医療コラム
二の腕や太もものブツブツ...毛孔性苔癬の原因と皮膚科での治療法。
二の腕や太ももにできるブツブツ。触れるたびに気になってしまう人も多いのではないでしょうか。それは、「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」と呼ばれる皮膚疾患の症状かもしれません。毛孔性苔癬はそれ自体が悪さをするものではありませんが、ブツブツした見た目からコンプレックスに感じる人も少なくありません。そこでこの記事では、毛孔性苔癬の原因やセルフケアの方法、治療法について解説します。二の腕や太もものブツブツで悩んでいる人はぜひ読んでみてください。
毛孔性苔癬とは?
毛孔性苔癬とは、毛穴に古い角質が詰まることで肌がブツブツと盛り上がる良性の皮膚疾患です。感染性のものではなく、他人にうつす心配はありません。医学的には「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」とも呼ばれ、一般的には「サメ肌」と表現されることもあります。
主な症状は、皮膚にできるブツブツやざらつきです。赤みや色素沈着、軽度の痒みを伴うこともありますが、痛みはほとんどなく、日常生活に支障をきたすことは稀です。症状は小児期に出始め、10代〜20代で目立つようになります。30代頃になると自然と改善することが多いのですが、稀に成人後も症状が残るケースがあります。
症状が現れやすいのは、二の腕や太もも、背中、お尻など、衣類との摩擦が起きやすい部位です。また顔に出ることもあり、この症状は「顔面毛包性紅斑黒皮症(がんめんもうほうせいこうはんこくひしょう)」と呼ばれています。顔面毛包性紅斑黒皮症は、特に10代の男性に多く見られ、頬の毛穴が赤く盛り上がる、ブツブツする、色素沈着が生じるといった特徴があります。顔面毛包性紅斑黒皮症も良性ですが、顔に症状が出ることから、見た目が気になって皮膚科での治療を希望する人がいます。
毛孔性苔癬の原因とは?
毛孔性苔癬は、「角化異常(かくかいじょう)」が起こることで発生すると言われています。「角化」とは、角化細胞が少しずつ成熟しながら、皮膚表面に向かって押し上げられ、角質層を形成するプロセスのことを指します。通常、角化は約28日周期で行われますが、毛孔性苔癬の肌では、この角化がもっと早いスピードで行われます。その結果、成熟しきっていない角質細胞が溜まって毛穴に詰まってしまい、ブツブツなど毛孔性苔癬の症状が引き起こされます。
毛孔性苔癬を引き起こす角化異常の原因はまだ解明されていませんが、次のような要因が影響していると考えられています。
〇遺伝
毛孔性苔癬は家族内で同じような症状が見られることが多く、遺伝性のある皮膚疾患と考えられています。
〇ホルモンバランスの変化
特に思春期はホルモンバランスの影響で皮脂分泌が増え、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)にも変化が起きやすくなります。この時期に毛孔性苔癬が目立ち始めるケースが多く、ホルモンの影響が指摘されています。
〇乾燥
肌が乾燥しやすいと角質が硬くなって毛穴に詰まりやすくなります。乾燥する冬に症状が出やすくなる人もいます。
〇アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎のある人は、バリア機能の低下や角化異常が起こりやすく、毛孔性苔癬を発症しやすいことが指摘されています。
〇その他
肥満傾向、衣類との摩擦やシェービングによる刺激なども悪化要因になると考えられています。
毛孔性苔癬のセルフケア
毛孔性苔癬は良性のため、セルフケアや治療を積極的に行う必要はありませんが、悪化させたくない場合は、次の点に気を付けてケアをしてみてください。
〇保湿ケア
毛孔性苔癬のある肌は、乾燥しやすくバリア機能が低下していることが多いため、水分と油分を補い、肌を柔らかく保つことが重要です。保湿ケアで肌に潤いが与えられ角質が硬くなりにくくなると、ブツブツの悪化を防ぎやすくなります。
〇角質ケア
毛穴の詰まりを予防したい場合には、「角質ケア」を目的としたアイテムを取り入れてみましょう。たとえば、尿素配合のクリームには不要な角質を柔らかくして、蓄積を防ぐ作用があります。市販でも購入が可能なため、取り入れやすいでしょう。
角質ケアの際に注意したいのが、過剰な摩擦刺激です。摩擦は肌に刺激を与え、かえって症状を悪化させてしまうこともあるため、注意しましょう。特に、スクラブやピーリング石けんなどでゴシゴシと角質を落とすのは厳禁です。
〇紫外線対策
毛孔性苔癬による赤みや色素沈着が出ている場合は、紫外線対策を徹底しましょう。紫外線を浴びることで、色素沈着が悪化する可能性があります。症状が出やすい部位は、日焼け止めや衣類で保護し、紫外線ダメージから守りましょう。
このようなセルフケアは、改善というよりも悪化予防に役立ちます。これ以上悪くしたくない人や、まずは自宅でケアをしたいという人は、取り入れてみてください。
皮膚科で受けられる毛孔性苔癬の治療法
ブツブツやざらつきが気になってコンプレックスになっている場合は、皮膚科での治療を検討しましょう。主な治療法は以下です。
〇外用薬による治療
皮膚科でまず行われるのが、外用薬による治療です。よく処方されるのは、尿素やサリチル酸を配合したクリームで、角質を柔らかくして毛穴の詰まりを改善します。また、ターンオーバーを促す作用のあるビタミンAを処方されることもあります。
外用薬による治療は、保険が適用される一般的な治療法ですが、即効性は期待できないため、継続的な治療が必要です。また、人によっては効果を十分に実感できないことがあり、その場合は、次のような自由診療(自費)も選択肢になります。
〇ケミカルピーリング
サリチル酸などを肌表面に塗布し不要な角質を除去することで、ターンオーバーを促進する治療です。毛穴に詰まった角質が取り除かれるため、ざらつきの改善に有効です。施術中や施術後にピリピリした痛みや赤みが出ることがありますが、ダウンタイムは比較的短い施術です。
〇ダーマペン4
極細の針で微小な穴を開けて皮膚の再生を促す治療です。肌が生まれ変わる過程で、毛穴のブツブツやざらつきが解消します。施術後に赤みやほてり、皮剥け、内出血、乾燥や掻痒感といった症状が出ることがありますが、1~2週間程度で改善します。
〇Vビームレーザー
顔面毛包性紅斑黒皮症など、赤みが気になる場合に有効な治療法です。Vビームレーザーはヘモグロビンに反応する波長を持ち、赤みや毛細血管の拡張にアプローチすることができます。照射後に内出血のような紫斑ができることがありますが、1週間程度で改善します。適応がない場合もあるため、医師に診察をしてもらいましょう。
これらの施術を組み合わせて少しずつ改善を目指す方法が一般的です。まずは専門医に肌の状態を確認してもらい、無理のない範囲で継続できる治療法を選びましょう。
まとめ
- 毛孔性苔癬は毛穴に古い角質が詰まり、ブツブツとしたざらつきが出る良性の皮膚疾患
- 思春期~20代に症状が目立ちやすいが、多くは30代頃になると自然に改善する
- 二の腕や太ももなど摩擦の多い部位にできやすい
- 原因ははっきりしていないが、遺伝、ホルモンバランス、乾燥肌、アトピー性皮膚炎、肥満、摩擦などが発症に関与すると考えられている
- セルフケアでは保湿、角質ケア、紫外線対策が有効
- 皮膚科では保険診療として外用薬治療が受けられる他、自費診療ではケミカルピーリング、ダーマペン4、Vビームレーザーなどが有効