化粧下地の前と後どっちに使う?日焼け止めの正しい塗り方・順番を解説

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

紫外線対策として多くの人が使っている日焼け止め。けれども、正しい塗り方ができている人は意外に少ないかもしれません。日焼け止めを毎日使っていても、誤った使い方をしていると充分な効果を得られず、シミやしわの原因になってしまうこともあります。ここでは、日焼け止めの塗り方について解説いたします。

日焼け止め:知っておきたい基礎知識

正しい塗り方をご紹介する前に、日焼け止めの基本情報として、次の2点を確認しておきましょう。

〇PAとSPF

日焼け止めを購入する際、多くの人がチェックするPA とSPFの表示。その正しい意味をご存知でしょうか。この2つは、どちらも紫外線(UV-A、UV-B)を防ぐ効果を示しています。このうちPAは、UV-Aに対する効果を「+(プラス)」の数で表していて、「+」~「++++」の4段階があります。一方、UV-Bに対する効果を表しているのがSPFです。紫外線対策をしない状態で、赤く日焼けするまでにかかる時間を20分間とし、これをどのくらい延ばせるかを数字で表しています。たとえば、SPFの最大値である「SPF50」の製品は、1000分間(50×20分)、UV-Bの防御効果が持続します。ちなみに、最近では50以上のものが登場していますが、これらはすべて「50+」と表記されています。
このように、SPFとPAにはそれぞれ異なる意味があります。近所を散歩する場合と、1日中アウトドアを楽しむ場合とでは紫外線から受ける影響が違うため、外出時間や外出先など、自分の行動スタイルにあった日焼け止めを選ぶことが大切です。

〇成分

紫外線による影響を防ぐ主要な成分は、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つです。紫外線吸収剤は、その名のとおり紫外線を吸収することで、肌に紫外線が到達することを防ぐものです。白くなりにくい、紫外線を遮断する力が強いというメリットがあるものの、かぶれなどが起こることがあります。一方、紫外線散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの物質のことで、肌の表面で紫外線を散乱、反射させ、紫外線から肌を守ります。紫外線散乱剤は、紫外線散乱剤に比べてかぶれなどの心配が少ないため、肌が弱い人は紫外線吸収剤が入っていないものを選ぶほうが安心です。

日焼け止めの塗り方 (1)量

日本皮膚科学会によると、SPFやPAは、1㎠あたりに2㎎の日焼け止めを塗った状態で調べられています。ですから、記載されているPAやSPFの効果(持続時間)を得るためには、この量をしっかり塗る必要があります。1㎠あたり2㎎を塗るとすると、顔の場合には、パール2粒分(約0.8g)の日焼け止めが必要です。けれども過去の調査では、必要量の3分の2程度(1㎠あたり1.3㎎)しか使用していない人が多い、という結果が報告されています。毎日、日焼け止めを塗っているのに日焼けをしてしまったという人は、必要な量を塗れていない可能性があります。自分がどのくらいの量を使っているか、チェックしてみましょう。

日焼け止めの塗り方 (2)順番

外出をする際には日焼け止めだけでなく、化粧下地やファンデーションを併用する人が多いでしょう。これらを一緒に使う際には日焼け止めを先に塗り、それから化粧下地とファンデーションを重ねるようにしましょう。その理由はそれぞれの役割にあります。まず、日焼け止めには紫外線から肌を守る働きがあります。一方で化粧下地には、肌表面を均一に整えてファンデーションのノリをよくする、肌のトーンをあげる、化粧崩れを防ぐといった役割があります。ですから、ファンデーションの仕上がりをよくするためには日焼け止めを先に塗り、化粧下地はファンデーションの前に使うほうがよいでしょう。
この頃では、紫外線の防御効果を持つ化粧下地も多く販売されています。何種類も重ねて塗ることに抵抗がある人は、こうしたアイテムを使うこともおすすめです。

日焼け止めの塗り方 (3)塗りムラを防ぐ方法

お伝えしたように、日焼け止めを塗る際には必要な量をしっかり使うことが大切ですが、それだけでなく、ムラなく塗ることも重要なポイントです。たとえば次のような手順で塗ると、塗り忘れや塗りムラを防ぐことができます。

  1. 日焼け止めを軽く手の中でなじませます。
  2. おでこや鼻、両頬、あごなどにのせた後、優しくのばすようにして塗っていきます。このとき、力を入れてこするように塗ってしまうと肌に負担がかかるので、注意しましょう。また、耳の前や鼻の下なども忘れずに塗ります。
  3. 顔全体に塗ったら少量を手に取って、頬や鼻などの日に当たりやすい場所に重ねづけをします。

日焼け止め:そのほかの注意点

ここまで正しい塗り方をお伝えしてきましたが、あわせて行ってほしいことがあります。それは、こまめな塗り直しです。なぜなら、日焼け止めは汗と一緒に流れてしまったり、タオルなどで顔を拭いたときに落ちてしまうことがあるからです。ですから、お出かけ前にしっかり日焼け止めを塗ったとしても2~3時間ごとに塗り直しましょう。これはSPFが高い日焼け止めでも同じです。最近では、スプレータイプのものやUVカット効果を持つファンデーションやパウダーなども多く販売されています。外出先で時間をかけて化粧直しをする余裕がない人や、面倒に感じる人などは、こうしたものも上手に活用するとよいでしょう。
また肌へ負担をかけないためにも、1日の終わりには、日焼け止めをしっかり落とすようにしましょう。日焼け止めの中には洗顔だけで落とせるものもありますが、汗に強いウォータープルーフのものなどはメイク落としを使って落とす必要があります。製品によって落とし方が異なるので、使用前にしっかりと確認し、実践しましょう。

シミだけでなく、たるみやシワなどの原因にもなる紫外線。このような「光老化」を防ぐためにも、日焼け止めを正しく使い、紫外線から肌を守りましょう。

まとめ

  • 日焼け止めにはSPFやPAの記載があるが、PAはUV-Aに対する効果、SPFはUV-Bに対する効果を表している
  • 日焼け止めに含まれる紫外線防止剤は、おもに紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つ
  • 日焼け止めの必要量は、1㎠あたり2㎎で、顔の場合はパール2粒分がめやす
  • 日焼け止めと、化粧下地などを併用する場合には、日焼け止め、化粧下地、ファンデーションの順番で塗るようにすると、ファンデーションの仕上がりが良くなる
  • 日焼け止めを塗る際には、塗りムラや塗り忘れに注意し、太陽が当たりやすい場所は重ねづけをするとよい
  • 日焼け止めは、汗などで落ちやすいので、こまめな塗り直しをすること
  • 1日の終わりには、洗顔料やメイク落としで日焼け止めを落とすこと