医療コラム
マスク生活で目元が気になる?顔のしわ改善のためにできること
マスクを着けると目から下は隠れるため、相手の視線は目元に集中します。そのため、目の下にできるしわが気になったり、最近、目元のケアに力を入れるようになった、という人は多いかもしれません。では、目元など、顔のしわを改善するためには、どうすればよいのでしょうか。解説します。
マスク生活だからこそ気になる!?目元や肌のケア
マスク生活や自粛生活が続くこと、はや1年。その被害は多方面に出ていますが、美容業界にも大きな影響を及ぼしています。2021年の初めに公表されたデータによると、大手の化粧品関連企業の売り上げは、軒並み減収傾向(※1)。とくに売り上げが落ちているのが、口紅やリップなどです。その一方で売上を伸ばしているのが、スキンケア関連商品やアイメイク商品です。マスクの影響で肌荒れがひどくなり、スキンケアを見直す人や、マスクに覆われない目元のメイクやケアに力を入れる人が増えていることが、その理由と考えられています。
こうした変化は、別のアンケート調査(※2)からも明らかになっています。ある調査で、「新しいライフスタイルにおいて、スキンケア・メイク時に意識するようになったパーツ」を聞いたところ、もっとも多かった回答は「目元(42.2%)」で、次いで「肌(30.8%)」という結果になりました。この調査からも、マスク生活の影響で、目元や肌を気にする人が増えている様子がうかがえます。
※1 東京商工リサーチ
※2 株式会社アクシージア「目元ケアに関する調査」
目元のしわ その原因とは
「目元の悩み」にもいろいろなものがありますが、たとえば、目の下や目尻にできるしわを気にする人は多いかもしれません。目元のしわを改善するには、まずは原因を知ることが重要。そこで、考えられる要因を挙げてみましょう。
〇乾燥
目のまわりの皮膚は、身体の中でも薄く、また、皮脂腺や汗を分泌する汗腺がほとんどありません。そのため、皮脂量や水分量が少なく、とても乾燥しやすくなっています。さらに、一般的に、目元周辺はスキンケアが行き届きにくい場所。頬や口元は念入りに保湿していても、目元は忘れがちという人は少なくありません。このように保湿ケアが足りていないと、目元の乾燥はよりいっそう進んでいき、その結果、小じわができるようになります。こうした乾燥が原因でできる小じわは、「ちりめんじわ」とも呼ばれています。
〇紫外線
シミの原因として知られる紫外線ですが、しわの発生にも大きく関わっています。紫外線のダメージが蓄積すると、皮膚の弾力やハリに欠かせないコラーゲンの性質が変わったり、分解が進んでいきます。すると、次第に皮膚の弾力が失われ、しわの発生につながります。
〇加齢による身体の変化
お伝えしたように、コラーゲンは紫外線によって分解が進んでしまいますが、加齢によっても減少していきます。また、肌の水分量も加齢とともに減少していくため、これもまた、しわの大きな原因になります。さらに、年齢とともに目のまわりの骨が変化したり、筋肉が衰えていくと、目元がくぼんで、しわが深く見えることがあります。
○表情筋の動きによるもの
笑った時に目尻にできるしわは、表情筋の動きによるものです。
同じ表情を繰り返すことにより、皮膚の一定箇所に折り目(表情じわ)がつきます。長期間繰り返すことにより深いしわが形成されます。表情が変わる時に動く筋肉の癖のため、自分で意識することが難しいものです。
表情筋の動きによりできるしわは、ボツリヌストキシン製剤を表情筋に注射し、表情じわの原因となる筋肉の動きを緩和させることで、しわが目立たなくなります。
このほか、眼精疲労がたまって目のまわりの血行が悪くなると、クマやたるみができて、将来的にしわの原因になることがあります。では、目元のしわはどうやってケアしたらよいのでしょうか?
