5月の紫外線量は多い!?今年の日焼け止めの準備は万全?

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)

紫外線対策を始めていますか?ちまたでは「5月から紫外線量がかなり増える」という話もありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。そこで、ここでは紫外線対策を始める時期や具体的な対策法について解説します。手遅れになる前に正しい知識と対策を知っておきましょう。

紫外線が増え始めるのは5月?

紫外線は太陽光に含まれる光の一種です。地表に降り注ぐ紫外線には、UVAとUVBの2つがあります。この2つは波長が異なりますが、どちらも肌にダメージを与え老化を早める原因になるため、適切な紫外線対策が必要です。では、紫外線量はいつから増えるのでしょうか。
UVAもUVBも太陽がさんさんと輝く夏場が最も紫外線量が多いと思われがちですが、実は必ずしもそうとは言えません。
観測局(https://db.cger.nies.go.jp/gem/ja/uv/uv_sitedata/rikubetsu/results.html)のデータによると、UVBにおいては、多くの人が予想するとおり春から増え始め、7~8月にピークを迎えた後、徐々に減少していきます。一方でUVAは3月頃から増え始めた後、5~6月頃にピークを迎えます。ピークを過ぎた後は減少するものの、冬場も一定量が地表に降り注いでいます。つまり、特にUVAに対しては夏だけ対策をするというのでは不十分であり、年間を通したUVケアが必要と言えます。そして、特に紫外線量が増え始める春にはより一層、対策を強化することが肝心です。
「暑くなってから日焼け止めを塗れば大丈夫」と思っていると、気づかないうちにダメージが蓄積し、シミやそばかす、くすみ、しわなど、様々な肌トラブルに悩まされることになるので注意しましょう。

紫外線の種類別にみる肌への影響

紫外線は肌に様々な影響を及ぼします。UVAとUVBがそれぞれどのような影響を及ぼすのか、ご紹介します。

○UVA

地表に降り注ぐ紫外線の9割を占めるのがUVAです。UVAは波長がUVBよりも長く、皮膚の奥深くの真皮層まで届くという特徴があります。真皮層にUVAのダメージが及ぶと、コラーゲンやエラスチンのもとになる線維芽細胞が傷つけられ、ハリやツヤが失われたり、しわの原因になったりします。また、UVAはメラノサイトを活性化させてメラニンを増やすため、シミやそばかすなどができる原因にもなります。さらに、活性酸素を発生させて肌の老化を早めます。
UVAはUVBよりもダメージは弱いのですが、長年の蓄積により肌の老化現象を引き起こします。こうした紫外線による肌の老化は「光老化」と呼ばれています。

○UVB

紫外線量はUVAよりもはるかに少ないものの、人体に与える影響が600~1000倍も強いと言われているのがUVBです。波長が短く、肌表面の表皮までにしか到達しませんが、細胞内のDNAを損傷させ、皮膚がんを引き起こすこともあります。また、UVAと同じく活性酸素を発生させ、シミやしわの原因にもなります。
またUVBは肌が赤くなる日焼け(サンバーン)の主な原因としても知られています。

その他にも、紫外線は人体に様々な影響を与えます。たとえば、紫外線角膜炎や白内障になるリスクが高まることがわかっていて、肌だけでなく目にもダメージを与えることがあります。紫外線には体内のビタミンDの合成を助けるといった良い作用もありますが、それでも長年のダメージが蓄積すると悪い影響も出てくるため、適切な紫外線対策は欠かせません。

紫外線対策のためにできること

このように、紫外線を浴びることには様々なリスクが伴います。そこで、これらのリスクを回避するための対策をご紹介します。

○日焼け止めクリームを塗る

最も手軽かつ、有効なのが日焼け止めクリームの活用です。日焼け止めクリームなどには「SPF」や「PA」、「UV耐水性」といった指標がありますが、軽い散歩程度であれば、SPFは30以下、PAは「+++」以下、UV耐水性の表示なしのものでも十分な効果が得られます。紫外線防御効果の高いものを選ぶことよりも、正しい量を塗ること、そしてこまめに塗り直すことを意識しましょう。
また、波長の長いUVAは雲や窓を通過して肌に到達します。ですから、天気に関係なく日焼け止めを塗ることが重要で、屋内で過ごすことが多い日でも対策をしておくことをおすすめします。また、紫外線による肌のダメージを身体の内側からケアするサプリメントタイプの「飲む日焼け止め」との併用もおすすめです。

○外出時間や外出時の服装に気をつける

紫外線は午前9時~午後2時に多く降り注ぐといわれています。そのため、この時間帯の外出をできるだけ控えるほうが望ましいでしょう。この時間帯に外出しなければいけない場合は、肌の露出を少なくするように工夫してみましょう。たとえば、日傘や広いつばのついた帽子、長袖、長ズボンなどを活用するのがおすすめです。また、サングラスや紫外線カット効果のある眼鏡を使うと、目に降り注ぐ紫外線量を大きくカットできるといわれています。

去年の日焼け止めクリームは、使っても大丈夫?

紫外線対策に準備しておきたい日焼け止めクリームですが、ワンシーズン以上前に開封したものが手元に残っていることがあるかもしれません。すでに開封済みの日焼け止めクリームを使う場合は、ニオイや色、テクスチャーなどに変化がないかどうかを必ず確認するようにしましょう。保管状態によっては劣化が進んで紫外線防御力が落ちていたり、不衛生な状態になったりしている可能性もゼロではありません。そのまま使うと思わぬ肌トラブルに見舞われてしまう可能性もあるため、使用前に状態を確認するようにしましょう。なお、未開封の日焼け止めクリームの場合、特に記載がなければ製造から3年ほどは品質が保証されています。ただし、保管状態によっては劣化している可能性も考えられるため、やはり使用前に確認することをおすすめします。

今回は、紫外線が増え始める時期や紫外線対策についてご紹介しました。日焼け止めクリームや紫外線対策グッズの準備をして、しっかりUVケアを行いましょう。

まとめ

  • 地表に届く紫外線はUVAとUVBがある
  • UVAは5月~6月に、UVBは7~8月に紫外線量のピークを迎える
  • UVAは年間を通して一定の量が降り注いでいるため、紫外線対策は年間を通して行ったほうが良い
  • UVAはハリやツヤの減少、しわ、シミなどの原因になる
  • UVBは皮膚がんの原因になることがあり、他にもしわやシミ、日焼けなど様々なリスクになる
  • 紫外線対策には日焼け止めクリームや飲む日焼け止めの活用、外出時間帯や服装の工夫などがおすすめ
  • ワンシーズン以上前の使いかけの日焼け止めが手元にある場合は事前に中身をチェックし、劣化の可能性がある場合は使用を控えること