シミ・そばかすの違いって何?消す方法はある?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

ひとくくりにされやすい「シミ」と「そばかす」。でも、この2つは別物で、異なる点がたくさんあります。たとえば、原因や症状の出やすい場所などが異なりますが、美容皮膚科などで行われる治療法も違います。そこで、シミとそばかすの違いや治療法についてみていきましょう。

シミとは

ひとことで「シミ」と言っても、専門的に見るといくつもの種類があります。ここでは、代表的なものをご紹介します。

〇老人性色素斑

加齢にともなってできるシミ。一般的に「シミ」というと、老人性色素斑のことを指す場合がほとんどです。紫外線のダメージが蓄積することが原因で、加齢にともなって、境界線のはっきりとした濃いシミが目立つようになります。一般的には30代後半~40代くらいから現れるようになりますが、若いうちから日焼けをしていた人などは、もっと早いうちから症状が出ることもあります。顔はもちろん、首、手、足、腕など紫外線の当たる場所ならどこにでもできます。

〇肝斑(かんぱん)

頬骨の上や目の下などにできるシミで、顔の左右対称に現れるという特徴があります。女性ホルモンが大きく影響を与えていると言われていて、更年期や妊娠中などに症状が出やすいことがわかっています。また、ピルの服薬や紫外線のダメージ、物理的な刺激(クレンジングや洗顔時のこすりすぎなど)も悪化の要因として知られています。
肝斑は、症状の現れる場所や、顔の両側にでき得るという特性から、「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」や「太田母斑」などに間違われることがあります。けれども、これらとは全く別物で、治療法も異なります。

〇炎症後色素沈着

やけどや日焼け、虫刺され、ニキビなどで肌に炎症が起こった後にできるシミです。炎症によって、シミのもとであるメラニン色素が作られてしまうことが原因です。時間とともにだんだん薄くなっていきますが、炎症が強かった場所や、繰り返し炎症が起きた場所などには、そのままシミが残ってしまうこともあります。

このほか、ナイロンタオルなどの刺激が原因でできる「摩擦黒皮症」や、日焼けが原因で背中や肩などに小さな花びら状の斑点ができる「花弁状色素斑」も、シミの一種です。

そばかすとは

そばかすは、専門的には「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼ばれていて、スズメの卵のような斑点ができることが名前の由来といわれています。直径3mmほどの小さく、褐色の斑点が顔や首、前腕などに多発しますが、ほかに手や背中、デコルテ、肩などに出ることもあります。
発生には遺伝的な要因が大きく関わっているといわれています。一般的には幼少期から症状が出始め、思春期にかけて症状が強く出るようになります。その後は、症状がだんだん薄くなることが多いのですが、紫外線などが原因で症状が悪化することもあります。

シミとそばかす:消すことはできるの?

お伝えしたように、シミは種類によっては自然に消えていくものもありますが、一般的な加齢によるシミ(老人性色素斑)の場合、自然に消えることは期待できないでしょう。一方、そばかすの場合は、思春期以降は目立たなくなることが多いものの、紫外線などの影響によって、その後も残ってしまう可能性はゼロではありません。このように肌に残ってしまうシミやそばかすは、化粧などで一時的に隠すことはできたとしても、セルフケアだけで根本から消すことはできません。ですから、シミやそばかすをどうしても消したい場合には、美容皮膚科などで治療を受けることが必要になります。それぞれ次のような治療法があります。