自分でできる目元のケア 方法と注意点を解説
ここで、自分でできる目元ケアの方法をご紹介します。
〇保湿ケア
お伝えしたように、目元はもともと乾燥しやすいので、しっかりケアを行っていないと小じわができてしまいます。でも、ご安心ください。小じわはスキンケア次第で、改善する可能性があります。
ポイントは、もちろん保湿ケア。ふだんのスキンケアに加えて、アイクリームを塗ったり、アイパックを取り入れるのがおすすめです。その際に重要なのが、正しい方法で行うこと。とくに注意したいのが摩擦による刺激で、必要以上に力を入れてケアをすると、皮膚のバリア機能が低下し、かえって乾燥を助長させることになります。そのため、アイクリームを塗る際はこすらずに、あくまで優しく、なじませるように行いましょう。なお、ケアの際は目の中にクリームなどが入らないように、くれぐれも気をつけてください。またアイパックをするときは、使用時間を守るようにしましょう。
お伝えしたように、小じわは改善することができるしわですが、反対に放っておいたり、間違った方法でケアを続けていると、しわが深くなる原因になってしまうことも。しわが深くなると、セルフケアで対処することはもはや難しくなりますから、小じわのうちに対処しておくほうが賢明でしょう。
〇紫外線対策
紫外線対策として、日焼け止めを塗っている人は多いと思いますが、目の周りまできちんと塗れている人は少ないかもしれません。もちろん、目の中に入ってしまわないように気をつけなければいけませんが、目の周りも忘れずに塗るようにしましょう。日焼け止めを塗る際も、力を入れてこするのではなく、やさしく伸ばすようにして、できるだけ摩擦刺激を与えないようにしましょう。
目元だけじゃない!?マスク生活だからこそ注意したい顔のケア
ところで、目元以外のしわ対策は行えているでしょうか?マスク生活下では、顔の表情が乏しくなりがちで、表情筋を使う機会が減っているともいわれています。表情筋は、文字通り筋肉の一種。筋力は加齢とともに低下していくものですが、動かさないと、ますます衰えていきます。すると、将来的にたるみやしわ、二重あごなどの原因になることも。意識的に表情を作ったり、顔の体操を取り入れるなどして、表情筋を使うように心がけましょう。
また、目元と同じく、紫外線対策も重要です。たとえば、一般的な不織布マスクの場合、しっかり顔を覆っているように見えても、一定程度、紫外線は通過しています。「マスクをしているし、まあいいか」と思って紫外線対策を怠っていると、知らないうちにダメージが蓄積して、将来的に深いしわができたり、シミが発生する原因にもなるので、注意しましょう。このほか、目元のしわ対策でお伝えしたように、保湿ケアもしっかり行いましょう。
しわが深くなってしまったら、皮膚科に相談を
残念ながら、すでにできてしまった深いしわの場合、今回お伝えしたような方法だけで改善することはかなり難しくなります。「深いしわをどうにかしたい!」という人は、美容皮膚科などの治療で改善することもありますから、相談してみることをおすすめします。
しわが深くなる前の浅いうちに、美容皮膚科などで治療をするのもおすすめです。
まとめ
- マスク生活で目元や肌が気になるようになった人は多い
- 目元のしわは、乾燥や紫外線、加齢による身体の変化などが影響して発生する
- 目元の小じわケアで重要なのが、保湿ケア
- ふだんのスキンケアに加えてアイクリームやアイパックを取り入れるのがおすすめだが、摩擦による刺激が生じないように、優しくケアすることが重要
- アイパックは使用時間を守ること
- 紫外線対策も重要
- マスク生活では、表情筋を使う機会が減っているともいわれているので、しわ予防のためには、顔を動かすように心がけることが大切
- 一般的な不織布マスクは紫外線が通過してしまうため、日焼け止め対策は欠かさないほうがよい
- 深いしわはセルフケアで対処できないことが多いので、皮膚科で相談するのがよい