もう「クレーター肌」で悩まない。専門家が提案するニキビ痕治療の選択肢とケア。

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

その見た目から「クレーター肌」とも呼ばれる、でこぼことしたニキビ痕。セルフケアでは改善しにくい肌トラブルの代表格とも言え、コンプレックスに感じている人も多いでしょう。「この肌はもう変わらない」と諦めている人もいるかもしれませんが、美容医療の力でその状態が改善することがあります。
この記事では、クレーター肌ができる仕組みと、美容皮膚科で受けられるニキビ痕の治療法について解説します。前向きな一歩を踏み出せるヒントになれば幸いです。

クレーター肌とは?セルフケアで治りにくい理由について

いわゆる「クレーター肌」とは、ニキビによる炎症が皮膚の奥にある真皮層にまで及び、皮膚が陥没したまま固定されてしまったニキビ痕が残る肌のことです。本来、肌は傷ついても修復力が働くため、ニキビができても時間が経てば元の状態に戻ります。しかし、ニキビによる炎症が強かったり、同じ場所が何度もダメージを受け続けていたりすると、真皮層にあるコラーゲンなどが損傷し、傷ついた部分がへこんだまま元に戻らなくなってしまうことがあります。そうすると、肌がでこぼことして、一般的に「クレーター肌」と呼ばれる状態になります。
赤みや色素沈着のように皮膚の表面(表皮)の変化で生じるニキビ痕とは異なり、クレーター肌は皮膚内部の構造が変化することで生じています。そのため、セルフケアによる改善はとても難しくなります。

クレーター肌には3つのタイプがある

クレーター肌は、ダメージの深さやでき方によって、大きく次の3つのタイプに分けられます。

① アイスピック型

アイスピックで突いたように細く深いへこみができるタイプです。開き毛穴のようにも見えますが、実際は真皮層の深部まで影響しているケースが多く、治療の難易度は高いとされています。

② ローリング型

皮膚がなだらかにくぼみ、お椀のようなへこみができるタイプです。ニキビの炎症によって、皮膚の線維組織(真皮層にある結合組織)が硬くなり、表面を下方向へ引っ張ることでできます。表面からは浅く見えても、内部構造の変化が大きいことがあります。

③ ボックスカー型

すとんと落ち込んだように垂直にへこんでいるタイプです。へこみの底辺が四角になっていることから、ボックスカー型と呼ばれています。ニキビによる炎症が長引いたり、修復の途中で新たなニキビができたりすることによって、境界がはっきりとしたへこみが作られます。へこみの深さは浅いものからやや深いものまで幅があります。光が当たると影が強調されるため、写真などで目立ちやすいタイプです。

クレーター肌の治療では、へこみの深さと形状に合ったアプローチを選ぶことがとても重要です。クレーター肌の人の場合、複数のタイプのニキビ痕が同時に存在するケースが大半のため、治療法も1種類ではなく、複数を組み合わせて行うことがあります。

クレーター肌の治療法

クレーター肌は、ニキビの炎症によって真皮層が傷つき、組織が失われたことで生じるへこみです。そのため、スキンケアでは改善が難しく、真皮層の再生を促す医療的なアプローチが必要になります。ここでは、クレーター肌の改善に有効な治療法をご紹介します。

○CO2フラクショナルレーザー

レーザーを点状に照射する施術です。レーザーが照射されると、コラーゲンの生成と皮膚の再生が促され、回数を重ねるうちにニキビ痕のへこみが目立ちにくくなっていきます。点状に照射することにより、熱によるダメージを抑えることができる点が大きな特徴です。施術後は赤みが数日続いた後、うすいかさぶたが作られます。かさぶたは7~10日ほどで自然に剥がれ落ちます。

○ダーマペン4

16本の極細針のついたペン型の装置で皮膚に微細な穴を開け、肌の再生を促す治療法です。クレーター治療の主要な施術のひとつで、浅め〜中程度のクレーターを滑らかにする効果が期待できます。肌質や施術条件によっても異なりますが、CO2フラクショナルレーザーに比べるとダウンタイムが短く、色素沈着などのリスクも低い傾向があります。