〇シミの治療

シミは種類や状態によって治療法が異なるため、まずは診察を受けて、医師にその状態をよく見極めてもらうことが重要です。
たとえば、老人性色素斑のうち、ピンポイントでできた濃いシミを治療したい場合には、「Qスイッチルビーレーザー」や「QスイッチYAGレーザー」などによる治療が一般的です。これらのレーザー治療は、短時間でピンポイントに強いエネルギーを発することができます。そのため、周辺の健康な肌へのダメージを最小限に抑えながら、シミのもとであるメラニン色素だけを破壊したいときなどに用いられます。また、老人性色素斑の中でも、シミの範囲が広い場合や細かいシミが多い場合には、より広範囲に照射ができる「フォトフェイシャル」「BBL」などの光治療が行われます。
一方、同じシミでも肝斑の場合は、おもにトラネキサム酸などの内服薬による治療が行われます。また、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を促すためにケミカルピーリングが行われたり、イオン導入などを併用することもあります。「肝斑はレーザー治療で治らないの?」と思う人がいるかもしれませんが、「Qスイッチルビーレーザー」などの強いエネルギーのレーザーを当ててしまうと、メラノサイト(メラニン色素を作る細胞)が刺激されてかえってシミが悪化してしまうことがあります。そのため、肝斑では、高エネルギーを使ったレーザー治療は不適応とされています。最近では、弱い出力でレーザーを当てる「レーザートーニング」を行う皮膚科もありますが、悪化するリスクがゼロではないので、主治医と相談しながら治療法を選択するようにしましょう。
このほか、シミの種類や肌の状態、患者の希望などによっては、LED治療など、複数の方法を組み合わせながら、治療が行われることもあります。

〇そばかすの治療

そばかすも治療法がいくつかあります。
たとえば、皮膚の比較的浅いところに症状が現れている場合には、「フォトフェイシャル」「BBL」などの光治療が行われます。光治療は、レーザー治療に比べて光の届く深度が浅いのですが、皮膚の浅いところにできたそばかすであれば、十分な治療効果を期待できます。また、使用する機器によっては、ハリやツヤのアップにも効果を発揮します。光治療後は、メラニンが肌の表面に押し出されてくるので、一時的にそばかすが濃く見えますが、1週間~10日間ほど経つと、だんだん薄くなってきます。
また、皮膚のやや深いところにできているそばかすに対しては、「Qスイッチルビーレーザー」「QスイッチYAGレーザー」を当てて、治療を行います。こちらも治療後は一時的にシミが濃くなりますが、1週間~10日間ほど経つと、薄くなっていきます。治療直後に赤みの出ることがありますが、徐々に治まっていきます。注意点として、治療後に紫外線を浴びると、症状が再発することがあるので、スキンケアや紫外線対策をいつも以上に徹底することが重要です。

シミもそばかすも皮膚科で相談してみよう

ひとくくりにされやすいシミとそばかすですが、お伝えしたように、特徴や治療法には異なる点がたくさんあります。「目立つところにシミができてしまって、気になっている」という人や、「大人になったけれどそばかすが薄くならずどうにかしたい」という人は、一度、皮膚科で相談してみてくださいね。

まとめ

  • シミとそばかすはひとくくりにされやすいが、別物である
  • シミにはいくつかの種類がある
  • 老人性色素斑は紫外線のダメージが蓄積することが原因で、加齢にともなって、境界線のはっきりとした濃いシミが目立つようになる
  • 肝斑は、頬骨の上や目の下などにできるシミで、顔の左右対称に現れる
  • 肝斑は、女性ホルモンが大きく影響を与えていると言われていて、更年期や妊娠中などに症状が出やすい
  • 炎症後色素沈着は、やけどや日焼け、虫刺され、ニキビなどで肌に炎症が起こった後にできるシミで、炎症が強い場合などは残る可能性もある
  • そばかすは、専門的には「雀卵斑(じゃくらんはん)」と呼ばれていて、直径3mmほどの小さく、褐色の斑点が顔や首、前腕などに多発する
  • そばかすの発生には遺伝的な要因が大きく関わっている
  • そばかすは、幼少期から症状が出始め、思春期にかけて症状が強く出るようになる
  • 思春期以降は、そばかすがだんだん薄くなることが多いが、紫外線などが原因で症状が悪化することがある
  • シミやそばかすは、種類などによっては残り続けてしまうことがあり、どうしても消したい場合には皮膚科などでの治療が必要になる
  • シミの治療では、医師が診察を行い、レーザー治療や光治療、内服薬による治療、ケミカルピーリング、イオン導入、LED治療などの中から、もっとも適切な方法が選択される
  • そばかすの中でも、肌の浅いところに症状が出ている場合には、光治療が行われる
  • 肌のより深いところにできたそばかすは「Qスイッチルビーレーザー」「QスイッチYAGレーザー」を当てて治療を行う