣贅の場合は治りにくく、1回あたりの治癒率は約10%と言われています。1回の治療では治らないため、1〜2週間おきに1回のペースで、数回〜十数回の通院が必要です。人によっては1年以上、治療を続けても治らないこともあり、また再発のリスクもあります。

〇この治療法が向いている人

  • まずは標準的な治療から始めたい人
  • 保険診療を希望する人
  • 通院の手間が苦にならない人

ウイルス性いぼと診断された場合に最初に行われる治療法ではありますが、効果が得られない、治療が長引いている、再発を繰り返すような場合は、治療法の変更も含め、検討したほうが良いでしょう。

ウイルス性イボの治療法(2)ブレオマイシン注射

抗がん剤の一種である「ブレオマイシン」をいぼに注射する治療法です。ウイルスの増殖を抑え、いぼを縮小させます。抗がん剤と聞くと副作用を気にする人がいますが、この治療で使用する薬剤の量はとても少なく、心配はいりません。液体窒素療法に比べて治癒率が高く、月に1回のペースで数回ブレオマイシン注射を打った後、残った部分を液体窒素で治療する場合もあります。治療後は患部に血豆ができたり、皮膚が壊死して黒くなることがありますが、一時的なものです。
この治療のメリットとデメリットを説明します。

〇メリット

  • 1回あたりの治癒率が約40%と高い
  • 自費診療のため、液体窒素のような回数の制限がなく、1回でたくさんのいぼを治療することが可能

〇デメリット

  • 注射による局所麻酔を使用し、その際に痛みがある
  • 保険適用外のため、液体窒素療法に比べると1回あたりの治療費はやや高い
  • 施術後の痛みが数日から1週間程度は続く

〇この治療法が向いている人

  • 手などに細かいいぼが多数できているような人
  • いぼが増えたり大きくなったりしている人
  • 液体窒素では良くならなかった人

痛みが強い点がデメリットですが、効果の高い治療法です。

ウイルス性イボの治療法(3)レーザー治療

炭酸ガスレーザーを用いていぼの組織を焼灼し、物理的に除去する治療法です。局所麻酔を行った上で、レーザーでいぼを蒸散させます。治療後は軟膏を塗り、ガーゼで保護します。治癒率が1回で約70%と高いのが特徴で、再発を繰り返すいぼや深く根を張ったいぼ、液体窒素療法で改善しないいぼにも有効です。注意点として、術後の再受診や処置が必要です。レーザー治療を受けた翌日には、再度診察を受け、止血の確認と処置を行います。その後も数日間は自宅での処置(軟膏の塗布とガーゼ交換)が必要となります。
この治療のメリットとデメリットは以下です。

〇メリット

  • 治癒率が高いため、治療期間を短縮化できる
  • 他の治療法で治らなかったいぼにも効果が期待できる
  • 保険適用で1回につき5,000~10,000円程度(3割負担の場合)

〇デメリット

  • 術後の通院と処置が必要
  • 注射による局所麻酔を使用し、その際に痛みがある
  • 術後に色素沈着や瘢痕(はんこん)が残ることもある
  • 治療できるのが月に1個までという制限がある
  • 治癒率は高いが、ウイルスが残っていれば再発の可能性もゼロではない

〇この治療法が向いている人

  • これまでの治療で効果が見られなかった人
  • 再発を繰り返す頑固ないぼに悩んでいる人
  • できるだけ早く治したい人
  • 術後のケアを続けられる人

ウイルス性いぼがなかなか治らないときは、治療法の見直しを

長期間通院しても改善しない、いぼの数が増えてきた、再発を繰り返しているといった場合は、現在の治療方針が合っていない可能性も考えられます。そうした時には、別の治療法への切り替えや他の医師の意見(セカンドオピニオン)を求めることも考えてみましょう。新たな治療の選択肢が見えてくるかもしれません。
いぼの治療に悩んでいる人は、視野を広げて、自分に合ったより良い治療方法を探してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • ウイルス性いぼはヒトパピローマウイルス(HPV)による感染で発生し、放置すると数が増えたり他人にうつる可能性があるため、早期治療が望ましい
  • 液体窒素療法は保険適用で広く行われる基本治療であるが、治癒率は1回約10%と低く、通院回数も多くなる傾向がある
  • ブレオマイシン注射は自費診療だが、治癒率が約40%と高く、多数のいぼや液体窒素で効果が見られなかったケースに適している
  • レーザー治療は1回での治癒率が約70%と高く、再発や難治性のいぼに効果的だが、術後のケアが必要となる
  • 治療が長引く場合や再発を繰り返す場合は、他の治療法への切り替えやセカンドオピニオンの検討がおすすめ