○サブシジョン

へこみを生じさせている線維組織を専用の針を用いて切り離す治療法です。ローリング型のように、内部で皮膚が下方向に引っ張られているタイプのクレーターに特に有効です。癒着していた線維組織が解放されることで、へこんでいた部分が持ち上がり、その後の治癒過程でコラーゲンが再構築されるため、肌表面が滑らかになります。ニキビ痕を目立ちにくくするために、サブシジョンの後にヒアルロン酸を注入することもあります。
また、深さや形状によっては、CO2フラクショナルレーザーやダーマペン4などの治療と組み合わせて行います。

○その他

肌の再生力をより高めるために、上記の治療法と次のような治療法を組み合わせて行うことがあります。

  • ピーリング治療:ピーリング治療の中には、肌の再生力をサポートするものがあります。たとえばコラーゲンピールは、真皮に働きかけて肌のハリを高めるピーリング治療です。ニキビ痕の浅いへこみや、肌全体のツヤや弾力を底上げしたい場合に適しています。
  • リジュラン注射: PN(ポリヌクレオチド)によって肌の修復力を高める治療です。直接的にへこみを持ち上げる治療ではありませんが、コラーゲンなどの生成を促す作用があります。また、リジュランシリーズの中でも「リジュランs」は、ニキビ痕のへこみ改善に適した製剤です。

クレーター肌の治療を受ける際のポイントとケアの注意点

最後に、クレーター肌の治療を受ける前に知っておきたいポイントやケアの注意点を紹介します。

○治療効果を実感するまでに時間がかかる

クレーター肌は真皮層の損傷が原因のため、肌が新しいコラーゲンを作るまでに一定の時間がかかります。肌の状態やへこみの深さによって必要な治療法や治療回数は異なりますが、継続こそが改善への鍵となります。どの治療法を選択したとしても一度の治療で劇的に肌が変化することは難しいため、根気よく継続していきましょう。

○複数の治療を組み合わせることもある

クレーター肌は、タイプの異なるニキビ痕が混在していることが少なくありません。そのため、1つの治療だけで全てのへこみに対応することは難しく、症状に合わせて治療を組み合わせることが一般的です。医師は、それぞれの治療の特性を生かしながらプランを立てていきます。複数の治療法を提案されて戸惑うことがあるかもしれませんが、不明点は医師に遠慮せずに質問し、納得した上で治療を進めることが重要です。

○治療中や治療後はスキンケアと生活習慣に注意を

CO2フラクショナルレーザーやダーマペンなどは、施術後に赤みやほてり、乾燥が生じることがあります。皮剥けが起きたり、薄いかさぶたができる場合もありますが、これは肌が新しく再生している過程の一部です。治療後は、擦らない・触りすぎない・刺激を避けるといった、肌を守るスキンケアがとても重要です。
特に保湿は回復を助ける大切なポイントで、肌のバリア機能を整える役割があります。また、紫外線は治療効果を損なう大きな要因です。日焼け止めの使用や日傘・帽子の併用など、治療期間中はいつも以上に紫外線対策に気を配りましょう。

新しいニキビを作らないことも大切なポイント

治療でへこみが改善されても新しいニキビができると、再びクレーター肌が悪化する原因になります。そのため、治療と並行してニキビを予防する生活習慣やスキンケアを続けることが欠かせません。洗顔・保湿などの基本的なケアを丁寧に行い、皮脂が過剰に分泌されないように気をつけましょう。また、ニキビができてしまった時は、炎症が悪化する前に皮膚科で治療を受けると安心です。

セルフケアで治すことが難しいクレーター肌でも、適切な治療を受けることで改善することがあります。一度の治療で劇的に良くなるわけではありませんが、地道に継続していくことで変化を実感することができるでしょう。「クレーター肌はもう治らない」と諦めている人は、皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • クレーター肌は、ニキビの炎症が真皮層にまで及び組織が損傷することで起こるため、セルフケアだけでの改善は難しい
  • クレーター肌は、アイスピック型・ローリング型・ボックスカー型など複数のタイプのへこみが混在していることが多く、状態に合った治療が必要
  • 主な治療法は、CO2フラクショナルレーザー、ダーマペン4、サブシジョンなどで、コラーゲンピールやリジュラン注射などを組み合わせて行われることがある
  • 治療効果を高めるためには、紫外線対策や保湿ケアの徹底、ニキビを新たに作らない生活習慣が欠かせない